【アナログゲーム決死圏】第8回:『DORASURE』製作者インタビュー!ミニチュアゲームのエントリーモデル

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【アナログゲーム決死圏】第8回:『DORASURE』製作者インタビュー!ミニチュアゲームのエントリーモデル
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第2回でご紹介した協力型ミニチュアボードゲーム『DORASURE(ドラスレ)』。今回は、そのデザイナーであるKTRさんと、販売元でもある東京・高円寺のミニチュアゲーム・ショップ「ジャイアント・ホビー」の代表の竹内大治さんに、インタビューをしてまいりました。


◆アナログゲームとの出会い


――お二人は、どのような形でアナログゲームと出会ったのですか?

KTR:かれこれ20年くらい前になりますが、本屋さんでTRPGの『ソードワールドRPG』を見つけたのが最初の出会いですね。でも、当時は田舎に住んでたということもあって、周りに一緒に遊んでくれる人はいませんでした。そこで、読んでいるだけじゃダメだと思い、1人で遊べるような自作のTRPGを作りました。それから高校で文芸部みたいなものに入って、ボードゲームというのを知りました。文芸部といっても、半分くらいがトランプかボードゲームやっているようなところでしたね。

竹内:自分はゲームブックで遊んだのが最初だったと思います。ただ、そんなにディープにハマったわけではなく、外で遊んでることが多かったですね。中学や高校ではアナログゲームだと、マージャンでもよく遊んでました。テレビゲームも、ゲーム機を買ってもらえなかったんで小さい時はあんまり触れることは多くありませんでしたね。

――でも、竹内さんはそこからミニチュアゲームのお店を開くんですよね?

竹内:自分はモノ作りが好きで、宝飾のワックス原型を作る仕事をしていました。で、独立して会社を作るなら、楽しい物を作りたい。楽しいものといえばゲームかなと考えていました。そこで(後に共に店を開く)加藤と、独立したらミニチュアを使ったボードゲームみたいなものを作ったら面白そうだよね、と話していました。で、ある時、ミニチュアゲームの『ウォーハンマー』の存在を知って、これから作るものの参考にするために体験会に行ってみたんです。

そんなことを考えながら遊んでみたら、当初の目的を忘れてしまうくらいにすごくハマってしまったんですよ(笑)。 こんな軽い感じで店を開いてしまうんですが、アナログゲームに本格的に遊ぶようになったのはビジネスありきという形だったんです。

◆『DORASURE』誕生


――『DORASURE』の制作の経緯は?


竹内:ジャイアントホビーは、『サイクロプス』というミニチュアゲームを最初に発売したのですが、当時はゲーム制作の経験者を入れずに、ルールもミニチュアの原型も自分たちで作ったのですが、なかなか思うようにはいかず、結果として良い経験にはなりましたが、挫折感も味わいました。「餅は餅屋」だなと。

そこで次のミニチュアゲームを作るときは、ちゃんとゲームデザインが出来る人を入れようということにしたのですが、ミニチュアゲームを遊んでいて、ゲームデザインも出来るという人を探した結果、一緒に『ウォーハンマー』で遊んでいたゲーム仲間で、お店にも来てくれていたKTRさんに依頼することになりました。そこから紆余曲折あって、まずはニッチなミニチュアゲームではなく、ボードゲームなのではないかということになり、ボードゲームを作ろうという形になりました。

KTR:当初のミニチュアゲームの案も、色々話が膨らんで面白かったんですけどね。

竹内:僕らは始まりがミニチュアゲーム・メーカーなので、やはりボードゲームを作るとしても軸となるのは、ミニチュアゲームなんですよね。なので、ボードゲームは、かなりニッチなミニチュアゲームというものに対してのエントリーモデルというコンセプトで作り始めました。エントリーモデルということで、KTRさんには、簡単なルールで短時間で遊べるモノというリクエストをしてデザインをしてもらいました。


そんな形で、2013年にミニチュアを使ったSF協力ゲームである『サルガッソーからの脱出』を発売し、その翌年に、ファンタジー協力ゲームの『DORASURE』を発売しました。

――ボードゲームをデザインする上で影響を受けた作品はありますか?

