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まず驚きだったのが、ゲーム内のシネマティックシーケンス。これまでカットインシーケンスはフルCG、またはゲームエンジンを活用したノンリアルタイムレンダリングが当たり前だったのですが、デモでは、ウィリアム大尉が、僧侶と会話を続けるシーン中も主人公キャラクターをグリグリ動かしていました。まわりにうごめくキャラクターもそれぞれが自律的に動いていたようです。カットシーンでありながら、自らがその場で状況を観察しているような雰囲気を味わえるのです。また、冒頭シーンも街は数多くのNPCで「賑わって」いました。その人ごみのすごさは、まさにXbox360のGPUパワーを使い切ったという感じでした。
■表面的だけでない質感をリアルに表現
ヒト以上に多いのはさまざまなオブジェクト。質感もリアルに表現されていました。レイモンドさんによれば、ゲーム内で描かれている教会などもフランスの著名な教会を細かくモデリングしてその雰囲気を反映しているとのことです。
ただ、これらは、単に質感がリアルに描画されているだけではありません。
物質上の凹凸は単なるテクスチャーではなく実際に凹凸がつくりこまれているとのこと。今回のデモでは、人目を避けながらウィリアム大尉を見つけ出すために、建築物の最上階まで這い登るシーンがあったのですが主人公キャラクターがそれらをよじ登ろうとするとき、壁上の凸凹ひとつひとつを足がかりする様子を実演していました。
このようにして最上階にたどりついてから、演説中のWiliam大尉に対し飛びかかり一気に倒して任務終了。通常のゲームの場合、ターゲット(ボス)を倒したところで、スコアなどが表示され、次のレベルへと進むというのが一般的ですが、そのようなシーンでも一筋縄でいかないのが、『アサシン』流。
Wiliam大尉が暗殺されたことで街全体に厳戒体制がしかれ、それぞれの衛兵も警戒しながら、犯人を見つけるべく躍起になっているという展開にシームレスにつながっていきます。
■驚異のA.IがNPCの人間らしさをつくりあげる!
このようなダイナミックな変化で驚かされるのが敵NPCのA.I。プロデューサーのレイモンドさんがデモの解説で最も強調したのがこの点でした。各々のNPCが自律的に動くというのは既に他のゲームでも実装されているような機能ですが、『アサシン』では、壁ごしにターゲットを確認する事や、主人公キャラへの最短ルートを確認しながら襲撃するといった「人間的」な行動をとるようなプログラムも実行されているとのことです。また、衛兵たちは、わけもなく剣をもって徘徊しているわけではなく、緊急度によって、衛兵の行動や態度、剣の差し入れといったひとつひとつに変化をデモ中でも見ることができました。
当然のことながら本ゲームでは、暗殺執行後もゲームが続き、市外へ無事に逃亡することでステージクリア。それまでは息をつかせない展開がプレイヤーを待っているというわけです。
ここで今回のデモは終了。その後は、プロデューサーであるレイモンド氏との質疑応答が行われました。レイモンドさんによると、ひとつのゲームステージはだいたい2平方マイルという広大な空間上に存在するとのことです。ただ、デザイナーは通常自由なゲーム空間があるゲームを「Sandbox(砂場)」と表現するところを、スタジオ内ではこれを「Flowerbox(フラワーボックス)」と表現しているそう。これは、単に自由度の高い空間が用意されているだけなく、プレイヤーにあっと言わせる仕掛けが随所に織り込まれているという意味をこめているようです。事実、マルチエンディングは用意されていないものの、一人ひとりのプレイヤーがまったく違うゲーム体験をしていることがユーザーテストを行った時に明らかになったとのことです。
■プレイスタイルで変わるゲーム性
これは、各ミッションでターゲットに近づくために6つの調査選択のうち2つをこなす事で他の選択は出来なくなってしまうため、そこで得られる情報も変わってくるからです。また、暗殺方法も派手に戦うことも出来れば、隠密行動も取れ、それによってプレイ環境も変わってくるということで、結果的にプレイ感覚もプレイヤーの選択で随分と変わってくるとのこと。今回、設定をイスラエルにしたのは、暗殺者(アサシン)グループがこの時期の中東に生まれ、それが『アサシン』の語源にもなったことから。このある意味壮大な歴史の流れを自らのクリエイティビティを最大限に発揮してつくりあげた『アサシン』を手にしたとき、僕たちに如何なる体験を与えてくれるのか、今から待ち遠しいです。
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