「これが普通のゲームだったら、コンティニュー覚悟で試しに飛んでみせるのに…!」
いつもなら躊躇なく飛び出すことができた。だがこのゲームではそれができない。崖から落ちれば、即ち死だ。そして死んだものは亡者として世界を徘徊することになる。生きることも死ぬことも許されない。そう、『ダークソウル2』ならね…。
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というわけで、前置きが長くなりましたが、「女子もゲーム三昧」担当のみかめです。アクションRPGといえばレベルをあげまくって強化アイテム使いまくってゴリ押しで進める筆者が、無謀にも『ダークソウル2』をプレイしました。どこまで生者を保てるか。チャレンジの結果やいかに…
■開始5分で亡者
『ダークソウル』のゲーム内容をざっくり説明。不死の呪いを受けた主人公は失われた国「ドラングレイグ」にあるソウルを求めて彷徨います。フィールドはオープンワールド形式になっており、どこから探索してもOK。荒廃した世界で、街と呼べる場所はなく、かろうじてサポートしてくれる人物が数名いる程度。篝火では休憩のほか篝火間の転送も可能。篝火を拠点にエリア内の探索をし、ボスを倒して次のエリアに進むというのが基本的な流れになります。
プレイヤーキャラクターは一度死ぬと亡者となり、見た目もゾンビ状態に。それまで獲得したソウル(経験値やお金に換算できる大切なもの)は死亡現場に落ち、触れれば回収できますが、回収する前に死亡すると完全に失ってしまいます。また、亡者の状態で死にまくるとHPの最大値が徐々に減り、最大50%まで減ってしまいます。
生者であれば協力プレイも可能。ただし他のプレイヤーからの侵入も受けるという臨場感たっぷりのオマケつき。前作では亡者状態では侵入を受けませんでしたが、本作では特定のエリアで侵入されてしまいます。亡者、いいことナシ!でも生者を維持するには、この世界はあまりに厳しすぎます。
…と書き連ねて一言。なぜ『ダークソウル2』を選んでしまったか?選択を後悔するほどに、とにかく本作は難易度が高く、完全な「死にゲー」。ただ初見殺しのトラップが多いわけではなく、慎重に対処すれば乗り越えられるシーンも多め。死にながら身体で覚え、攻略できた喜びを噛みしめるのが本作の楽しみ方です。しかし頭でわかっていてもそれがプレイに反映できるかは別の話。開始5分、うっかりミスで、崖からまっ逆さま。崖で落ちない親切設計なんてこのゲームにはないんだぜ…。
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ずっとこの状態だから、生者の姿が思い出せない。
■生と死のリアル感
早速亡者になってしまったので「慎重プレイ」から「当たって砕けろプレイ」に切り替え。HPの最大値徐々に減るし、50%を切ることはないからいけるでしょ?と高を括ったのが間違いでした。レベルが低いうちはHPも少なく、敵からの攻撃をちょっと受けるとあっという間にゲームオーバーに。一度死ぬと最後に触れた篝火からのスタートとなるので、ある程度探索を進めたところで死んでしまうと本当に心が折れそうになります。しかも死んだ場所が極めて難易度の高いシーンだとソウルを回収しにいくのも至難の業。またここか…という絶望とともに繰り返す道程。そして強敵を前にしたとしてもポーズができるわけもなく、中断して対策を練る時間は皆無。生きるか死ぬか、その臨場感は他のゲームの追随を許しません。しかし生と死はこんなにも紙一重なのか。平和ボケした筆者にはその現実が辛すぎる!
■幻影やメッセージによる希望
とはいえただ辛いだけではありません。他のプレイヤーのプレイ状況がリアルタイムでみえる「幻影」や、他のプレイヤーが書いた「メッセージ」を読むと、「辛いのは私だけじゃないんだ…」と力が湧いてきます。特に先人が残したメッセージには何度となく助けられたことか。たまにトラップメッセージにもひっかかりますが、孤独な戦いをし続けているとそんな罠ですらも「こいつめ!」って嬉しくなってしまうから不思議です。ああ、そういえばそういえば孤独な人って死亡するリスクが高いってどこかで聞いた気がするなぁ。メッセージがなかったら、早々に心折れてしまっていたかもしれません。
というわけで、本作に興味があってまだ未プレイという方には早めにプレイすることをオススメします。旬を逃すと、本当に孤独なプレイになってしまいますよ…!
