【hideのゲーム音楽伝道記】第26回:『ドラゴンクエストビルダーズ』―『ドラクエ』音楽の魅力を改めて実感!

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第26回目となる今回は、『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』をご紹介します。

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【hideのゲーム音楽伝道記】第26回:『ドラゴンクエストビルダーズ』―『ドラクエ』音楽の魅力を改めて実感!
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第26回目となる今回は、『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』をご紹介します。



『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』(以下『ドラクエビルダーズ』)は、2016年1月28日にスクウェア・エニックスからPlayStation 4、PlayStation 3、PlayStation Vitaで発売された作品です。

本作の舞台は、シリーズの初代作品『ドラクエI』などに登場した世界、「アレフガルド」。『ドラクエI』のラスボス・竜王の「わしの味方になれば 世界の半分をおまえにやろう」という誘いに、勇者が「はい」と答えてしまったことで闇に包まれ、荒廃してしまったアレフガルドが舞台となります。


「ブロックメイクRPG」と銘打たれた本作は、"ものづくり"をしながら物語を進めていく形のRPGです。プレイヤーは、自らものを作り出せる能力を持った「ビルダー」となり、荒廃したアレフガルドの復興と、竜王の討伐を目指します。

本作のアレフガルドは全てがブロックでできていて、地面や岩壁を採掘したり、モンスターを倒したりすることで様々な素材を入手できます。その素材を使ってアイテムや建物を作りながら町を大きくしてゆき、町に少しずつ人々を集め、復興させてゆくのです。

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さて、そんな新たなスタイルの『ドラクエ』が楽しめる本作では、すぎやまこういち氏が作曲を手掛けてきた『ドラクエ』シリーズの中から、I~IVの音楽がオーケストラ風にアレンジされた楽曲が流れます。フィールドでは『ドラクエI』の「広野を行く」などの歴代のフィールド曲。町の中では、歴代の町や村の楽曲。そして、竜王の手先が町に攻めてくる「竜王軍バトル」や、各章の最後に待っているボス戦では、もちろん戦闘曲が流れる形になります。なつかしの『ドラクエ』音楽が次々に登場しますから、往年の『ドラクエ』ファンの方にはたまらないですよ。


僕が本作をプレイして感じたのは、「やはり音楽の力というものはすごい!」ということです。『ドラクエ』の音楽が流れるだけで「ああ、『ドラクエ』だ!」と実感できるのはもちろんのこと、改めて『ドラクエ』の音楽が持つ魅力をひしひしと肌で感じました。

本作の音楽の中で僕が特に印象深かったのは、3章のフィールドで流れる「遥かなる旅路」(出典:『ドラクエII』)という楽曲ですね。どこまでも広がる砂漠や雪のフィールドを勇敢に進む主人公と仲間たち。心に沁みわたるような、凛とした美しいメロディで胸おどる冒険を盛り上げてくれます。僕はゲームをプレイしながらこの曲を聴いていて、あまりにも胸にじーんと来てしまい、手を止めて音楽に聴き入ってしまうことも度々あったくらい、本当に気持ちのいい冒険を味わえました。

すぎやま氏の紡ぐ美しいメロディには、理屈抜きで、音楽としての純粋な魅力を感じます。今まで『ドラクエ』シリーズを全くプレイされたことのない方でも、本作をプレイして音楽を聴けば、その魅力をじゅうぶんに感じられるのではないかと思いますよ。ぜひ実際にプレイして確かめてみていただきたいです。

「遥かなる旅路」、「勇者の故郷」など、本作で流れる歴代の『ドラクエ』フィールド音楽には、荒廃してしまった世界の切なさが表現されつつも、同時に「竜王を倒して平和を取り戻してやるぞ!」という、悪と戦う強い意志を感じられる楽曲が多いです。その雰囲気は、“荒廃したアレフガルドを復活させる” という本作のコンセプトにぴったり合っている気がしました。

