【アナログゲーム決死圏】第3回:TRPGの始め方…体験方法からオススメのタイトルまで

前回のボードゲームと同様に、TRPGも買ってから遊ぶか、遊んでから買うかが悩むところですが、TRPGが全くの未経験という方は、心に決めたタイトルが無い限り、可能であれば試しに遊んでみてから買うことをオススメします。

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◆傭兵ペンギンのオススメ


■「ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版



・製作:ウィザーズ・オブ・ザ・コースト
・出版:ホビージャパン

世界初のロールプレイング・ゲームであり、現在まで世界最大級のロールプレイング・ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』。

長い歴史と共に醸成されてきた、濃い背景設定のある様々な世界を舞台に冒険を繰り広げるファンタジーTRPG。『キャンペーン・ガイド』と呼ばれるキャンペーンで遊ぶための世界設定をまとめた本は、ただそれだけで図鑑や歴史書のような読み物として十分楽しめるものになっています。

『ミスタラ英雄戦記』、『バルダーズゲート』、『ネヴァーウィンター・ナイツ』、『DDO』など、数多くのデジタルゲーム化作品が出ているので、読者の中にはそちらを遊んだことがあるという方も多いかもしれません。それらゲームで登場した世界がTRPGにも(時代等は違えど)登場します。

その第4版は、MMORPGを彷彿とさせる戦闘・成長システムとなっており、デジタルゲーマーにオススメしやすいデザインになっています。



D&D第4版のルールブックは、プレイヤー向けの『プレイヤーズハンドブック』とGM向けの『ダンジョンマスターズガイ』と複数の本に分かれていますが、プレイヤーであればまずは『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォールン・ランズ』もしくは『ヒーローズ・オヴ・ザ・フォーゴトン・キングダムズ』という基本ルールブックから買うことをオススメします(詳しくは公式サイトを御覧ください)。

また、簡易版のルールブックやシナリオが公式サイトに無料公開されていますので、まずはそちらで遊んでみるというのもよいでしょう。

「ニコニコ動画」では、プロの声優が演じるTRPG(『ダンジョンズ&ドラゴンズ』)を生放送するという過去に放送された番組の再放送動画も公開されています。

ただ、非常に残念なことに、D&D第4版は現在ほとんどの本が絶版となっており、専門店の店頭にある在庫を残すのみとなっている状態です。気になる方は見かけたら早めに買っておくことをオススメします。

ちなみに、現在アメリカ本国では第5版が発売されており、日本国内でもそちらで遊んでいるグループが存在します。

■「ログ・ホライズンTRPGルールブック



・著者:橙乃ままれ/絹野帽子/七面体工房
・出版:KADOKAWA/エンターブレイン
・価格:1512円(税込)

橙乃ままれ作のファンタジーSF小説『ログ・ホライズン』の世界を舞台にしたTRPG。いよいよ最終回を迎えるアニメ版第2期を楽しんでいるという方もきっと多いことでしょう。


原作ありのTRPGなので、小説やアニメで『ログ・ホライズン』がお気に入りという方にはもちろんオススメのタイトル。原作者が製作指揮を行い、小説やアニメでは描かれなかった設定資料がたくさん入ったファン必見の本になっています。


さらに、原作はMMORPG『エルダー・テイル』の世界から抜け出せなくなってしまった者たちの冒険を描く作品であるので、プレイヤーはファンタジー世界でありながら現代人のゲーマーを演じるので初心者でもロールプレイがやりやすい設定になっています。

作中で描かれているのと同様にTRPGでもMMOでよく見る役割分担や戦闘システムになっているので、デジタルゲーマーもとっつきやすいタイトルだと思います。

ゲームをプレイするにはプレイヤーもマスターも『ログ・ホライズンTRPGルールブック』があればOK。小さめのサイズながらかなり分厚くて、ゲーム中に使いこなすのは慣れるまで少々大変ですが、最初から読んでいけばルールの理解は大丈夫!

