Kinectが実現するインタラクティブエンターテイメントの未来・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第12回

Kinectに賭けるマイクロソフト。そのKinectからはデジタルインタラクティブエンターテイメントの未来が透けて見えます。

ゲームビジネス 開発
Kinectが実現するインタラクティブエンターテイメントの未来・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第12回
Kinectが実現するインタラクティブエンターテイメントの未来・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第12回 全 5 枚 拡大写真

今回、受講生の中から何人かがプレイしたレア社による『Kinectスポーツ』中にある短距離走がそれを端的に現していました。手をあげるだけで、アバターがプレイヤーを認知したり、自分の手で直接プレイするゲームを選べるという機能には受講生側の席からも感嘆の声が随所で聞こえました。短距離走も体全体を動かすとその動きがそのままアバターに反映されます。走る時も太股をしっかりと上げないと早く走れないのは現実世界と同じですね。

そして競争終了後は走っている最中の自身の様子を表示することができます。これには会場も大いに盛り上がり、学生の笑い声で溢れていました。さながら昨今のバラエティ番組が自宅に来たという雰囲気でしょうか?アバターの動きも完全にプレイヤーと一致している点もそのような高揚感を助長しているように感じられました。

一方で、バンダイナムコゲームスにより開発された、『東北大学 川島隆太教授 監修・指導 体で答える新しい脳トレ』(『体で脳トレ』)も、脳を鍛える感覚はそのままに、体を躍動させる工夫が随所に。更に2人のプレイヤーで気軽に競えるような仕組みは、以前カプコンが、『カタン』を売り出すときに提唱していた「ブレインスポーツ」という言葉を改めて喚起させました。

同時に、互いに競い合っているときの盛り上がりは『スポーツ』、『体で脳トレ』双方ともライブエンターテインメントとしての楽しさを実感させるものでした。以前も本コラムで立命館大学ゲーム研究会が企画したeスポーツの盛況ぶりを紹介しましたが、今回は「これだけ手軽にゲームが遊べるんだったら参加するかも」という声もチラホラ。こういった、ライトユーザーの意見はそのまま今後の展望につながるので期待大ですね。



■Kinectで未来のコンピュータライフを先行体験!

ただ、筆者が今回の講演で一番注目したのは泉水氏が最後に提示していたKinectのゲーム以外での使い方です。映像配信サービスのZuneビデオにおける動画選択がKinectを使うことで格段と使いやすくなっているのです。

映画「マイノリティリポート」でトムクルーズが操っていたインターフェイスさながらの操作感は、まさに近未来のコンピュータライフといった感でした。同時に動画配信時のビットレートも回線速度に合わせ変化させることで待機時間を皆無にしています。また、チェックしたい映像を選択した途端にその予告編が流れるという親切設計。説明文を読まずに映像視聴へと進めるようなデザインが施されています。

2006年11月よりビデオマーケットプレースという動画配信サービスとしてアメリカ先行で進められてきていただけに、非常にこなれている印象を受けました。日本でのローンチにあわせ、新たに加えられたジャンルが「アニメ」。バンダイチャンネルは既に作品を提供することが決まっていますので、これを機に数多くの日本アニメの名作や野心作が配信されるのが楽しみです。
  1. «
  2. 1
  3. 2

《中村彰憲》

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

関連ニュース