ちなみに……ネタバレを避けるため、ここではぼかして書かせていただきますが、終章では『ドラクエIII』がお好きな方ならきっとニヤリとするであろう“あの曲”も流れます。「ここでこの曲を持ってくるかァー!」と叫んでヒザをバンバン叩きたくなる、すんばらしいニクイ選曲になっています。『ドラクエIII』ファンの方は必聴ですよ。

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また、本作のフィールドには時間の流れがあり、朝、夕方、夜……と時間の流れに沿って景色が変わっていくのですが、夜になると何やら不穏な音楽が流れてくるのです。これは『ドラクエI』のダンジョンで流れる「洞窟」という楽曲で、かなり怖いんですよ(笑)。不安をあおるような旋律が、夜の暗闇をうまく演出しており、プレイヤーを心細くさせてくれます。原作ではダンジョンの中で流れていましたが、この曲を夜の時間帯に流すというのはうまい使い方だと思いました。僕は初めて夜のフィールドに出て音楽を聴いた時、「うおお、こわっ!」と思いつつ、「この曲を夜に流すとは…!絶妙な選曲だなぁ」と感心しましたね。

それ以外にも、本作ではこれまでの『ドラクエ』シリーズの音楽が絶妙な形で使用されています。ネタバレを避けるために直接的には書きませんが、各章の最後に待ちうけるボスを倒すと、町の音楽に“ある変化”が起こったり。音楽を非常にうまく演出に活かしていると感じました。ぜひ、音楽にもじっくり耳を傾けてプレイしてみてほしいです。

ちなみに、ゲーム中とある場所で手に入れることができる「なつかしの竪琴」というアイテムを使用すると、流れる音楽をファミコン風の音源に変えることができます。昔の音源に変えられるという仕掛けは、ファン心理を非常によく分かってくださっていて嬉しいですね。聴いていると懐かしさがこみあげてきます。昔からの『ドラクエ』ファンの方は感涙モノだと思いますよ! ご興味をお持ちの方は、ぜひ「なつかしの竪琴」を探してみてください。

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『ドラクエビルダーズ』は非常に自由度が高く、集めた素材やアイテムを使って思うがままに建物を作るなどして、自由なものづくりが楽しめます。しかし、ただそれだけのゲームではありません。本作はナンバリングの『ドラクエ』にもひけをとらないほどシナリオが濃厚です。シリアスで考えさせられる展開あり、思わず笑ってしまうギャグ要素もあり、物語の面でもじゅうぶんにプレイヤーを楽しませてくれます。正直、意外なほどストーリーモードのボリュームがあり、またしっかりしたシナリオだったので、僕は先の展開が気になってドハマリしちゃいました。単なる外伝作品ではない、『ドラクエ』の名に恥じない1本に仕上がっています。

本作について、「ものづくりするRPG?難しそう」「私にもできるかな」と不安に思う方も少なくないかもしれませんが、安心してください、遊びやすいですよ! 本作はとにかくゲーム中の説明が親切で分かりやすく、とっつきやすい作品です。建物も、自分で全部イチから作るわけではなく、設計図が用意されていたりしますし。この万人に向けた遊びやすさは、さすが『ドラクエ』!と感心しました。

『ドラクエビルダーズ』は、『マインクラフト』や『テラリア』などの、いわゆるサンドボックス系のゲームをプレイしたことのない方や、『ドラクエ』シリーズ本編をプレイしたことのない方でも楽しめると思います。あなたもぜひ『ドラクエビルダーズ』で、ものづくりの楽しさと、冒険のワクワク感を体験してみてください。

ただひとつ気をつけていただきたいのが、「ハマりすぎにはご注意を!」ということですね。このゲーム、本当に中毒性が半端じゃないですから…(ちなみに僕は発売直後に購入してから、夢中になってひたすらプレイして、1週間ほどでクリアしちゃいました)。寝不足にはご注意ください(笑)。忠告はしておきましたからね!

なお、PS4およびPS Vitaでは本作の体験版が配信されていますので、ハードをお持ちの方はまずそちらで触り心地を確かめてみるのがおすすめです。ご興味をお持ちの方はプレイしてみてください!

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。『ドラクエV』のお嫁さんはビアンカ派!

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》

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