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なお、MT FrameWorkとは、“高画質処理”や“マルチコア対応”だけでなく、プレイステーション3、Xbox360、Windowsなどの“マルチプラットフォーム対応”にもなっているゲームエンジンのこと。カプコンでは、『バイオハザード5』、『デビルメイクライ4』などの発売予定タイトルが、このMT FrameWorkによって現在制作されている。
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■ Xbox360版は、約1年2か月、PC版は、約5ヵ月で制作
『ロストプラネット』の開発は、当初プレイステーション2版として、2004年4月にスタートしたという。その後に、2004年11月にはMT FrameWorkの開発が始まり、2005年9月にはXbox360版の開発もスタート。Xbox360版は、なんと約1年2か月で、開発を終了したことになるという。また、PC版に関しては、2007年1月に開発をスタートさせ、5月末にはマスターアップするとう、異例とも言える短い開発期間だと紹介された。
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プレイステーション2版は、Xbox360版にも近いコンセプトで開発されていたという。開発には、最初イメージ画を制作し、そこからCG化してプレイステーション2での表現レベルを決定したと紹介された。そのあと、会場では、プレイステーション2版として開発された、『ロストプラネット』の映像が上映される。ビデオから感じられるゲーム性もXbox360版に近く、このときゲームの企画部分はほぼ固まっていたことが感じられる。
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2005年度には、Xbox360版への移行が決定。まず行われたのは、先行して開発されていたMT FrameWorkでの研究開発だという。講演では、研究開発時の細かな作業進行状況が解説され、各制作担当が使用したツール類なども公開。そして、Xbox360プロトタイプ版のムービーも公開された。製品版では人気俳優イ・ビョンホン氏がモデルとなっている主人公ウェインが、このムービーでは白人のキャラクターとなっており、かなり初期の映像のようだ。
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■ 『ロストプラネット』で使用された制作テクニックを公開
講演は、“キャラクター”や“背景”、“ビジュアルエフェクト”などに関するテクニカルな内容に移行。遠近に関するキャラクターモデルの紹介や、光源の処理方法、なじみのよい影の付け方などについての技術的な細かい講義が続いた。
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『ロストプラネット』では、雪が降り続いているがシーンが多数登場するが、それらのシーンもカメラのまわりと上下に雪の降るエフェクトをつけ、常に雪が降っているような演出をしていたなどの、テクニックなども紹介されていた。
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■ 予想に反して難産であったPC版
一連の技術解説が終わると、PC版の話に移行。PC版は、Xbox360版とデータの互換性があり、比較的簡単に移植できるだろうと想定していたものの、実際には大きな問題とぶつかったという。
当初は、DirectX10のみだったが、売上げ的なものを考え、WindowsXPやDirectX9にも対応することになる。オンライン対戦環境も、Xbox360のXboxLiveとPCのGAME for Windowsのクロスプラットフォーム対戦も予定していたが、ライブラリーが間に合わず、VALVe社のSteamを使用すること変更される。また、Xbox360クオリティよりも劣る低中スペックマシンにも対応し、フレームレートなどの調整も必要になったという。
また、8月のアップデートでDirectX10に正式対応し、さらに表現力がアップし、その様子を細かに紹介。Xbox360にも勝るグラフィック表現が可能になったという。
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そして、最後には、現在MT FrameWorkを使用して開発中の『バイオハザード5』と『デビルメイクライ4』の最新映像を流して講演を締めくくった。
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