一方『ファイアーキャプテン〜ファイアーデパートメント2〜』ですが、プレイヤーは消防隊を指揮する立場となり、シナリオごとに発生する数々の困難な火災に対して立ち向かいます。「RTSらしい戦略とか戦術とかは関係ないのでは」と思ってしまいますが、操作方法やインターフェイスは完全にRTSのそれであり、相手が火であることを意識しなければ、遊びなれた数々のRTSを連想します。
一度発生した火災は的確に対処をしていかなければ、すぐに拡大し2次災害が発生する原因となります。必要に応じて、目の前の火を消しつつ、周囲に引火しないように先回りして消火活動に当たるなどの対応が必要となります。特に周囲に引火すると危険な物、たとえば爆発する恐れのある車や機械類、その他有害物質地帯などには、間違っても火を近づけさせないように努力する必要が生じます。消化を行える人員や機器、また厄介な事に水源の確保も考えねばならず、きちんと計画を立てて『火』相手に立ち回らなければ、消せる火もなかなか消化できません。
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『ファイアーキャプテン』のミッション開始前のブリーフィング画面。現場の地理、状況、環境、注意点などが詳しく説明されます (C) 2004 Monte Cristo Multimedia, All Rights Reserved.※クリックで拡大画面を表示 |
さらに、不測の事態にも備える必要があります。不幸な出来事は連鎖してしまうイメージがありますが、このゲームではリアリティを持って、プレイヤーに度重なる困難を与えます。あるエリアで発生していた火災に対処していたのに、まったく違うエリアでもあらたな事故がたまたま起きて火災が発生するなど、「通常ではありえない、けど絶対ないわけではない」と思わせるシチュエーションが満載です。
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ミッション中に、突如アクシデントが発生。全体の状況を見て、消化の重点を置く個所を素早く判断する必要があります (C) 2004 Monte Cristo Multimedia, All Rights Reserved.※クリックで拡大画面を表示 |
そしてもっとも重要なのが「人命救助も合わせて行う必要がある」ということです。ただ火災を消火すればよいだけではなく、火災に巻き込まれた人間がいた場合、これを救助しなければなりません。また、消化や救助を行うのは、勇敢とはいえただの人間であり機械であるため、プレイヤーが間違った指示を送れば、消防士は火に包まれ怪我を負い、最悪の場合は死に至る可能性もあります。これらの要素が複雑に絡み合った結果、ゲームとしてのミッション達成を非常に困難にしています。
目の付け所が大きくよそを向いているRTSですが、『火』に対する的確な戦略と戦術を考えるという意味では、立派にRTSだと言えるでしょう。
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無事にクリアすると、評価が出て、どこが良かったのか、どこが悪かったのかがおおよそわかるようになっています (C) 2004 Monte Cristo Multimedia, All Rights Reserved.※クリックで拡大画面を表示 |
今回は、一般的なRTSとは趣の異なる2作品を紹介させていただきました。『シヴィライゼーション』は、もともと海外における超有名タイトルの1つであり、国内でもコアな人達の間で人気を博していたゲームでしたが、最近の動画サイトでのブームにより、世間の認知度がさらに上昇したように感じられます。一方の『ファイアーキャプテン』は、国内でもごく一部の人しか知らないのではと思われるマイナータイトルです。海外でも特に話題になったとは個人的には聞いたことがありません。ですが意外とそんな隠れた名作が眠っているものです。春の連休には、そんなゲームを探して遊んでみるというのはどうでしょうか?
■『WCG2008』の採用ゲーム決定など、国内外の幅広いニュースを手広く紹介