舞台「PSO2」公演レポ!プレイヤー視点で語られる「ネトゲの魅力」が、とにかく情熱的で感動的

この舞台はオンラインゲーム『PSO2』を元にしたもので、スーパーバイザーに同作のプロデューサー酒井智史氏とディレクターの木村裕也氏。脚本・演出には舞台で多くの実績を持つ斎藤栄作氏を迎えています。

PCゲーム オンラインゲーム
舞台「PSO2」公演レポ!プレイヤー視点で語られる「ネトゲの魅力」が、とにかく情熱的で感動的
舞台「PSO2」公演レポ!プレイヤー視点で語られる「ネトゲの魅力」が、とにかく情熱的で感動的 全 25 枚 拡大写真
12月4日、青山劇場において、『PSO2』の舞台「ファンタシースターオンライン2 オンステージ」が開演しました。

この舞台は、オンラインゲーム『ファンタシースターオンライン2』(以下PSO2)を元にしたもので、スーパーバイザーに同作のプロデューサー酒井智史氏とディレクターの木村裕也氏。脚本・演出には舞台で多くの実績を持つ斎藤栄作氏を迎えています。「舞台」と言うと敬遠される方もいらっしゃいますが、演者の意気込みもスタッフの意気込みも相当なレベルで、実際にその意気込みに相応しく素晴らしい舞台でした。



◆「ファンタシースターオンライン2 オンステージ」の概要

■作品あらすじ(抜粋)
西暦2022年。『PSO2』が10周年を迎えたこの年、オンラインゲームの進化はとどまる事を知らず、プレイヤーがゲームの世界をよりリアルに感じられるバーチャル型主流の時代へ突入していた。そんなある日の事、とある街で暮らす平凡な男子高校生が、いつものように『PSO2』を通じて知り合った仲間達とゲームにログインする。しかしそこで出逢ったNPCの導きにより、事態はゲームという限られた領域から大きく逸脱する事に……。そして封印されていた筈の闇の力が、再び甦った



物語は、主人公・タクヤを含めた『PSO2』のプレイヤー6人を主軸に展開。オンラインゲームを題材にしつつも、視点はプレイヤーであるため、非常に入りやすく違和感も少ない設定です。また、近未来を舞台にしたオリジナルストーリーであるため、ゲーム内と現実世界をクロスオーバーさせながら進むドラマティックな仕上がりです。

主役のタクヤ役には歌えるイケメン役をこなす蒼井翔太さん、ヒロインのユミ役には穂乃果の新田恵海さん、デューマンタイプのNPCミラ役には久住小春さんを抜擢。また、異様に役が板に付いていた井上和彦さんにみんなのお姉ちゃん井上喜久子さん、いい声小西克幸さんといった声優陣に加え、元タカラジェンヌである白華れみさんやキレッキレのダンスを魅せる宮垣祐也さんなども出演。変わったところでは弾丸ジャッキーのオラキオさんも出ています。注目は、幕間に披露されるアークス達の軽妙なダンス。


ミュージックに合わせてキレキレな動きを見せてくれますが、これがまた意外と短くあっという間に終わってしまうため、全キャラ分を逃さずチェックしましょう。「サクラ大戦」の舞台から多くのアクター・スタッフが参加しているので、それはもう見応えのあるものになっています。もちろんそれぞれの役柄に合わせた演技をしていますので、個性的な彼らがどんな事を話し、どんな動きをするのか、注意深く観ると楽しいですよ。キーワードは「シンクロ」です!

◆舞台が好きな方も、そうじゃない方も



もう公演は始まっているためネタバレ情報も出回っているでしょうが、「この舞台を観たい」「これから観に行く」という方には、極力前情報を入れずに行く事をオススメします。なぜならば、サプライズが散りばめられているからで、また、『PSO』を知っている人間がニヤリとできるポイントもあるからです。

筆者は映画派で舞台を観ない人間なのですが、はっきり言って面白かったですよ。構成や展開は分かりやすくまとめられており、スポットが当たるべき時と場所、演出も含めて、飽きさせない内容になっていました。

ネタバレになるため書けない部分もあり……と言うか、プロットポイント前、映画やドラマで言う一幕の終わりにネタが仕込まれているので、内容についてはほぼお話できません。申し訳ない。しかし即ちそれは「お楽しみポイント」と「主人公やキャラ達の葛藤」がしっかり含まれているという事なので、だからこそ楽しむ事ができたといえるでしょう。実際、コミカルな場面はもちろんの事、熱い場面や涙腺が決壊する場面もあり、キャラ達の心情と立ち位置からもドラマを感じる作品になっていました。単純にテーマが身近で、時事問題や社会性を持ちながらも変に説教臭くないところが良かったのかも知れません。