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先人が書き残したメッセージ。この先どころか、ずっと絶望状態。
また他のユーザーがいかにして死んだかを再生する「血痕」も重要。血痕が沢山残っているエリアは確実にトラップや強敵が用意されていますし、その死に様を見ることで危険を回避することも可能です。ありがとう先人たち。某ジ○リアニメでも言っていた。「そうして命はずっと続いていくんだよ」と…
■数多のボスとの邂逅が、プレイヤーを亡者へと導いていく
エリアの探索はどこから進めてもOK。筆者はまず「朽ちた巨人の森」から攻略をしました…が、早くもボスに躓き、一旦頭を冷やそうと別のエリアへ。マップは複雑に絡み、先に進むためのギミックもあり、探索パートはとても楽しいのですが、ボスが出現するととたんに詰まるという有様。そのたびに別のエリアへ、別のエリアへと移動していくうちに、とうとうどこか1つのボスを攻略しないとそれ以上先に進めない状況に陥りました。仕方がない、やるか…と重い腰を上げてチャレンジ。ここで思い出したのが「死にながら身体で覚え、攻略できた喜びを噛みしめる」本作の基本スタイル。そうだ、1回や2回の死亡がなんだ!諦めなかった先に未来がある…。
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そうして手に入れた未来にはさらなる絶望が待っていました。合唱。
1エリアにボス1体ではなく、ポイントごとに用意されているというある意味ダレない親切設計。もうやめて!プレイヤーのライフは0よ!いよいよHPの最大値が最低にまで落ち込んだところで生者に戻れる「人の像」を使用。久しぶりに見たイケメン顔(キャラクターメイキングで作成)に癒されるも、開始数分でまたゾンビ顔に元通り。イケメンどうしてすぐ死んでしまうん…
1つのエリアを攻略したら終わりではなく、さらにその先にもエリアは続き、気が付いた時にはもう、逃れられないほどの深淵に…
さて、再び場面は冒頭へ戻る。目の前には崖、なんとなく見える足場。行けるか、行けないか?
究極の選択の果て、私はまたひとつ命を落とし、一つの血痕を残す。だが後悔はしていない。いつかこの死が誰かの役に立てば…
だが、その死は無駄になる。亡者として再びその地に降り立った時、少し場所を変えるとすぐ下に足場があることに気が付いたのだ。お…おいやめろ!その血痕に触れるな!その恥ずかしい記録を再生するなッ…!!
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恥ずかしい死に様を晒す前に、先人が残したメッセージはしっかり読みましょう。
ちなみに筆者はシングルプレイを楽しんでいますが、生者の状態で召還サインをチェックすると他のプレイヤーと協力プレイができたり、他のプレイヤーに侵入して対決したり、与えられた役割を果たす「誓約」で協力対戦をしたりと、マルチプレイの要素も備わっています。腕に自身がある方はぜひこちらもチェック。
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プレイ開始から7日目。死は今も更新中。
というわけで難易度鬼畜の『ダークソウル2』、昨今のぬる~いゲームに慣れ、「作業ゲー」に飽きてしまった方にはかなりオススメ。何度死んでも止めることを止めないほどにハマってしまったら、あなたは立派な「ダークソウルの亡者」です。
『ダークソウル2』はPlayStation3、Xbox 360にて発売中で価格は7,800円(税込)です。
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■著者紹介
みかめゆきよみ
ゲーム好き、日本史好きの漫画家兼フリーライター。
ゲームはジャンル問わずなんでもござれ。難しければ難しいほど燃えるドMゲーマーです。
歴史・ホラー漫画、歴史コラム、イラストなど雑多に活動しています。
サイト「車輪の真上」
http://zwei.lomo.jp/syarin/