【GDC2011】ソーシャルゲームはパクリばかりか? 模倣に勝つ方法とは?
ヒット作と模倣(いわゆるパクリ)の歴史はそのままゲームの歴史と言っていいほど切り離せない問題ですが、法律家でPillsbury Winthrop Shaw Pittman LLPに所属するSean Kane氏は主にソーシャルゲームに関しての現状を語りました。
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Kane氏は模倣の歴史は非常に長いと強調。ゲーム業界で最初のヒット作とも言えるノーラン・ブッシュネルの『ポン』も多数の模倣に悩まされました(スライドでは豚をテーマにした『ピグ・ポン』が紹介)。アタリは模倣作に対して様々な手段を講じましたが効果は上がりませんでした。なぜなら全くのコピーは黒ですが、アイデアの盗用は黒ではないからです。著作権はアイデアが具現化されたものを保護しますが、アイデア自体は保護しません。
しかしKane氏は負の側面ばかりでなく「模倣はイノベーションの源でもあった」と言います。例えばPopCapの『Bejeweled』は3つのパネルを揃えて消すパズルゲームのヒット作ですが、『Puzzle Quest』はこれを明確に参考にしたものです。しかし単純な模倣ではなくRPGの要素を加える事で、新しいパズルゲームのジャンルを生み出したのです。
ソーシャルゲームに目を移すと、ジンガのゲームは大部分が模倣であると非難されます。Playdomのゲームも同様で、しかも模倣の模倣であったりします。Playfishは"オリジナル"と言われる事も多いですが、実際は任天堂やその他のカジュアルゲームをベースにソーシャル化したものであったりします。
Kane氏の主張をなぞれば、何が悪いのか、ということになります。ジンガは確かに模倣と言われる事も多いですが、オリジナルに有意な改善を施しているから後発でも勝ち残る場合があるのです。
しかし当事者の立場に立てば、ヒットしたゲームは何かしらの方法で護りたいと思います。そこで模倣が難しいゲームとして例示されたのが『テトリス』です。『テトリス』はもはや誰でも名前を知っているゲームであり、音楽もグラフィックも何もかもがブランド化しています。『テトリス』を模倣しても『テトリス』以外を作りだす事は難しい、強力なブランドを打ち立てる事が模倣に勝つ方法だとKane氏は言います。
また、名称も模倣する上では重要な鍵になりますので商標は取っておいた方が良さそうです。Kate氏の集計によれば、90%のソーシャルゲームデベロッパーは商標を取得していないそうです。その中でジンガは2009年Q4だけで26の商標を取得していて、これは他の全ての会社を合計したよりも多い数字だそうです。最近では「Mafia Wars」や「~Ville」を巡る訴訟も起こっていますので、気にかけた方が良さそうです。
最後に特許という手段もあります。特許は新規性があり、有益であり、誰でも思いつくものではないものである必要があります。ユーザーインターフェイスやゲームプレイでも認められる場合はあるようです。『Slingo』というパズルゲームは特許を取得でき、それによって模倣を防ぐことができているようです。
模倣の問題は両方の当事者になりやすい問題でもありますので、注意したいところですね。
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