◆観劇を終えて、酒井氏・木村氏へプレスインタビュー



―――初日を迎えられた感想をお願いします。

酒井:9月に発表して、ここまであっと言う間でした。ある意味夢のよう。苦労はしましたが、出来には満足しています。

木村:9月に発表した時にはほとんど何も決まっていなくて、脚本が上がったのも10月末。11月の頭に顔合わせでした。脚本が上がった段階で「面白くなるだろうな」と思ってはいましたが、読み合わせでも面白かった。その時点であと3、4週間しか時間が残っていなかったので、役者さんも頑張ってくれました。……何度も稽古場へ行き、何度観ても面白かったため、「客観的に観れなくなっているんじゃないか?」と思ったのですが、みなさん(観客)の様子を見て安心しました。これで、胸を張って初回公演を迎えられます。


―――舞台の見所や「観て欲しいポイント」をネタバレにならない範囲でお願いします。

酒井:いつも観ているゲーム画面を超大画面で観る事ができるところ。今まで観た事のない角度でエネミーを観る事もできるので、それだけでも価値はあるかな、と。

木村:色々と見所の多い舞台になっています。映像も歌もダンスもですけど、ここは殺陣(たて)ですね。みなさん「ここまで殺陣をしっかりやると想像していなかった」んじゃないかなと思うんです。全てがかなりクオリティの高い舞台になっていますので、瞬きせずに観てください!

―――お気に入りのシーンはありますか?

酒井:アキラの家に行くシーンですね(笑)

木村:単純に僕がこだわった部分なので言うんですが、SEや照明の演出などはこだわらせていただきました。PSO2ユーザーであれば「おっ」と思っていただけるような色だったり音だったりするので、そういったところも役者さんの演技も「上手く行ったな」って思います。


―――スクリーン内で吹き出しが踊っていましたが、あそこにもネタが?

木村:ネタは入っているんですけど、観なくていいと思います。そこに集中しちゃうと芝居が飛んじゃうと思うので。二回目の方やDVDをご覧になる方は、是非チェックしてみてください。

酒井:「なんでPSO2が舞台?」と思われている方は絶対にいると思うんですけど、観て「あ、なるほどね」と腑に落ちると思いますし、そんな方にこそ観て欲しいですね。「ゲームでこういう事あった!」という想いをこの空間で共有できるだけでもすごく価値がありますよ。


―――ではこれから観劇される方々に対して、一言メッセージを

木村:『ファンタシースターオンライン』15周年プロジェクト第一段と言う事で、その頭としてある意味奇抜、初めての事に挑みました。開発制作陣も満足できる内容に仕上がっていますので、是非ファンの方に観ていただきたいと思います。ニコ生もDVDもあるので是非。一度観た方ももう一度観ると新しい発見がありますよ!

酒井:『ファンタシースターオンライン』15周年の幕開けに相応しいものができました。サクラ大戦に関わってきたスタッフや素晴らしい役者さんに恵まれて、『PSO2』の世界を現実世界に再現できたので嬉しく思っています。このプロジェクト自体が挑戦的で、「なんで舞台なの?」というご意見もあるでしょうが、その中で観た人が「観て良かった」「俺はこれを観たんだ!」と胸を張って言える作品になったと思います。『PSO2』だけではなくオンラインゲームを好きな方ならば必ず楽しめるものになっていますし、そうでない方にも、舞台として面白いものになりましたので、是非観にきていただければ嬉しいです。木村も昔から言っているんですが、『PSO2』ってゲームだけじゃなくて様々なプロジェクトを含めて『PSO2』だと思っているので、その中の一つとして、感謝祭的に舞台も楽しんでいただけれいいかなと思っています。反響があればシリーズ化もしていきたいと考えていますので、みなさまよろしくお願いいたします。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

『ファンタシースターオンライン』15周年記念プロジェクトの第一弾として企画された「ファンタシースターオンライン2 オンステージ」。改めて言われると「え゛っ、もう15年も経ったの? 嘘だろ?」と思ってしまいますね。月日が経っても今なお色褪せない同シリーズの世界は、これからもまだまだ続きそうです。「今日観たい!」という方には、酒井さん曰く「当日券を用意している」との事でしたので、観劇が好きな方も『PSO』が好きな方も、オペラグラス片手に出かけましょう!

◆公演スケジュール
12月4日~12月7日まで
(7日は17時の回がラスト)
チケットは各プレイガイドで発売中

ファンタシースターオンライン2 オンステージのHPはこちら

《平工 泰久》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

関連ニュース