ゲーム業界からはグラスホッパー・マニファクチュア代表取締役の須田剛一氏が参加。先日、ロサンゼルスで行われたE3では謎の新作『LET IT DIE』を発表、世界から注目を集めるゲームデザイナーです。映画業界からは日活プロデューサーとして『ヤッターマン』、『冷たい熱帯魚』、『凶悪』といった話題作を手がけてきた千葉善紀氏が参加。さらに映画、ゲームともに造詣が深いグラフィックデザイナーでありライターの高橋ヨシキ氏も登壇。いつにもまして濃い登壇者が揃った黒川塾となりました。
■大人もハマれる洋ゲー
映画プロデューサーでありながら、最近はもっぱらゲームばかりしているという千葉氏。今日も発売されたばかりの『Watch Dogs』をプレイしたくて仕方ないとのこと。そんな千葉氏がゲームにハマるきっかけは、高橋ヨシキ氏からカプコンのゾンビゲーム『デッドライジング』をオススメされたからだそうです。
「ゾンビ映画好きならデッドライジングは決定版。やってないほうがおかしい」と語る高橋氏。その言葉につられて、XBox360とともにソフトを購入したのが始まりでした。今では高橋氏よりもゲームをプレイすることが多くなった千葉氏ですが、お気に入りはやはり映画的な魅力にあふれている海外のゲームであり、Rockstar GamesのGTAシリーズや『レッド・デッド・リデンプション』といったタイトルです。
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西部劇の世界を描いた『レッド・デッド・リデンプション』 |
千葉氏にとっては、映画は1800円で2時間という比較的コンパクトなエンターテイメントなのに対して、ゲームは10時間以上楽しめるリッチなコンテンツであるといいます。そして、リアルなグラフィックスのAAAタイトルはまさに大人のための極上のエンターテイメントであり、もっと日本の大人の方にも楽しんで欲しいと訴えました。
それに対して、黒川氏はなぜ日本のゲームにはそういった魅力が足りないのかといった質問を投げかけました。高橋氏はRockstar Gamesの独特なライティングに言及。リアル系のグラフィックスは光量を強める傾向があるが、Rockstar Gamesはフィルターなどで人間が実際に見る映像に近づけているのではないかと指摘しています。
また須田氏はRockstar Gamesのグラフィックスの理想はやはり映画にあると説明します。スタジオの創設者であるハウザー兄弟の母は女優であり、彼らは子供の頃から多くの映画に親しんだそうです。またハウザー兄弟は、来日するたびにマニアックな日本映画を探すほど、研究熱心であるそうです。
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映画的なゲーム作りで定評のある須田剛一氏 |
こうした映像に対する意識の差は、映画の世界にもゲームの世界にもあるそうです。黒川氏は日本映画のライティングの弱さを、須田氏は海外のゲーム業界におけるライティングアーティストの地位の高さを指摘。ライティングひとつを取ってみても、映像に対するこだわりの差が浮かび上がってきました。
■絵作りにおける文化の違い