『俺の屍を越えてゆけ2』初代から本作のCMまで、3連作で紡がれた時の流れとこめられた想いとは

1999年にPSに登場した『俺の屍を越えてゆけ』は、2年ほどしか生きられない“短命(たんめい)の呪い”をかけられた一族が、子孫に未来を残すためその短い生涯を賭し、親から子へ、そして孫へと悲願を受け継いでいく、時間の流れと受け継がれる想いを描いたRPGです。

ソニー PSV
「春の海」篇
「春の海」篇 全 10 枚 拡大写真
1999年にPSに登場した『俺の屍を越えてゆけ』は、2年ほどしか生きられない“短命(たんめい)の呪い”をかけられた一族が、子孫に未来を残すためその短い生涯を賭し、親から子へ、そして孫へと悲願を受け継いでいく、時間の流れと受け継がれる想いを描いたRPGです。

オリジナル版『俺の屍を越えてゆけ』のパッケージは、まだ幼い少年の顔写真を大胆にあしらったデザインが採用されていましたが、その少年も今や大学に通う好青年へと成長し、本作のデザイナーである桝田省吾氏と、昨年末に14年振りとなる再会を、果たしました。

オリジナル版のパッケージを記憶している方は、公式ブログ「続編への道 制作日誌23」にて掲載されている、かつてのパッケージと今現在の姿を見比べてみて、流れた時間を視覚的に実感してみるのも一興かもしれません。

本作の物語およびシステムの両面で、重要な要素となっている時間。その流れを実感させてくれる要素となる本作のCMも、また見逃せない要素となります。オリジナル版の発売に合わせて制作されたCM「祖父の遺言」篇は、祖父が息を引き取るのを看取った後の帰り道が舞台となっており、岸部一徳さん演じる父親が中学生の息子に向かって、「俺の屍を越えてゆけ、だって。笑っちゃうよな」と祖父の最後の言葉を語った後、歩きながら「ま、生きろってことさ」と締めくくります。

この印象的なCMは、2011年にリメイクされたPSP版発売の際にもその続編「祖父の遺言2011」篇が作られ、当時中学生だった息子は子を持つ父親に成長。そんな彼に岸部さんは、「じいさん、最期に言っただろ、「俺の屍を越えてゆけ」。あれ、分かる気がしてな」と、託される側から託す側への意識を持ち始めます。

そして、『俺の屍を越えてゆけ2』のCMとなる「春の海」篇では、「うちには先祖代々のお宝とか何もない。しかし、俺が託され、お前たちに託していくものがある」と、託す側として息子に言葉を残します。これらのCMは内容が受け継がれているだけでなく、そのキャストも変更なく継続されており、短いCMの中に込められた物語の厚みと共に、流れた時間やその成長などを肌で感じられる映像となっています。

語る言葉の重みと、言葉以上の想いが込められたこの3本のCM。よければ、出演者コメントと併せて、その目で直接ご覧ください。


YouTube 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=63jGodOZu6E


YouTube 動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=Alc9wUCX8-M

◆出演者コメント


今回の出演にあたり、岸部一徳さんは「15年続いているので、普通のCMとはやっぱり違いますね。自分の歴史と繋げて考えてしまうので、特別な感じがあります。最初の時は僕の子供も小さくて、このゲームでよく遊んでいたのでその記憶がすごく強いですね。」とコメントしました。

息子役のキャストは、1作目の時点では子役として活躍されていましたが、2作目の時には芸能関係の仕事を引退されていました。しかし、“託す想い”というテーマに共感頂き、一般人ではありますがCMにご出演頂く事となりました。3作目となる本作でも出演を快諾頂き、「こんなに期間が空いても呼んで頂けるなんて本当に光栄な事だと思います。」とコメントしました。

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また余談になりますが、『俺の屍を越えてゆけ2』の音楽を担当したのは、前作テーマソング「花」を歌った樹原涼子さんの息子である孝之介さん。音楽面でも世代交代を果たした形となり、物語やCMの中だけでなく制作現場においても、想いを受け継ぐ世代交代が行われていました。これも、本作の在り方に相応しい一面と言えるかもしれません。

『俺の屍を越えてゆけ2』は、2014年7月17日発売予定。価格は、パッケージ版が5,800円(税抜)、ダウンロード版が5,184円(税抜)、初回限定版が7,800円(税抜)です。

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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