Shoot It! - #047 Shoot It!版! 2007年のEスポーツ重大ニュース

手前味噌ですが、当コラムShoot It!の記事から「Eスポーツ重大ニュース」を上げつつ、2007年を振り返ってみます。2007年は日本のEスポーツにとっていくつかの転機を見た年でした。総論としては"前向きな年"でした。新しく組織ができました。新しいゲームや周辺機器、新しいサービスが登場しました。思い切って海外に飛び出した仲間もいます。2005年までに海外のEスポーツの情報がどんどん紹介されて、2006年にBIGLANやオンライン大会が活発になり、ゲームプレーヤーに"ゲームで競技する"という認識が広まりました。それを受けての2007年。大きな動きはありませんでしたが、Eスポーツの社会的認知が高まる兆しがいくつも見られたように思います。

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Shoot It! - #047 Shoot It!版! 2007年のEスポーツ重大ニュース
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手前味噌ですが、当コラムShoot It!の記事から「Eスポーツ重大ニュース」を上げつつ、2007年を振り返ってみます。2007年は日本のEスポーツにとっていくつかの転機を見た年でした。総論としては"前向きな年"でした。新しく組織ができました。新しいゲームや周辺機器、新しいサービスが登場しました。思い切って海外に飛び出した仲間もいます。2005年までに海外のEスポーツの情報がどんどん紹介されて、2006年にBIGLANやオンライン大会が活発になり、ゲームプレーヤーに"ゲームで競技する"という認識が広まりました。それを受けての2007年。大きな動きはありませんでしたが、Eスポーツの社会的認知が高まる兆しがいくつも見られたように思います。



・日本Eスポーツ協会準備会、日韓戦を開催

なんと言っても日本Eスポーツ協会準備会の誕生は大きなニュースでした。日本Eスポーツ協会ではなく、"準備会"が付いているところが気になります。組織を立ち上げるにはヒト・モノ・カネという資源が必要で、まだ整っていない要素があるのでしょう。「機は熟していないけれどとにかく進むんだ」という決意が"準備会"の文字には込められているように思います。何もしなければ進みません。しかし、スポーツの世界で重要なことは「やりたい」ではなく「やった」です。その点はどうかなと注目していましたが、12月に日韓戦を開催し、国内一般メディアにEスポーツを知らしめました。この功績は大きいと思います。来年は正式に発足し、日本のEスポーツの幹として期待したいですね。

・日本人ゲーマー、海外に飛び出す

日本人選手が海外で競技すると言えば、世界大会の日本予選に勝ち抜き、代表として参加する例が思い浮かびます。WCG2007では『デッドオアアライブ』の活忍犬選手が日本代表に。GNGWCでも5種目で日本代表選手団が結成されました。それに加え、今年は個人的に手配して単身で海外へ向かう選手が目立ちました。FPS『カウンターストライク』のnoppo選手がスウェーデンへ留学。『デッドオアアライブ』の餅A選手、『クエイク4』のuNleashed選手がアメリカとカナダの大会に参加しています。

noppo選手は2006年のWCG(ワールド・サイバー・ゲームズ)にFPS『カウンターストライク』の日本代表でした。彼にはWCGに行く直前にインタビューしています。その時は、ホームステイしながら留学の下見をするというお話でした。しかしその後、きちんと大学に入ってスウェーデンに渡り、プロチーム「Afterlife Gaming」のメンバーとして活躍中です。今後、noppo選手の名前が海外のEスポーツサイトに登場するかもしれません。

餅A選手もWCG2006の日本代表でした。彼は日本在住ですが、WCGで仲良くなった世界の選手たちと交流し、アメリカの大会に参加するため渡米しています。彼にもインタビューしました。ゲームが人を繋ぐ力。ゲームで学んだこと。「ゲームで強くなるといいことがあるんです」という言葉が印象的でした。新入社員の彼が余暇でゲームライフを満喫している。その姿に、多くの社会人ゲーマーを勇気づけられたことでしょう。

uNleashed選手は日本でcode-Realityなどのオンライン大会や、Eスポーツスタジアムなどに参加した後、ポルトガルのプロチーム「Team Excello」に所属しています。現在は日本に戻っていますが、アメリカのダラスで開催されたクエイクコン、カナダのWSVG(ワールドシリーズ オブ ビデオゲームズ)トロント大会で戦ってきました。uNleashed選手とは先日、SteelSeriesの新製品発表会でご挨拶させていただいたので、いずれきちんとお話をお伺いしたいと思います。