「ログ・ホライズン」の原作者の橙乃ままれがGMを務めるリプレイ本も複数出ているのでそちらも要チェック。公式サイトではキャラクター作成ツールや追加ルール、リプレイ等が無料公開されているので、それらを活用しながら遊ぶとさらによいでしょう。

ちなみに、本日3月27日に原作小説『ログ・ホライズン9 カナミ、ゴー! イースト! 』と『ログ・ホライズンTRPG リプレイ 山羊スラ戦車と終わらない旅 上』が発売されましたよ!

■「リアリティショーRPG キルデスビジネス

・著者:齋藤高吉/冒険企画局
・出版:新紀元社
・価格:1500円(税別)

自らの願いを叶えるため悪魔と契約し、地獄の素人参加型TV番組「キルデスビジネス」に出演する者たちを演じるTRPG。

「キルデスビジネス」は標的を殺し、魂を回収した数を競う番組なので、場合によっては魂を横取りするためプレイヤー同士での殺し合いも起る(死んでも復活できるので、誰かにやられて即退場というゲームではありません)なので人は選びますが、ボードゲームのような楽しみもあるタイトル。

また、あくまでTV番組なので、視聴率が落ちれば「ヘルP(地獄の番組プロデューサー)」からテコ入れとしてサービスシーンを強制的にやらされたり、番組の合間にCMが入り、そこで紹介されたものを番組内で上手に紹介するとボーナスが貰えたりするというのが面白い。

ダイス(サイコロ)を振っていけば、キャラクターが作られ、番組は展開していくというかなり簡単なルールなので、要所要所で行動選択をしていけば遊べるので、初心者でも気軽に遊びやすいタイトルだと思います。オンラインセッションもやりやすいデザインです。

ゲームをプレイするためにはプレイヤーもマスターも『リアリティショーRPG キルデスビジネス』があればOK。リプレイも一緒に収録されているので、まずはそちらから読んでいくと、ルールを理解しやすくなるはず!

■「りゅうたま



・著者:岡田 篤宏/テーブルトークカフェ・Daydream
・価格: 無料配信中

「竜人」と呼ばれる神のような存在に見守られながら、ファンタジー世界を旅するTRPG。ヒロイック・ファンタジー作品で描かれるような戦いに満ちた冒険ではなく、ファンタジー世界を旅することに重点が置かれているという点がTRPGの中でも異色の作品。

特定の世界が設定はされておらず、プレイヤーやゲームマスターの好きな世界を作って遊ぶようになっており、旅をする中で出くわす街を参加者みんなで作るルールもあり、サンドボックス的な楽しみがあります。


また、ゲームマスターが竜人として、プレイヤーキャラクターたちの旅に直接干渉することがルールで明文化されているのも特徴。さらに竜人にもクラスや成長要素があり、そのクラスに応じて物語の方向性が決まったり、成長することで旅人たちを助ける方法が広がっていくのも面白いポイント。

斧をぶん回ながらダンジョンを探検しドラゴンをぶちのめすような、戦闘が楽しみたい人には向かないタイトルですが、ゆったり会話をしながらファンタジー世界を紡いでいくような遊び方をしたい人にはオススメの作品。

ゲームをプレイするためにはプレイヤーもマスターも『りゅうたま』基本ルールブックがあればOK。PDF版は絶版マンガ図書館で無料配信中なので、気になる方はまずダウンロードして読んでみましょう!

■「パラノイア



・著者:Dan Gelber/Eric Goldberg/Greg Costikyan
・出版: ニューゲームズオーダー
・価格: 6000円(税別)

『パラノイア』は、コンピューターに支配された未来社会で「トラブルシューター」となって反逆者を狩るディストピアTRPG。残念ながらそのコンピューターは完全に狂っており、本当の反逆者がいないところにトラブルシューターが送り込まれることも。

さらにプレイヤーのキャラクターたちは実は全員が打倒コンピューターを目指す秘密結社に所属する反逆者。なので、反逆者を処刑するミッションではトラブルシューター同士が相手を出しぬき、仲間を反逆者として告発・処刑していくゲーム。しかし、善良な市民(に見える者)を殺せばそれも反逆罪なので注意が必要です。



また、素晴らしく危険な実験兵器のテストを任されることもあります。闇雲に使えば爆死する上に管理不行き届きで罰金や反逆罪に問われる上、機転を効かせれば、爆発を開発部門のせいにすることもできるし、事故に見せかけて反逆者を排除なんてこともできるかも。

