―――ゲームメーカーがゲームエンジンを選ぶポイントはどのようなところなのでしょうか?
宏治郎: 今回の『侍道3』に限って言えば、PS3での開発が初めてだったので、ゲームエンジンは自社で開発するか外部から調達するかの2択しかなかったわけです。自社で開発した場合のコストと「Gamebryo」を採用した際の値段の比較であったり、自社で開発した時に「Gamebryo」と同じだけのクオリティのものを果たして作れるのかという事を考えましたね。時間を買うという判断も大きかったと思います。
―――今回、「Gamebryo」や「ファイルマジックPRO」以外にも、Miles Sound System(サウンド)、SpeedTree(木の描画エンジン)、 PhysX(物理エンジン)など色々な技術を積極的に使われていますよね
宏治郎: 先ほどの鎌田の話にもありましたが、ミドルウェアを積極的に使うことによって、ゲームコンテンツの部分に力を入れていこうというのは大きな判断としてありました。木の描画にSpeedTreeを採用したのですが、採用したらしたなりの苦労もありました。でも、採用しなければ今ほどマップに木は生えてなかったでしょうね(笑)。
清水: 最近、SpeedTreeを使いたいというお客さんがいらっしゃいまして、気になることがあるかと聞いてみたら”木がアメリカンだから、もう少し日本の木っぽい感じににならないか?”と。笑い話のようですが、海外のミドルウェアを採用する際の問題点ってこういう部分だと思うんです。使ってみたい、興味がある、という場合でも、ちょっとのテイストの違いや少しの技術的な問題を解決できない、ひいてはコミュニケーションの問題と言えるかもしれませんが、そういうところで断念している潜在的なお客さんというのは意外に多いように感じています。
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木の描写を助ける「SpeedTree」。背景の木はその力 |
―――関心があっても英語で挫折するケースも多いみたいですね
小山: 英語は努力の一言ですね(笑)。CRIさんは日本のミドルウェアベンダーですから、マニュアルはもちろん、サポートも日本語で提供してもらえるのは助かりますね。
■最後に
―――『侍道4』というわけではありませんが、今後やってみたい技術的なチャレンジなどがあれば聞かせてください
小山: ミドルウェアの使い方にも段々と慣れてきたところもあるので、今後はもっとパフォーマンスを引き出していくような使い方もできるのではないかと思っています。それによって描写やロード時間が改善されていって、もっと良いゲームになっていくと思います。
―――企画面やコンセプト面ではいかがでしょうか?
宏治郎: 今回はグラフィックよりもゲーム性を重視して開発しました。もちろんグラフィックも可能な範囲では磨いたつもりですが。現在のPS3ゲームタイトルの中では、決して超大作、ハリウッド映画的ではない『侍道3』が市場でどのように受け入れられるか、一つの審判のように考えています。反応が良ければもっと新しい遊びを突き詰めていきたいと思いますし、そうでなければ違う方向性が必要になってくるのかもしれません。ですので、『侍道3』の評価を見守りたいという気持ちです。
―――それではゲームを楽しみにしている読者の方に一言お願いします
小山: 『侍道3』は無限ともいえるような要素の組み合わせで動いていて、プレイする度に新しい発見のあるゲームだと思います。ぜひスルメのように何度も楽しんでみて欲しいですね。
宏治郎: 『侍道3』で自信を持って言えるのは、他に類を見ないゲーム性、他のタイトルでは味わえない面白さを提供できているということです。そこには自信があるので、ぜひ一度プレイして確かめて欲しいですね。
―――最後になりますが、これを見ている開発者の方に一言メッセージをお願いします
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鎌田氏 |
小山: 開発者の皆さんには一緒に英語を頑張って勉強しましょうと言いたいですね(笑)。
宏治郎: 僕自身も新しいアイデアを生み出すということが難しいのはよく承知しているのですが、最近、海外のゲームを見ると、良く出来ているんだけど何かのゲームにそっくりということが多く、正直、ジャンルの偏りも出てきていると思います。大変ではありますが、日本のゲーム会社としてはオリジナリティのあるゲーム作りを一緒にできればと思います。頑張っていきましょう。
―――本日はありがとうございました!
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左から宏治郎氏、小山氏、鎌田氏。10月29日、アクワイアにて |
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