ちなみに「Team Excello」はポルトガルに住まなくても、日本にいながら契約できるプロチームのようです。昨年は元AXG(アグレッシブジェーン)のgure選手が登録していましたし、今年の春には元4dNのENZA選手も『ウォークラフト』で契約しています。海外で経験する方法にもいろいろあるようです。彼らが海外に目を向けるきっかけとして、かつて日本から自費でCPL(サイバーアスリート・プロフェッショナルリーグ)に参加した4dNや、日本の企業の支援を受けてイギリスに在住したSIGUMA選手の存在があったことでしょう。

日本で彼らの情熱を受け止められる環境が整っていないことに寂しさも感じます。しかし、彼らは不満を募らせることなく、自らの新天地を海外に求めました。彼らが故郷に錦を飾れるように、日本社会にEスポーツの認知度を高めておく必要があります。

・オンラインFPSが日本で次々にサービス開始

2006年11月にサービスを開始した『SPECIAL FORCE』以来、『WarRock』、『テイクダウン』、『サドンアタック』など、ゲームポータルサイトが運営するFPSゲームが続々と登場して盛り上がりました。基本料金無料、アイテム課金、キャラクターのレベルアップ、チャット機能のわかりやすさなど、MMORPGの要素を採り入れたせいか、かなり多くのユーザーを獲得したようです。日本ではPCゲームは流行らない、FPSゲーム不人気などと言われていましたが、実は不人気ではなく、いままで体験する機会がなかったということでしょう。

オンラインFPSの流行については「ゲームポータルサイトのパーティゲームやMMORPGに飽き始めた人々が、新しい刺激を求めて試し、その面白さがあらためて広まった」と言えそうです。先日開催されたBIGLANでは、サドンアタックの全国大会最終戦に何百人もの観客が訪れました。FPSの観戦だけで大勢の人々が来たことに、感慨深いものがありました。チーム戦FPSでは世界的に『カウンターストライク』が人気ですが、韓国ではそのゲームポータル向け仕様、『カウンターストライク・オンライン』のβテストが行われました。日本でもサービス予定とのこと。これが本命かもしれません。

・ゲームミングマウスの日本市場導入相次ぐ

上記のオンラインFPSの人気とリンクしていると思われた現象がゲーム用マウスの新作ラッシュでした。2005年にRAZER社が日本市場向けに出荷を開始しましたが、主にPCパーツ専門店向けだったこともあって、"知る人ぞ知る逸品"という位置づけでした。ところが今年は、そのRazerがマイクロソフトと共同開発した「Habu」が発売されました。日本ではマイクロソフトの強力な販売網に乗り、家電量販店のパソコンコーナーにも置かれました。ゲーム用マウスが入手しやすく、一般に認知されるきっかけとも言えそうです。

それ以前からゲーム用マウスを出荷していたロジクールは新しいコンセプトの「G9」を発売。続いてマイクロソフトが「サイドワインダー」のブランドをゲーム用マウスで復活させます。最近ではSteelSeriesが「Ikari」を発売しました。そして日本製のゲーム用マウス「DHARMA TACTICAL MOUSE」も発表され、来年の1月に発売予定です。

マウスなんてパソコンにタダで付いてくるもの。そんな日本人の常識を打ち破るゲーマー用高級マウスは、高付加価値化商品を並べたいパソコンショップ側の期待にも応えます。ゲーマー用マウスはゲームだけではなく、機能に裏打ちされた高級マウスというポジションを獲得すると思います。

今年の印象深い事柄はまだまだありますが、特に印象深かった事柄は上記の4つでしょうか。今年発生した事柄ですが、来年に繋がる話題ばかりです。2007年を振り返ると、2008年が楽しみになってきます。年越しが楽しみになってきました。

(編集部より)
WCG2007の日本代表選手の名前を誤って掲載しておりました。WCG2007の「デッドオアアライブ」の日本代表は活忍犬選手です。たいへん失礼いたしました。餅A氏、活忍犬氏および関係者の方々に心よりお詫び申し上げ、訂正させていただきます。

《杉山淳一》

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