【GDC 2009】セガ、長谷川氏がローカライズのリスクとリターンについて話した

ゲーム開発の大作化と、それに伴うゲームビジネスのグローバル化によって、海外版の製作、いわゆるローカライズの重要性が急増しています。こうした背景から、今年のGDCで新設された分科会が「ローカリゼーションサミット」です。

ゲームビジネス その他
【GDC 2009】セガ、長谷川氏がローカライズのリスクとリターンについて話した
【GDC 2009】セガ、長谷川氏がローカライズのリスクとリターンについて話した 全 10 枚 拡大写真
ゲーム開発の大作化と、それに伴うゲームビジネスのグローバル化によって、海外版の製作、いわゆるローカライズの重要性が急増しています。こうした背景から、今年のGDCで新設された分科会が「ローカリゼーションサミット」です。



このうちパネルディスカッション「Risks and Rewards of New Territories」で、セガの長谷川亮一氏が登壇しました。

長谷川氏はセガで『エコーザドルフィン』などの日本語版製作に携わった後に、SCEに移籍して『クラッシュバンディクー』シリーズなどを担当。さらにセガに復帰してPS3/Xbox360版『セガラリー』を手がけるなど、海外開発タイトルの日本市場へのローカライズを長年続けてきた開発者の一人です。



長谷川氏は「ローカライズの答えは国ごとのeggplant(茄子)のサイズの違いにある」と自説を示しました。日本でも地域によって、さまざまな形状の茄子があり、それに適した郷土料理があります。これが海外ではキングサイズの茄子もあり、好まれる茄子料理も異なってきます。



このようにゲームのローカライズでも、言語や音声、グラフィック、難易度といった、目に付きやすい部分を機械的に翻訳するのではなく、その国の文化にあった「調理法」が重要だ、と解説しました。

このほかパネルでは「セカンドライフ」を展開する米リンデンラボ社のDanica Brintonさん、マイクロソフトのTacey Millerさんも参加しました。

Danicaさんはセカンドライフのローカライズは、各国ごとのユーザーコミュニティをウェブ上で組織して行った結果、60万ドルものコスト削減につながったことを紹介しました。

Taceyさんは「ニンジャガイデン2」の北米版製作の際に、当時プロデューサーを務めた板垣伴信氏と何度もクリエイティブの面で議論しながら、作り上げていったエピソードを披露しました。




またローカリゼーションサミットの発起人の一人で、モデレータを務めたトム・エドワード氏は、ローカライズの不備によって思わぬ文化的摩擦が生じるリスクが高まっていることを示し、企画段階からローカライズを視野に入れる重要性を指摘しました。



最近では各地の文化背景をふまえた変換を行う「カルチャライズ」という言葉も耳にする機会が増えました。今回のパネルも、カルチャライズをふまえた海外展開の重要性を訴えるものでした。世界同時発売も増えつつある昨今、こうした意識は、作り手側にますます必要になっていると言えるでしょう。

《小野憲史》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

関連ニュース