中でもメニュー画面をはじめとしたUIのテキスト多言語化は、ゲームの遊びやすさを左右する上で、大きなポイントとなります。一方で現世代機では内容も複雑になり、十カ国語以上に対応する例も珍しくありません。
ラウンドテーブル「多言語対応におけるGUIノウハウの共有」では、この「古くて新しい」問題が2コマ連続で議論されました。ケーススタディは『ディシジア ファイナルファンタジー』(スクウェア・エニックス)、『ワールドサッカー ウイニングイレブン2010』(コナミデジタルエンタテインメント)、『NARUTO-ナルト-ナルティメットストーム』(バンダイナムコゲームス/開発:サイバーコネクトツー)の3作です。
メイン司会を担当したのは、スクエニのUIデザイナー、栗城桂子さんです。これにローカライゼーション・コーディネーターの山本苗麻さん、そしてプログラマーの森高司さんが、それぞれの立場から話を交えつつ、多面的な議論が展開されました。
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| 座席がほぼ埋め尽くされ、関心の高さがうかがえた | スクエニの山本苗麻さん(左)と栗城桂子さん | スクエニの森高司さん |
まず栗城さんはデザイナーの立場から、PSPのフォントライブラリの活用や、ラインチェックツールの導入によるコスト削減を上げました。これは翻訳者がエクセル上で、翻訳文のオーバーフロー(文字のはみ出し)を手軽にチェックできるというものです。これにより実機環境がなくても作業が進められるようになります。
一方問題点として、グラフィックフォントを多用する結果となり、言語ごとの差し替え作業が大変だったこと。ラインチェックツールとメニュー画面の連動機能がなく、オーバーフローのバグチェックにコストがかかったこと。SCEA、SCEEのTRC判断基準の情報がスクエニ側で不足していたため、特にボタン周りの問題が最終段階で多発した、などが上げられました。
その上で今後の課題として、グラフィックフォントをフォントテーブルで管理したり、メニューの表示エリアなどの情報を取得して、ラインチェックツールで自動反映できるような環境を整えたいとのことでした。これらは現在開発中のFlashによるUIツールに機能を盛り込むことが検討されています。さらに日本語版の開発初期段階からローカライズチームと情報を共有し、問題を初期段階で解決できるフローの構築などを上げました。
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| PSPフォントライブラリを利用 | ラインチェッカーの導入 | グラフィックフォントがネック |
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| さまざまな問題点 | 開発との情報共有が重要 | Flashによるツールで対応 |
続いて山本さんからは、開発側がメニューレイアウトを柔軟に変更してくれたため、翻訳のクオリティを下げずに済んだ点が語られました。ただし、これに伴い情報量が増加したため、開発後半で情報伝達フローが混乱したこと。翻訳者のヒューマンエラーの対応に追われたこと。さらには外注翻訳者が多い関係上、翻訳時に実機環境がない場合が多く、総じて翻訳調整コストが増加しがちだったこと、などが課題としてあげられました。なお、同社では今後ロシア語へのローカライズも視野に入れた体制を進めるとのことです。
最後に森さんから、これらの体制作りが語られました。森さんはラインチェックツールを作るのは容易だが、それをどのようにメニューの各情報と同期させるかがポイントだと指摘しました。もっとも今作では時間が少なかったことと、自分自身で実機確認すれば良いという甘い考えもあり、最終的にPCと実機での二段階チェックになったとのことです。そのため前述のように情報が混乱したこと。またグラフィックフォントが例外処理となり、最終確認が大変だったとのことでした。
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| ロシア語の翻訳はSCEEが担当 | 開発後半で問題が発生 | 共通ROMとUI切り替えで効率化 |
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| 「ウイイレ2010」ローカライズチーム |
ローカライズの手順としては、「1:日本語をベースに仕様作成」「2:仮英語版を作成し、デザインと表示確認」「3:翻訳発注と反映」「4:ローカライズチェック用のビルド作成」「5:ネイティブチェックと反映」「6:修正確認」「7:マスターチェック対応」「8:マスターアップ」となります。
中でもポイントが、日本語版に続いて英語版を社内で作成し、それをもとに各国語版を作成している点です。一時翻訳のクオリティを上げることが、多言語展開時のクオリティアップとリスク低減のために重要だとされました。
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| 6機種で全13言語に対応 | ローカライズのプロセス | 英語版は社内で作成 |
ただし問題点として「翻訳中に仕様が変わるため、翻訳完了後のマージ作業が必要になる」「文字列を縮小して表示しており、文字つぶれが発生する箇所がある」「テクスチャ(グラフィックテキスト)を使用している箇所が繁雑」「容量の問題からマスターROMを複数用意せざるを得ない」などがあるそうです。
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| 言語の増加で問題が拡大 | エクセルからの脱却もめざす |
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| サイバーコネクトツーの面 |
これまでの講演にもあったとおり、ローカライズ作業の効率化でネックとなるのが、テキスト管理が難しいグラフィックフォント(テクスチャ)部分の処理です。効率化の上では文字表現は少なく、テクスチャもシンプルな方が楽ですが、これがタイトルの魅力を削ぐ恐れもあります。そのため本作ではモード選択などで、手書き文字(筆文字)表現が用いられました。また単語の先頭文字のみを大きめにするなど、抑揚のついたテキスト表現も行われました。
これらは手描きでフォントを作成し、フォトショップなどで組み合わせて作成していったそうです。登場する25キャラクターにつき、それぞれ勝利画面、キャラ選択画面、バトル画面中のゲージの名前表記などを言語ごとに用意した結果、グラフィックフォントが全450ファイルにもなりました。しかも文字間などを手作業で調整した結果、作業コストが膨大になったそうです。もっとも「一枚絵での文字表現は避けられない道」とのことで、フォントライブラリの活用などで、より効率化を進めたいとのことでした。
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| 手描きの筆文字表現 | 6カ国語で用意 | 原作への思い入れを反映 |
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| 抑揚文字も活用 | テクスチャ活用のために |
また他の出席者からは、UIデザイナーはディレクター的な視点が要求され、ディレクターと二人三脚で仕事を進めていくポジションであるというように、業界的な認知を深めていくべきなどの発言がなされました。このほか海外ユーザーに自然に受け入れてもらえるUIをデザインするために、各市場の子会社や販売店などと、より積極的な意見交換が必要だ、などの意見も聞かれました。

























