これだけの成長を成し遂げた理由には様々な背景がありますが、「表現の自由」もその要因のひとつであることは間違いありません。ですが昨今では表現の規制に関する動きも多く見られ、制作側やコンテンツを楽しむ消費者にとって心穏やかざる状況が続いています。
今月18日に、自民党議員が中心となる「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」の設立総会が開催されました。この議連は、青少年健全育成基本法(以下、青健法)の法整備に向けて焦点となっている、「マンガやアニメ、ゲームの表現規制の強化」を視野に入れたものではないかとの危惧も上がっており、多くの方から注目を集めています。
しかしながら、「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」の事務局長代行に、表現の自由を長年訴え続けてきた参議院議員・山田太郎氏が就任したとのこと。
マンガ アニメ ゲーム議連が正式に立ち上がりました。ちばてつやさん、庵野秀明さん、里中満智子さん、鳥嶋和彦さんらが現状についてお話しされています。
私も正式に事務局長代行として正式に就任いたしました。マンガアニメゲームを守るためにがんばっていきたいと思います。
― 参議院議員 山田太郎 (@yamadataro43) 2014, 11月 18
今回の動きに関して山田氏は自身の公式サイトにて、青健法の追い風ともなりかねないこの議連に参加したのは、誤った方向へ進むことがないように議連の中から舵取りをしていくためと述べており、「絶対にマンガ・アニメ・ゲームにおける表現の自由は守ります」と力強くコメントしています。
この「マンガ・アニメ・ゲーム議連」では麻生政権時代に検討され、民主党が中止した「アニメの殿堂」(国立メディア芸術総合センター)の復活です。一本、それら対象物の「選別」を大義名分とした表現規制が入る可能性もあり、プロジェクトの推進だけでなく、どのような展示が行われるかも「議連の中からしっかりと監視していきたい部分」と山田氏は述べています。
また同議連のもうひとつの活動としては、映画業界におけるクリエイターの待遇改善を目的とした税制優遇措置の導入も謳われています。こちらはゲーム業界にも広がることを期待したいですね。
この税制優遇措置には、「魔法先生ネギま!」「ラブひな」などの代表作でも知られ、表現規制問題に対して意欲的な活動を続けてきた赤松健氏も強い関心を寄せています。
今回、議連の目的は、漫画アニメゲームの振興・蓄積(アーカイブ施設)・人材育成・就労環境の改善・海賊版対策など多岐に渡りますが、私や庵野秀明監督の興味は別にあります。それは「クリエイター減税」の実現です。
― 赤松健 (@KenAkamatsu) 2014, 11月 18
よく「政府が文化にお金を出したら、その文化はつまらないものになる」と言いますが、それは国からの補助金や奨励金は国の審査が入るから、やっぱりその通りなんです。しかし、減税(例えば「還付金」に注目した租税特別措置)ならジャンルを問わず平等で、国からの作品内容的な介入もありません。
― 赤松健 (@KenAkamatsu) 2014, 11月 18
減税政策ならば作品の方向性やクオリティには影響がなく、また働いていない人には還付が発生しないためいわゆる「バラマキ」にもならないとの旨も明かし、困窮する若手の支援を含めた制度として確立して欲しいと、自身のTwitterアカウントにて明かしています。また「この対象に、困窮する漫画家も加えたい」とも述べており、現在も赤松氏が身を置く漫画業界がいかに厳しいかを感じさせる一言も飛び出しました。
「マンガ・アニメ・ゲーム議連」はまだ設立したばかりですが、同議連も含め、表現の規制に関する動きや議論は今後も長く続いていくでしょう。不適切な規制を強いられないためには、制作側だけでなく消費者側もこの問題を意識しなければならない時代に突入したのかもしれません。まずは知るための第一歩として、この議連の動きに注視してみてはいかがでしょうか。