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こうしたリッチで洗練されたUI制作のトレンドが、Flashの活用です。ソースコードをビルドして実機上で確認する手間をはぶけ、デザイナー主導で、効率的なUI制作が可能です。この手法を強力に支援するミドルウェアが「Scaleform GFx」で、「Crysis Warhead」「マスエフェクト」など、全世界で400タイトル以上の採用例があります。
Scaleform Corporationの日本マーケット担当、阿部剛寿氏は、Game Tools & Middleware Forumで、最新版「GFx3.0」の概要を紹介し、大きな改良点である「Scaleform CLIK」と「Scaleform AMP」のデモを行いました。
「Scaleform GFx」はFlashでオーサリングされたコンテンツを、高速で効率よく実機上に表示させられるミドルウェアです。ベクターグラフィックのシェイプをポリゴンにテッセレートして、GPU上で描画させられます。オーサリングにはAdobe Flash CS3/CS4を使い、Action Script 2.0をサポート。出力されたSWFファイルはSDK内のGFxPlayerで、開発環境上にリアルタイムに再生できます。
プラットフォームはコンソールならXbox360/PS3/Wii/PSP/PS2、PCならWindows/Mac/Linuxに対応し、マルチプラットフォームタイトルの開発や、多言語ローカライズなどで特に威力を発揮します。Unreal Engine 3やGamebryoといったゲームエンジンともシームレスに統合できます。メインメニューやHUDに限らず、字幕やミニゲームなど、さまざまな使用法が考えられます。
「GFx3.0」の特徴として、阿部氏はメモリシステムの大幅な改良と、前述の「Scaleform CLIK」「Scaleform AMP」、ビデオ&オーディオ再生機能の4点を挙げました。このうちビデオ再生については、CRI・ミドルウェアから動画再生ミドルウェア「CRI Movie for GFx」の提供を受けたことも示されました。
「Scaleform CLIK」は、UIデザインと制作の支援ツールで、15種類以上のコンポーネントオブジェクトがあり、自由にカスタマイズや組み合わせが可能です。文字通り数回のクリックと簡単なAction Scriptのコード記述で、リッチなUIコンポーネントを作成でき、スキンも自由に変えられます。
「Scaleform AMP」は、「GFx3.0」を使って制作中のUIコンポーネントのメモリ使用量をリアルタイムかつ詳細に調べられる機能です。制作物をGFxPlayerで再生しながら表示できるので、各パーツのリソース消費具合が、すぐに確認できます。これによってビルドの前にアートアセットの効率性がチェックできるため、開発効率が高められるのです。
阿部氏は「Scaleform CLIK」で簡単なUIコンポーネントを作成しながら、適時「Scaleform AMP」で消費リソースをチェックするデモを行い、効率性をアピールしました。
このほか前述のように、「GFx3.0」ではヒープベースのメモリアロケーション技術が採用されました。これによりメモリを論理グループの大きなブロックで取得したり、逐次解放できるようになったため、コンソールの限られたメモリを、より効率的に活用でき、想定外のメモリリークが回避できるとしています。
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質疑応答では「GFx3.0」の価格体系についても紹介されました。パッケージソフトとダウンロード配信タイトルでは価格や内容物が異なり、後者ではソースSDKではなくバイナリSDKのみだが、より安価で利用しやすくなるとのことです。Scaleform GFx SDKは公式サイトからダウンロードでき、日本語ドキュメントの翻訳作業も間もなく終了するとのことなので、興味のある方はチェックされてみてはいかがでしょうか。