2003年にリリースされた「格闘超人」では、BGMにコーランをアレンジしたステージがあり、全世界で回収・販売中止となりました。昨年も「リトルビッグプラネット」内のBGMで同種の問題があり、海外で発売が延期された経緯があります。
ラウンドテーブル「日本から海外へ!-今日から役立つローカライズ技法-」では、この「文化の違い」がもたらすリスク要因と対策について議論されました。講演者はナニカの稲葉治彦さん。セガの長谷川亮一さん。バースデーソング音楽出版のエミリオ・ガジェコさん、そして筆者の4名です。
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こうした状況は世界的にも同じで、今年のGDCでは初めて「ローカリゼーション・サミット」が開催されました。しかし筆者は取材後、日本と欧米でローカライズを巡る状況が異なる印象を受けました。欧米企業では英語で開発したゲームを、ヨーロッパの多言語に、いかに効率よく翻訳するかが課題。一方で日本では「洋ゲー」市場がハイパーニッチ化しており、日本から海外、特に欧州への輸出ニーズが高いこと。ただし欧州市場へのリーチは同じでも、日本は欧米企業と比べて、言語面でも文化面でも、よりハードルが高い・・・。これらは、どの企業でも感じられているのではないでしょうか。
その一方でiPhoneやFacebook、ダウンロード配信など、小規模ディベロッパーが直接、海外にパブリッシング可能な時代になっています。これはディベロッパーにとってチャンスが拡大する一方で、これまでパブリッシャーが背負ってきたリスク要因を、自分たちで負担する必要性が出てきたことも意味しています。もちろんパブリッシャーにおいても、ローカライズの知見共有は不可欠でしょう。こうした問題意識から、本ラウンドテーブルは企画されました。
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| 全世界同時発売のニーズが向上している | GDCでローカリゼーション・サミットが開催 | 海外企業は米・欧同時発売が課題 |
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| 日本は言語・文化ともに障壁が高い | ダウンロード配信のチャンスが拡大してきた |
稲葉さんはまず、コンソールで配信するには市場ごとのレーティングに関する情報収集が不可欠で、特に欧州ではドイツの審査が最も厳格な点を指摘しました。一方でFacebookなどでは性表現を除けば規制は事実上存在しないが、iPhoneでは携帯電話という特性上、将来的に審査強化の可能性もあり得るとのことです。また技術面ではドイツ語で文章が長くなりがちで、日本語版の作成段階からUIデザインの配慮が必要とのことでした。たとえば日本語では「DCプラグ」、英語では「DC plug」が、ドイツ語では「Gleichstrom-Stecker」になる、などです。
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| 海外レーティングの情報は不可欠 | ドイツ語は文章が長くなりがち |
また「ローカライズの話ではないが・・・」と前置きしつつ、「光過敏問題」への対応についても警告を発しました。いわゆる「ポケモン事件」の原因となった、光過敏性発作をもたらすような明滅演出や、コントラストの激しい絵作りについて、海外で規制が厳格化される傾向があるそうです。セガの海外向け3Dアクション「MAD WORLD」でも、実際は白と黒の色味を適切に調節しているとのことでした。
このほか日本語は英語に比べて修飾過多になりがちだが、ローカライズベンダーは原文の雰囲気を残すために直訳せざるを得ないので、プロデューサーやディレクターが適切に対応する必要があるとしました。長谷川さんはこれを「直訳/意訳から妙訳へ」というキーワードでまとめました。
エミリオさんはローカライズの効率化には、テキストではなくアイコンの多用も有効だが、国旗や地図などの文化的なシンボルを想起させるものは、特に注意が必要だと呼びかけました。また料理ソフトの海外版を作成した経験として、同じ「マスタード」や「茄子」でも各国でさまざまな種類があったり、大きさもまちまちなことから、実際に現物があるもののローカライズについて注意を促しました。
このほかキャラクター名などの固有名詞では、本当に訳語が現地の社会通念や法令に反していないが、細かいリーガルチェックが必要だとしました。特にRPGなどでは大量の固有名詞が登場するうえ、各国語版の種類ごとに翻訳とチェックが必要になります。ただしローカライズの品質向上には、こうした手間を省くべきではないとのことでした。
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| 右はフランコ時代のスペイン国旗 | 日本の国籍アイコンが右側では問題 |
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| 同じ「マスタード」でも種類はさまざま | 同じ食材でもサイズがまったく異なる |
最後に稲葉さんは、「さまざまなリスク要因が議論されたが、ディベロッパーとしては『だから止めようと』いう消極的な意見ではなく、こうした要因を踏まえて、ぜひ海外市場に積極的にチャレンジしていって欲しい」と呼びかけました。またIGDA日本で新しく「SIG-Gloccalization」の発足も発表されました。同SIGではセミナーや勉強会を通して、今後も継続的な議論を行っていく予定です。
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| IGDA日本でもSIGが誕生 |














