そして、最近では、リプレイファイルのやりとりだけではなく、実際のプレイ動画を撮影したものの公開も増えつつある状況です。プレイ動画に関しては、無機質的な印象の強いリプレイファイルとは違い、解説の声を入れてくるケースも多く、また編集を行うなど独自性を出すことが可能なのも特徴の1つです。実際のプレイ動画撮影のもっとも大きなメリットは、“そのゲームを持っていなくとも、実際のプレイを見ることが可能”という点に尽きます。リプレイファイルの受け渡しは非常に手軽と言えば手軽なのですが、これはゲームを持っていることが前提となります。プレイヤー同士のコミュニケーションには非常に役に立ち、コミュニティの関係を強固にするのに役に立ちますが、ユーザ層の掘り下げという面で見ると効果はそこまで期待できません。
一方で、動画ファイルによるプレイ動画に関しては、皆さんもご存知のように回線のインフラ周りの整備、特に国内では光回線の一般化、PC自体の性能の向上、そして、「YouTube」や「ニコニコ動画」といった動画投稿サイトの登場により、非常に身近な物になってきているのが現在です。動画ファイルによるプレイ動画に関しては、PC、さらには動画を再生できる媒体さえあれば誰でも鑑賞可能であり、これはゲームを持っていないプレイヤーにアピールするのに非常に役に立つと言えるでしょう。国内ではマイナーなジャンルに該当してしまう上に、洋ゲーということで非常に敬遠されがちな状況でしたが、ここに来てようやく光の当たっていないジャンルにもアピールチャンスが来たと言えるかもしれません。
特にこの流れに上手く乗れたのが、前回のコラム等でも紹介しましたが『シヴィライゼーション4』で、「ニコニコ動画」において再生数が1万回を越えているプレイ動画もあるなど、かなりの人気を博していると言えます。元々有名なタイトルであり、コアなファンにはよく知られた作品ではありましたが、こういった動画の効果で、以前と比べるとユーザー層が広がっている印象があります。特に動画ファイルならではの、遊び方の詳細な解説をしているプレイ動画は、人気となっている印象があります。
さらに動画というと、プレイヤー視点としてはどうしても「ゲーム画面の動画」と考えてしまうものではありますが、「プレイヤーの実際の手元を見せる動画」も、個人的には注目の1つと思います。RTSではトッププレイヤーの手の動きが尋常でないため、なかなかに注目を集めやすいものでもあります。直接そんなプレイヤー達がどんな風に操作をしているのかを見る機会というものはそうあるものではありません。ですが、極まれにそんなトッププレイヤー達の手元を移した動画というものも存在します。『WarCraftIII』ではたまにありますし、『三国志大戦』では、トッププレイヤーの手元付き動画が非常にポピュラーにってきているようです。何もない状況ではとても注目されなかった作品が、こういった動画が増えることにより脚光を浴びるのは、とても良いことだと言えますし、新しい形のプレイ動画の提供は、コミュニティに新規のプレイヤーを呼び込む大きな要素になっていると思います。
さて、国内でのRTSのプレイ動画配信について軽く話したいと思います。先進的に行っていたのは『WarCraftIII』コミュニティとなるのではないでしょうか。時期的に国内の回線インフラが整いつつあったという背景もありますが、国内のRTS業界では数年先行して取り組みを行っていたと言えるでしょう。数年前にあったFPS等の大会動画配信等と平行して大きな大会ではよく『WarCraftIII』動画配信が行われていた印象が個人的にはあります。読者の中にも、過去に見た方がいらっしゃるかもしれません。最近では『エイジ オブ エンパイア III : アジアの覇王』コミュニティにおいて積極的に動画配信が行われています。秋葉原などで店頭パフォーマンスを行っていた『AoE3 JP Community』を中心とし、国内トッププレイヤーの解説付きで対戦の模様を配信しています。また、『三国志大戦3』に関しては、プレイ動画の保存サービスが公式に始まることがアナウンスされました。これに関しては比較的早いサービス開始を予定しているとのことで、利用料金などは不明ですが、ユーザとしては待ちに待ったサービスの1つと言えるかもしれません。
世界に目を向けると、こういったプレイ動画はもっとポピュラーになります。プレイヤーによるプレイ動画の配信は当然として、さらにメーカー側が進んでプレイ動画を用意する、そんな時代になってきているようです。新作ゲームともなれば、まずトレーラームービーという形で宣伝用のムービーが作成されるものだと思いますが、海外だとプレイ動画もセットで出てくることが非常に増えて来ています。例として挙げるなら、『StarCraftII』などもかなり早い時期にプレイ動画が公開されており、プレイヤー間で新作について大きな議論を呼ぶなど海外では大きな話題となったようです。ゲームとしてのアピール効果が非常にあるとメーカー側も意識してきている印象がありますね。今後もこの傾向は世界的に続いていくのではないかと思われます。
動画配信サイトについては、著作権的な問題がどうしても付き纏うなど扱いに困る問題もありますが、現在の世間の流れから言って、まず無視できない存在となってきています。今後は口コミ動画をきっかけに大ヒット作品が続々と登場する可能性もあるかもしれませんし、その動向は見逃せないと言えるでしょう。
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数年前から、「頂上決戦」等の動画で周辺のゲームより一歩リードしていた感のある『三国志大戦』ですが、いよいよ一般ユーザーにも手の届く範囲でのサービスがまもなく開始されます。サービス価格によってはあらたなムーブメントを呼ぶ可能性もあるかもしれません※クリックで拡大画面を表示 |
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