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ドルビー・近藤氏 |
今ではすっかり、おなじみとなったボイスチャット機能ですが、これまではモノラル音声に留まっていました。またMMORPGのテキストチャットのように、グローバル/パーティ/プライベートチャットなどと、階層別に会話するといったことも不可能でした。
これをサラウンド音声にするだけでなく、実際にゲーム内世界にいるかのように、キャラクター間の距離や向きに共なって声が減衰したり、壁の向こう側にいけば声がさえぎられたりと、「ゲーム環境サウンド」の一部としてボイスチャットを実現できる開発ソリューションが「Dolby Axon」です。グループやギルド内だけでボイスチャットをしたり、盗聴器や集音マイクといった、ゲーム的なアイテムを登場させることもできます。
これを実現させるために、通常のボイスチャットがP2P方式なのに対して、「Dolby Axon」ではサーバー・クライアント方式を採用しています。これによって音声データをキャラクターの位置情報やマップデータと連動させることが可能なのです。またP2P方式ではキャラクター数によって音声データ量が指数的に増加していきますが、サーバ・クライアント方式では音声データ量を低く抑えられるメリットもあります。これらは高いデータの圧縮技術やノイズリダクションなど、同社の十八番の技術があってこそです。
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会場では東京の2会場のユーザーが、ロサンゼルスのサーバを介して、「Unreal Tornament2004」上でボイスチャットを行うデモが披露されました。レイテンシーは110msで、国内サーバなら、もっと下がるとのこと。それほどタイムラグを感じさせない、自然な会話が行われていました。
現在はPC向けに開発が進んでおり、1.0評価版にはサーバ・クライアントのライブ等ルとサンプルコード、APIドキュメント、開発サポートなどが含まれるとのこと。さらにXbox360版も近日公開予定とのことでした。
続いて行われたのが「Dolby ProLogic IIz」のプレゼンテーションです。
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今日では5.1chサラウンド環境によるゲーム体験が可能になっていますが、この規格では水平方向へのサラウンドはできても、縦方向を含めた、360度の完全サラウンドは擬似的にしか再現できませんでした。野球場のスタンドの歓声は再現できても、頭上で旋回するヘリコプターの爆音などは、本当の意味では再現できなかったのです。
これを実現するのが「Dolby ProLogic IIz」技術で、これまでの5.1chのデータに、高さを含めた7.1/9.1chの情報を埋め込むことで、横・奥行きに加えて、高さ軸の音声情報をエンコードすることができます。これまでDolbyでは、ステレオ音声を5.1chに拡張して再生する「Dolby ProLogic II」を提供してきましたが、基本的な考え方は同じです。そのため5.1ch出力しか備えていないハードでも、自在な高さの表現が可能です。
もっとも、ユーザー側としては「Dolby ProLogic IIz」を体験するためには、左右のスピーカーの上に、フロント高さスピーカーを配置した7.1ch再生システムか、サラウンドバックスピーカーの両方を配置した9.1ch再生システムと、「Dolby ProLogic IIz」対応アンプを用意しなければなりません。しかし、5.1chサラウンドを安価で楽しむAVアンプとヘッドホンシステムが発売されたように、規格の普及が進むにつれて、同様のシステムが発売される可能性もあります。
講演では「Dolby ProLogic IIz」が今後のゲームコンテンツで積極的に利用できる技術だとアピールされました。今後の展開に期待したいところです。