更にプレイヤーには秘密結社からの任務も託されており、それらはかなりの反逆行為ですので、バレないように上手にこなしていく必要があります。コンピューターの機嫌を損ねないように、なめられる靴があったらどんどん舐めていくスタイルでいくのがよいでしょう。その靴に強酸が塗られていたとしても。

そんな命が安い世界なので、プレイヤーキャラクターたちは全てクローンであり、さらに複数の予備が用意されているので、死んでも新たなクローンとして生まれ変わりトラブルシューターとして活動することができます。

ゲームマスターはコンピューターとして、完全無欠の為政者であり市民の親愛なる友人として自らへの奉仕を促し、反逆者を効率よく排除していきます。当然、そんなコンピューターに支配された市民は幸福である=幸福は義務なので、幸福ではない市民やコンピューターに敬意を払わない者は即座に反逆者として処刑していきます。

こんなブラックなジョークに満ちた理不尽なディストピア世界が舞台であり、仲間と協力しあって冒険などせずに互いに処刑するチャンスを伺い合うという異色の作品なので、かなり人を選びますが、こういうジョークがわかる人たちで集まってきっと楽しめるはず。オンラインセッションもやりやすいデザインになっています。

この幸福なゲームをプレイするためにはプレイヤーもマスターも『パラノイア【トラブルシューターズ】』があればOK。ニコニコ動画上でファンが作ったリプレイ動画がたくさんありますので、気になる方はそちらも合わせてチェックするとよいでしょう!

■「ウォーハンマーRPG



・著者:Chris Pramas
・出版:ホビージャパン
・価格: 3800円(税別)

『ウォーハンマーRPG』は、中世ドイツ風の「エンパイア」を中心とする超ダークなファンタジー世界「オールドワールド」で、血生臭さい冒険をするTRPG。

「オールドワールド」はミニチュアゲームの『ウォーハンマー・ファンタジーバトル』と同じ世界であり、『ウォーハンマー』はデジタルゲーム化もされているので、そちらで知っているという方もいらっしゃることでしょう。

その特徴はなんといっても、その残酷な世界観。度重なる戦争で人々は疲弊し、街は悪臭と悪漢で満ち溢れ、街を一歩出れば、悪臭・悪漢はそのままに、オークや獣人が闊歩し、人々の命を狙ってきます。

さらに、オールドワールドは「混沌」の軍勢に何度も襲われており、冒険の中で混沌の神を信仰するカルトや悪魔とその眷属、混沌によって姿を変えられてしまったミュータント達たちと戦うはめになることもあったりします。

また、そんな者達との戦えば、手足がちぎれたり、目が潰れたりと大変グロい怪我を負い、いとも簡単に死に至ります。もちろん、怪我で済んでも伝染病にかかったり、やぶ医者兼床屋に運ばれてやっぱり死んだりします。

そんな世界なのに、冒険をするプレイヤーキャラクターたちは、「ネズミ捕り」や「炭焼き人」などといった「それ冒険者なの?」と不安になるようなキャリア(職業)につくこともあり、一筋縄ではいかない奇妙なパーティーが作られ、そんな奴らを英雄へと成長させていけるのが面白い。

設定は暗くて重厚ですが、ルールはスッキリとまとまった軽めの作りであり、戦闘システムは戦術性に優れているのも大きな魅力。世界観さえ好みであれば、初心者でも楽しく遊べるタイトルだと思います。

ゲームをプレイするためにはプレイヤーもマスターも『ウォーハンマーRPG 基本ルールブック』があればOK。最近増刷されたばかりで、Amazon等には十分に行き届いていない可能性がありますが、専門店や書店で注文すれば買えますのでご安心ください。

公式サイトでリプレイが公開されている他、ニコニコ動画の「テーブルゲームチャンネル」で、毎月プレイ風景を無料配信中(生放送とアーカイブ放送の両方が用意されています)。ちょっと宣伝っぽくなりますが、筆者も出演・協力しておりますので是非一度ご覧になってみてください!
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それでは、最後にTRPGをどこで買ったらいいかをご紹介しましょう。
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《傭兵ペンギン》

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