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細川氏はまず、アタリやファミリーコンピューターからスタートした家庭用ゲーム機の歴史は、テレビと常に表裏一体の歴史であったと振り返ります。リビングに一台だったテレビが、一人一台の時代になって、そして再び大型化の流れで、リビングに一台に戻るという中でゲーム機は変わってきました。リビングにテレビが戻る中でゲーム機の中で主たる位置を占めたのはテレビを占有しない携帯型ゲーム機でした。
何処でも遊べる携帯型ゲーム機ですが、70%が自宅で遊び、30%が外で遊んでいるというデータも示されました。家族はリビングの周りに集まり、そこにはテレビがついていて、テレビを見ながら各々が本を読んだり、携帯をいじったり、お喋りをしたり、その中に携帯ゲーム機を遊ぶ人も想定されます。
細川氏が描いたのは、テレビの更なる大型化とテレビがインターネットに接続される時代です。そうすることによって想定されることには以下のようなことがあります。
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・1画面マルチ表示
・コンテンツ大競争(放送・ネット・通信・UGC)
・無料コンテンツの氾濫
・ながら視聴の一般化
・ランキングによるコンテンツの序列化
2011年を考えたとき、細川氏はゲーム機はテレビをインターネットに接続するためのSTB(セット・トップ・ボックス)の役割となり、テレビよりも上位に立つ可能性もあると指摘します。その一方で、ゲームソフトはゲーム機で利用できるコンテンツが飛躍的に増加することから困難な時代になると推測、特に有料の配信コンテンツは3000万人を相手にする商売にはならず、10人に1人、300万人程度を相手にするニッチなものに留まるだろうと述べました。(少なくとも今後10年程度はパッケージ優位との予想)
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ゲーム機はテレビを制する一方で、ゲームソフトはテレビ離れを志向する可能性があると細川氏は言います。プレイヤーの入力側であるコントローラーは画面入力(タッチパネル)やWiiリモコンで大胆に変わりました。今度はプレイヤーへの出力側であるモニターがテレビから離れたものになる選択肢もあるという提案です。
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一つの例として挙げられたのが性能が上がっているプロジェクターです。壁、天上、テーブル、電球シェイド、球面ボウル、ドーム、傘、鏡、、、と投影先は多く考えられ遊びの幅が広がります。平面だけではなく、立体への投影も考えられます。
テレビをいかに生かすか、という解像度勝負から、ユーザーにどのような遊びをさせるかというアイデア勝負に転換する必要があり、ゲームクリエイターは遊びのクリエイターになる必要があるのかもしれません。「テレビの変化にゲームソフトのビジネスは翻弄される。ガチンコ勝負もいい、3000万人のうち300万人を相手にした商売もいい。でも第3のゲーム機を模索するのも一つの道」と細川氏は講演を締めました。