本作は80年代・90年代のACTを彷彿とさせるゲームで、的確な敵配置や、的確な初見殺しが懐かしくも面白い!硬派なゲーム性に比べてビジュアル面は新鮮で個性的。大人向けおとぎ話のような世界観、紙人形劇風の画面構成やインパクトのあるボスなど、ユニークな驚きが待っています。では、ゲーム内容を紹介していきましょう。
■怪しく可愛く恐ろしい「おとぎの国」
第1の魅力としてまず目につくのは、異彩を放つビジュアルです。暗く鮮明な色合いの劇場風画面デザインと、木版画イラストのようなタッチの線描で描かれたキャラクター達。そのどこかぎこちない動きは子供の頃に親しんだ紙人形劇も思い出させます。
オープニングからいきなり首吊り青年が登場したり、悪の親玉が美しいお姫様であったりと、ブラックユーモアのある「大人のためのおとぎ話」と言えそうな世界観がたまりません。くぐもった印象のレトロなBGMと奇妙な効果音、要所で流れる静かで暗い語り口のナレーションが雰囲気を盛り上げます。
■繊細な方向キー寄り操作性が好感触
巨大な剣を携える主人公。さぞや攻撃範囲は広いのだろうと思いきや、基本攻撃はなんと突き!当たり判定が小さめなので、ある程度ピンポイントで狙っていく必要があって意外と繊細です。
ゲームを進めることで解禁されるアクションの中でも、ボタン長押しで使用出来る溜め斬りは非常に強力で攻撃範囲が広く、弱い敵なら一撃で倒す事ができるので重宝します。ほか、ジャンプ攻撃やしゃがみ状態から緊急回避も可能で、鎧を着込んだ重厚な姿に反する颯爽とした動きをみせてくれます。
普段は騎士の剣に姿を変化させている「ブラック・ヘレボルス」は、任意の方向へ射出できる飛び道具の役目も果たします。遠くのスイッチを作動させたり、敵を攻撃する際に便利です。また、「魔法」は無敵状態のまま範囲内の敵に大ダメージを与えられる切り札ですが、使用回数と回復手段が限られているので使いすぎには注意。
操作性は全体的に「方向キーが使いやすい」カタさが残っていて手触りが良いです。かつてのACTにあった重みと、昨今の軽快さを足して割ったような感触で、懐かしさ共にとても気持ちよく動かすことができます。
■行く手を阻むは多彩なギミック、そしてオヤジ顔のボス
ゲームはステージクリア型で、アクション重視なつくりです。ふんだんに回転床やダメージ床といったギミックに即死トラップという鉄板コンビネーションが登場。時間制限付きのステージもあって、腕の上達を感じながら進めていけます。一部のステージはシューティングタイプになっているのも注目。
ステージ最後に待つボス達は、みな非常に奇妙な姿の持ち主で必見の価値アリです。オッサン顔に羽根が生えたマトリョーシカ風な卵(?)や、これまたオッサン顔をくっつけた巨大人面犬などがおり、それぞれ豊富なパターン攻撃でこちらを手こずらせてくれます。
たとえ初見では倒せなくとも、何度かトライ&エラーを繰り返すうちに攻略への道筋がしっかりと見えてくるため、余計にムキになってしまって楽しいです。
■気をつけろ!手動セーブとリトライの罠
ゲームオーバー時には「リトライ」と「メニュー画面」のどちらかが選択できます。普通ならばリトライを選択したいところですが、ここは一旦メニュー画面に戻ってから「コンティニュー」で再開するのがオススメ!というのも、リトライを選択してしまうと、道中のお店で購入したパワーアップが全て初期化されたうえ、ステージの最初まで戻さるというレトロ仕様になっているからなのです。
ただし、本作ではセーブは完全に手動です。チェックポイントに到達してもオートセーブされることはなく、忘れたままメニュー画面に戻ってしまうと、進行状況が容赦なく失われてしまいます。私も何度かやらかした経験があるので、重々お気を付けくださいね。
■手応えのあるガッツリとした難しさ
難易度は「かんたん」~「難しい」までの3種類で、私は「普通」でクリアしました。普通といえどもそれなりに難しく遊び応えがありますが、難しすぎることはなく、理不尽さも感じません。
難易度を変更すれば、配置される敵の種類や数、攻撃方法、耐久力、トラップの難易度も大幅に変更されますので、サクッと遊んでしまいたい人などは無理せず「かんたん」を選択しておくのがベターかと思います。クリア後はさらにキツい「2周目」も待っていますしね。
■懐かしく新しい魅力のアクションゲーム
気になったところとしては、インターフェース画面での動作がモッサリしているところ。カーソルのヘレボルスが可愛くアクションするので見た目の雰囲気はいいのですが、先のひと手間かかるコンティニューの仕様などで次第にもどかしさを感じるようになってしまいました。
斬新なシステムはないものの、基本に忠実に作られた、じっくりと取り組める正統派アクションゲームという印象です。ステージごとに遊べるモードや、制限時間内でお題をこなすチャレンジモードもあります。ファミコン世代の方、世界観に惹かれた方には特にオススメですので、ぜひ遊んでみてください。
★こんな人にプッシュ★
・80年代~90年代風味な横スクACTが好きだという人
・この世界観に一目惚れした!という人
・硬派なACTがしたい人
★その他備考★
・ヘッドホンでプレイすると奇妙な効果音がさらに素敵に!
『ブラックナイトソード』はPS3、Xbox 360を対象に現在好評配信中。価格は1000円[税込](PSN)/800マイクロソフトポイントです。
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Ami
元・ゲームグラフィッカーのボス戦好きなアマゾネス。なんだか夏バテで胃が弱ってきたような・・・。
ゲームは雑食で、国産から海外、RPGからFPSまでなんでも遊ぶ、食い散らかし系です。とりあえず、ゲームができればそれで幸せ。
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