KTR:『キャメロットを覆う影(Shadows Over Camelot)』(アーサー王伝説がテーマの協力ゲーム)と『パンデミック』(伝染病の根絶を目指す協力ゲーム)ですね。短時間で遊べる『パンデミック』と、手軽さを捨てて様々な要素を山盛りにした『キャメロットを覆う影』は、どちらも協力ゲームの可能性を最大限見せてる究極の作品だと思っています。

竹内:僕らはKTRさんが持ち込んでくるゲームでよく遊ぶんですが、その中でも『キャメロットを覆う影』はとにかく面白かったですね。

――『キャメロットを覆う影』もミニチュア使うボードゲームですね。

KTR:そうなんですよ。そういう面でも、原点といえるタイトルです。あと裏切りの要素も気に入っています。その辺は、今後『ドラスレ』にもどうにか持ち込みたいですね(笑)。他の影響で言えば、自分はゲームをデザインする上で、完全に新しいゲームを提示しようとするのではなく、今まで遊んだゲームの不満な部分を解消するような形からデザインを始めています。

竹内:モチーフや雰囲気はいいんだけど重すぎるゲームとか、遊んでみてちょっと残念だったタイトルの話をいつもしながら、アイディアを出し合っていますね。

――『DORASURE』を作る上で最も苦労したことはなんですか?

竹内:いろいろありましたが一番大変だったのは、KTRさんから上がってきたルールにひとまずOKを出して、発売予定日の数ヶ月前まで置いておいて、最終的な数値とかを調整するためにテストプレイをしてみたら、テストプレイヤーの反応が「これ、面白くない」ってなった時ですね。その段階で、イラストやコンポーネントのデザインもある程度仕上がっていて、『DORASURE』という名称も発表していたタイミングだったのですが、そこから全部ひっくり返って、会議を重ねた結果、ほとんど違うゲームに変わりました。

KTR:当初は敵と戦ってアイテムを拾って……という、ハック・アンド・スラッシュのRPGのようなゲームでしたね。

竹内:リソースもだいぶ複雑で、今ある経験値やアイテムの他に所持金もありました。

KTR:大規模な修正を入れるとなってから、泊まりこみでテストプレイして、その結果を持ち帰って直して、またテストプレイをしてというような状態を繰り返していました。実は前々から婚姻届けを出すことを決めていた時期でもあって、提出当日も、出した後すぐに制作に戻るというような感じになってしまいました(笑)

竹内:KTRさんの記念日をいきなり潰してしまうという形になりましたね(笑) 前作の『サルガッソーからの脱出』の制作がスムーズにいったので、その感覚のままやってみたら、大変なことになったという感じです。とにかくこの影響で、当初販売を行う予定だったゲームマーケットでも、発売延期のチラシを撒くだけになってしまいました。根本的な部分から変えるという案もあったのですが最終的に、RPG要素を持った協力ゲームでやりたいというKTRさんの方針を維持して、完成に至りました。

KTR:このおかげで結婚記念日は忘れないですね(笑)

――そんな苦労の末、大好評となったわけですね

竹内:今まで出したタイトルの中では一番の売上ですね。既に5000個生産し、拡張も各2000個生産しました。基本セットに加えて、拡張版もかなり買って頂いていて、最初は正直びっくりしました。

KTR:そういえば、ゲームマーケットで拡張版を出すタイミングでは、本体の生産が追いついていないのも大変でしたね。お昼くらいには完売してしまいました。

竹内:このままミニチュアを使うボードゲームとして定番タイトルになれれば、と思っています。あとは、そこからミニチュアゲームを多くの人に知ってもらいたいですね。

◆『DORASURE』ヒットの要因



――ヒットの要因はなんだと思いますか?

竹内:国内でファンタジーもののボードゲームはあんまりメインにはなっていなくて、その隙間にハマったのではないかと思います。あとは、価格設定とアートワーク、コンポーネントの雰囲気も含めて、気に入ってもらえたのだと感じています。あとはSNSで情報の共有がされて、ボードゲームを知ったばかりの人が最初の一本として『DORASURE』を選んで、遊んでくれているケースも結構あるようですね。

KTR:『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といったようなファンタジーRPGというイメージで、皆が気軽にわいわい楽しめるというところもあるような気がします。ゲームが簡単に遊べる一方で、ドラゴンを倒しゲームをクリアするという難易度は高めに設定してあるので、繰り返し遊びたくなるというのもあると思います。

竹内:あと、プレイ人数が(拡張版を導入することによって)1人~11人という幅になっていて、大人数から、協力ゲームでは異端のソロプレイもできるというところが受けたのかもしれません。ソロプレイの拡張版はSNSで「遊びたいけど、相手がいない」という声が寄せられたのを参考に作ったものです。こういった形で、最初からあまりかっちり計画をしなかったことが、結果として面白いものが生まれましたね。

――『DORASURE』の金属製のミニチュアはどうやって作っているのですか?



