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高校まで愛知県豊田市ですごした谷口氏。小さい頃から絵の教室に通っていたものの、中学生になると「絵では将来食べていけない」と方針転換します。経済学部を経てメーカーの営業マンになったものの、2年で退職した谷口氏は、ハリウッドのCG映像やゲームのムービーなどの盛り上がりに押されるように専門学校に入学し、本格的に3DCGの道を歩み始めることに。2009年にはれて起業をはたしたという、ユニークな経歴の持ち主です。
アイカツ!のライブパートは1話につき約2ヶ月をかけて制作されます。複数のチームで並行して作業を進め、毎週納品が行われます。同社だけでは作業を回せないため、複数の協力会社にも(主にセカンダリ追加移行のパートで)協力を仰いでいます。
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はじめに監督など主要スタッフと、1クールを通したライブパートの設定をつめていきます。どのキャラクターがどのような衣装で、どのようなステージで、何分くらいのライブを行うか、シリーズ構成を元に一覧表にしていくのです。その後、脚本と絵コンテが作られるのに並行して、衣装などのCGモデルの準備などが行われます。CGモデルはゲーム開発側と共有しており、アニメ側でブラッシュアップすることで効率化を進めています。
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CG制作の実務はカメラワークからスタートします。ゲーム版は「プレイヤー=アイドル」なのに対して、アニメ版は「視聴者=観客」であることを意識して、実際のライブ映像を参考にカメラワークをつけるとのこと。ゲーム版のカメラがアイドルに正対することが多いのに対して、アニメ版は横から、斜めから、ときには背後からなど、さまざまな角度で縦横無尽にカメラが動き回ります。
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カメラ視点も観客の目の高さに設定し、被写界深度を工夫して背景をぼかしたり、わざと見切れるレイアウトにしたり、カメラにきづいたアイドルがウィンクするなどの、アドリブ的な仕草を入れたり、アイドルが勢い余ってカメラにぶつかったり・・・。「現場にカメラマンがいて、撮影していることを強調しています」(谷口氏)。なおライブパートは絵コンテが存在せず、演出は監督から一任されているとのことでした。
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続くプライマリ調整ではゲームのモーションキャプチャデータをベースに、より動きにメリハリをつけていきます。手首の返しなどの細かい仕草や、キャラクターごとのダンスのスキル、シリーズを通した成長なども加味して、細かい調整が行われます。「大空あかりが入学してきたころは、まだダンスになれていないという設定なので、わざと下手に踊らせたりしました。逆にみずきはトップアイドルという設定なので、切れの良いダンスに調整しています」(谷口氏)
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それが終わると衣装や髪の毛の揺れ、ポリゴン抜けなどの調整を行うセカンダリ追加が行われます。「衣装の質感を大事にして、固いものか、スカートにワイヤーが入っているのか、すべて想像しながらゆれをつけています」(谷口氏)。これらの作業と並行して、新キャラクターや新衣装などではCGモデルのキービジュアルが作られ、チェックが行われます。
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最後に素材のレンダリングと背景との組み合わせ(コンポジット)を行い、エフェクトなどを追加して仕上げていきます。エフェクトではアイドルに固有のオーラが追加され、アイドルのユニットやコラボでエフェクトが派手になるなどの要素も加えていきます。最終修正を経て納品というわけです。一度にライブするアイドルの数が増えれば、それだけ手間がかかりますが、ときにはライブのないエピソードもあるため、スケジュールをうまく調整しているとのことでした。
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劇場版についての解説も行われました。観客を表現する群衆キャラクターが一新され、髪型・服・色のバリエーションで96種類を実現。動きのバリエーションも20種類を実現しました。新たに小さな子どものキャラクターも登場するとのことです。メインのスタジアムでは6万人の群衆キャラクターを配置したそうです。なお、新たにCGシーンのファイル共有フォーマット「Alembic」を採用したことで、安定したレンダリングが可能になったと話していました。
最後に質疑応答で学生時代にやっておいた方がいいことを聞かれた谷口氏は「学校の課題などで時間を割かれると思いますが、好きなモノが作れるのは学生時代くらいなので、どんどん自分が作りたい作品を作ってください。それらをもって企業にあたれば、自ずと道は開けるのではないでしょうか」とアドバイス。新卒の募集1回目も12月15日まで行われているため、ぜひ応募して欲しいと呼びかけていました。