オンラインゲーム一週間「管理側による不正、『戸枝事件』に終わりは来るのか」

暖かくなったと思ったら、雨で冬に逆戻りした感のある今週も、オンラインゲーム界には様々な動きがありました。

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暖かくなったと思ったら、雨で冬に逆戻りした感のある今週も、オンラインゲーム界には様々な動きがありました。

ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、MMORPG『ラグナロクオンライン』の不正事件に関して、上告を行うと発表しました。

通称「戸枝事件」とも呼ばれるこの不正事件は、当時ゲームマスターであった戸枝雅亮被告が、ゲーム内通貨「ゼニー」を増やしてRMT(リアルマネートレード/ゲーム内のアイテムやお金を、現実のお金すなわち円で買う行為)業者に卸し、5800万円の利益を上げていたというもの。

「ラグナロクオンライン」では規約違反の取り締まりが期待したスピードで進まないことがユーザーの間で問題となっていましたが、運営側から不正に手を染める者が出たということで大きなショックを与えました。刑事事件としては懲役1年、執行猶予4年の判決が下されましたが、仮想通貨を売ったことに関してはこれを裁く法律がないため罪に問われないまま。民事訴訟を起こすも賠償額は550万円に留まっており、上告はこれを不服としたものとなっています。上告の結果次第では、「やり得」であるとして模倣犯を生みかねないのが「戸枝事件」の恐ろしいところ。もしも第二第三の事件が起こったとしたら、オンラインゲーム界全体の士気が大きく低下することは間違いありません。日本では「禊ぎ」といって問題を起こした政治家などが「禊ぎを済ませ」て再出馬したりするのですが、この問題に関しては「禊ぎ」が終わることはないのではないでしょうか。管理者が神に等しい力を持てるため、力ある者の不正が特に起こりやすいのがオンラインゲーム。天上で行われる不正に関して、プレイヤーは無力です。自らを無力と感じた時、プレイヤーはプレイヤーでなくなり、他の娯楽へと去っていくでしょう。人が創り出すのがオンラインゲームの世界なら、それを壊すのも人なのです。

バンダイナムコゲームスは、オンラインゲーム「Hellgate:London(ヘルゲート:ロンドン)」の発売・販売元をエレクトロニック・アーツ(EA)に変更すると発表しました。

変更が行われたとはいえ、発売予定は「2008年夏」となっており、「全世界同時発売」がアナウンスされたことが遠い昔のように感じられるプレイヤーも多いのではないでしょうか。特殊な日本市場において、海外発のゲームというのはそれだけで不利となる傾向があります。それをものともしないプレイヤーは既に海外版を入手して独自にプレイしています。発売・販売元の変更も、「ヘルゲート:ロンドン」を待つプレイヤーとしては、直接の関わりがない天上の出来事といっても差し支えないでしょう。現時点で必要となるのは、とにかく情報を開示することではないでしょうか。開発側としての苦闘もあるでしょうが、プレイヤーの興味を引くのは地上の出来事なのです。

Habboホテルジャパンは、「Habboホテル」において、2008年3月18日(火)より「Habboガチャ」の販売を開始すると発表しました。「Habboホテル」は巨大なホテルがモチーフとなっており、それぞれの部屋でコミュニケーションを取ります。

ガチガチの「オンラインゲーム」の体裁を取っていないサービスの会員数が、全世界で9,200万人となっているのが興味深いところ。ゲームではないからこその間口の広さに加え、オンラインでの他人との関わり方など、オンライン娯楽へのエントリーモデルとなっている部分もあるのではないでしょうか。基本無くして応用無し。こうしたエントリーモデルの整備も、今後はますます重要となっていきそうです。

《水口真》

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