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パネルには、SCEワールドワイド・スタジオ代表の吉田修平氏、SCEA Magic Lab取締役のRichard Marks氏、Spermassive Games常務取締役のPete Samuels氏、SCEロンドン・スタジオ取締役のDave Ranyard氏が登壇し、「Project Morpheus(プロジェクト モーフィアス)」についてのセッションが行われました。
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まず、Morpheusの開発中の映像を披露。これは、Morpheusのプロトタイプを一般女性にプレイしてもらうというもので、プレイ体験からどのような反応を示すのかを映したものです。Ranyard氏の説明によると、この女性は自身の母親であるそうです。
30年前から同じような技術があるのに、なぜ今再びVRを実現しようとしたのかという問いに対して、クオリティの高いディスプレイの低価格化や、センサーやカメラを使ったトラッキングテクノロジーの発達により、低コストで非常にレベルの高いことができるようになったのが理由であるとMarks氏は語りました。また、任天堂のバーチャルボーイを例として、昔のVR技術は赤色のものしか立体視にできなかったが、今はもっと高度なことが可能になった点も挙げました。
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続いてMorpheus開発の始まりに関して、もともとSCEの開発スタジオのメンバーによる部活動のようなものだったという事実が吉田氏から語られました。PS3向けモーションコントローラーであるPS Moveの開発後に、何人かのメンバーが仕事後の個人的な活動としてPS Moveとヘッド・マウント・ディスプレイを合体させたハンドメイドのVRシステムを作っていたそうで、仕事を終えたプログラマー達も参加してPS3で動く『ゴッド・オブ・ウォー』のVRデモまで製作していたとのことです。
スタジオのメンバーに勧められてそのVRシステムをプレイした吉田氏は、ディスプレイ越しに見ると自分の体が『ゴッド・オブ・ウォー』のクレイトスになっていたことに大変感動したそうです。その後、彼らはカメラ機能を外したVRデモを開発し、日本の本社から正式な承認を得て「Project Morpheus」という大きなプロジェクトに変わったと語られました。
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しかし、当時の現行機であったPS3では十分なパフォーマンスが発揮されないと判断し、次世代機であるPS4向けの周辺機器として開発をすることになったそうです。また、Playstation Cameraはモーフィアスのトラッキングに必要な機器であるためにPS4の付属品となりましたが、多くの人からなぜほとんどのタイトルに対応していないPlaystation Cameraを本体に付属しているのかという質問をPS4リリース時にされ、当時未発表であったMorpheusのためであると説明することができず苦い思いをしたとも語っています。
Morpheusのゲーム以外の活用については、吉田氏がすでにVRコンテンツに興味を持っているハリウッドの映画会社にアプローチを行っているとのことで、将来的にはPSNを通してVRに対応した3D映画やTV番組などを観れるようにする計画があることも明らかにしています。
様々な可能性を秘めた「Project Morpheus」が一体どんな未来を体験させてくれるのか、発売まで一日千秋の思いが続きそうです。
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記事提供元: Game*Spark