【GTMF 2014】近年採用が増えている2Dゲーム向けフレームワーク「Cocos2d-x」
いまスマートフォン向け開発で注目されているフレームワーク「Cocos2d-x」。25日に開催された「Game Tools & Middleware Forum 2014」にて日本Cocos2d-xユーザ会代表の清水友晶氏が「Cocos2d-xの事例紹介と応用」と題した講演を行いました。
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Cocos2d-xは2Dゲームで近年採用が増加しているフレームワーク。UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンとは異なり、あくまでもフレームワークでありエディターや開発環境が整備されているわけではありません(一部開発中のものもあり)。MITライセンスのオープンソースで、商用利用も可、改変して公開することも出来ます。マルチプラットフォームに対応し、開発言語もC++、Lua、JavaScriptが使用可能です。
既に多数のデベロッパーが採用していて、日本ではヒットしている『ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト』で採用されているほか、世界ではZynga、Wooga、Gamevil、Glu Mobile、TinyCo、HandyGames、IGG、Disney Mobileなど主要なデベロッパーで使われています。大本の開発元は中国のChukong Technologiesですが、世界から多数の開発者が開発に参加しています。
大きなメリットとして挙げられるのは、無償、かつオープンソースで提供されていること。必要があれば手を入れて改良することも当然可能です。クロスプラットフォーム対応ですから、そうした面で開発期間の短縮に繋げることも出来ます。一方で、デメリットとしてはOS依存の部分はそのOSに対応する言語を利用する必要があります。Androidであれば標準SDKにアクセスし、Javaでの記述が必要です(JNIを使用)。iOSであればObjectiveCを利用する必要があります。また、フレームワークということで、エディッタや開発環境は用意する必要があります。
講演では国内での採用事例として『タワー・オブ・スペルズ』が紹介されました。これは最新のCocos2d-xのバージョン3を使用したもので、清水氏は「3も既に実用レベルに達している証」と説明しました。いわゆる『パズドラ』タイプのゲームで、英語のスペルを学習することもできるゲームです。
バトル画面は多数の画像で構成されていますが、テクスチャアトラスやバッチノードを使い大量の画像表示を実現。画像は知的財産保護の観点からTexture Packerで暗号化を行っているそうです(最新バージョンでは標準機能として搭載)。
モンスター一覧のような画面では、iOSのUITableViewのようなテーブルビューを使用。非常に容易にリストが作れ、画面外で見えていない部分は自動的にインスタンスが開放されるためメモリ的にも有利です。iPhone 3GSで1000枚の画像を使用した場合もスルスルと動くことが確認できたそう。しかも縦横のどちらでも利用でき「とってもおすすめ」とのことでした。
通信はHttpClientクラスで簡単に実装可能。libCurlを使用してHTTP以外のプロトコルを実装することも。データ管理はUserDefaultクラスで実装。SQLiteもソースを追加することで利用できます。
弱点となってきたエディタや統合開発環境の面でも整備が行われつつあります。Chukong Technologiesは、レイアウトやアニメーションをGUIで作成するような「CocoStudio」を無償で提供。コードエディッタの「Cocos Code IDE」も開発中だとのこと。
さらに、比較的弱いとされてきた動画や音楽の再生についても、CRI・ミドルウェアの「Sofdec 2」「ADX 2」との連携が実現。高品質、高機能な再生を利用できるようになります。
日本Cocos2d-xユーザ会はChukong Technologies公認の会で、主にフェイスブックで活動中。Chukongのスタッフも参加しているとのこと。活発な活動が行われていますので、気になる方はフェイスブックで探してみてください。
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