竹内:ミニチュアって、海外とは違って、国内だと専門の業者がないんですよね。なのでうちは、車の模型を作っている工場にお願いして量産をしています。基本的にそういう工場では人型は作らないので、かなりレアなケースになっていると思います。ちなみに、工場はかなり人力なので皆さんのお手元に届くミニチュアは、工場の人たちによる手がだいぶかかっていまよ。
(DORASUREのミニチュアは未塗装で販売されています)

◆アナログゲームの今後


――今後アナログゲームはどのような展開を見せると思いますか?

KTR:やはりデジタルゲームとの関係がどうなるか、というところがポイントだと思います。最近だとスマホのゲームは対戦型ではなく育成ゲームに近いもの主流で、そこに軽い交流と協力要素のあるものが人気だと思いますが、それはアナログゲームにも近く、親和性がいいのではないかとも感じています。逆に言えば、そうやってどこにでも持ち歩けるスマホで、みんなで気軽にわいわい盛り上がれてしまう現状に、どうアナログゲームが差し込んでいけるかというのが、大事になると思います。そしてそこでは、軽めなゲームが遊ばれるのではないかと考えています。

竹内:ボードゲームのプレイヤーは現在増えていて、メーカーもちゃんとやっていけるようになっていると思いますが、これからさらに広い層に存在を知らせていかないとこれ以上は増えないかもしれないという危惧はあります。一方で、僕らの主眼であるミニチュアゲームは、どんどんコアな路線に向かっています。

KTR:それこそ、さっき言ったようなスマホのゲームなどとは真逆の方向性ですよね。コアなユーザーはお金を落としますが、新規はあまり入ってくるのが難しいというような。なのでこれからのミニチュアゲームは、より気軽に遊べて、熟練度による差があまり出ず、勝敗にはそれほどこだわらずにも楽しめるという要素が重要になると思います。

竹内:文化として定着させるためには、新規のプレイヤーを獲得しつつ、色んな所で遊んでもらわないと。こんな感じで、アナログゲーム全体というよりは、どうしてもミニチュアゲームの事を考えてしまいますね。

――ジャイアントホビーとしては今後どんなゲームを出す計画ですか?

竹内:まだ青写真ばかりで話せる状態のものはないですね。基本的にはミニチュアゲームのエントリーモデルになるようなボードゲームを出していくとは思いますが、やはり今後はミニチュアゲーム自体も出したいですね。

◆ミニチュアゲームショップ「ジャイアントホビー」



――高円寺にある「ジャイアントホビー」の店頭ではどんなゲームが遊べるのですか?

竹内:お店ではミニチュアゲームの『ウォーハンマー40,000』と『ホビット』がよく遊ばれています。

あと、お店でミニチュアのペイント(塗装)が出来るスペースがあるので、そちらの利用もすごく多いです。『DORASURE』を含めミニチュアの塗り方も説明するので、ミニチュアのペイントに興味がある人もぜひ気軽に来て欲しいですね(お店の詳しい情報は、公式ページを御覧ください)。



■「DORASURE(ドラスレ)」
・プレイ人数:2~5人(拡張版で1~11人) 
・プレイ時間:30分 
・対象年齢:10歳以上 
・デザイナー:KTR 
・販売:ジャイアントホビー 
・価格:3900円(税込)

「DORASURE(ドラスレ)」は、こちらの「ジャイアントホビー」店頭、オンライン・ストア及び全国のボードゲーム取扱店等で販売中。

【筆者プロフィール】
■傭兵ペンギン
フリーライターとして働く傍ら、時々アナログゲームの翻訳をしております。アナログゲームと筋肉映画が大好物。最近はホビージャパンのテーブルゲームチャンネルでTRPG『ウォーハンマーRPG』のプレイ風景を生配信する番組に出演中。アーカイブ動画もありますので、是非チェックしてみてね!
Twitter:@Sir_Motor

《傭兵ペンギン》

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