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DMMが提供しているPCブラウザゲーム『ラストサマナー』は、昨年の9月より正式サービスを開始した、ローテーションとメダルを活用する戦闘システムなどをゲーム性の中心に据えたRPGです。
「本格RPG」と同社が満を持してリリースした『ラストサマナー』は、ローテーションをシステムの軸に加えることで、ターン性の戦闘を更に奥深いものとしています。また物語面も、ファンタジーの王道を感じさせる展開に加え、可愛くも頼りがいのある少女たちがそのストーリーに華を添え、プレイ意欲を心地よく刺激します。
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もちろん、この他にも数多くの魅力を持つ『ラストサマナー』ですが、そんな本作がどんなきっかけで生まれたのか。また、どのようなポイントにこだわり、今後如何なる発展を目指すのか。興味はあるもののまだ遊んだことがない方から今現在熱中してる人まで、幅広い方々が気になるあれこれを直接伺ってきました。
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左から小林氏、神埼氏、山本氏
──本日はよろしくお願いします。まず、読者に向けて自己紹介をお願いします。
小林氏:DMMのゲーム事業営業本部第一企画室で、色んなタイトルを担当しています。この会社に入って1年半くらいですが、(『ラストサマナー』を開発・運営している)スマイルマイスターさんとは1作目からお付き合いいただいており、今ではもう3本目くらいになりますね。
神崎氏(※「崎」は、正しくは山へんに「竒」):本作の開発および運営を担当しております、株式会社スマイルマイスターの神崎です。本作では、プロデューサーとゲームデザインをやらせてもらっています。経歴を説明しますと、コンシューマーゲームの会社で広報の仕事をしていまして、それから会社をいくつか移り、『トリックスター』のプロデューサーや『リネージュ』のPM(プロジェクトマネージャ)などを担当しました。ちょうどmobageさんがオープンプラットフォーム化する頃に、モバイルゲームの勢いを感じ、今後モバイルゲームがゲームの中心になると考えました。
自分たちの手で本当に面白いゲームが生み出したいと思い、スマイルマイスターを興しました。
──ありがとうございます。それでは早速『ラストサマナー』に関するお話を伺いますが、本作はどのようなきっかけで生まれたのでしょうか。
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小林氏:きっかけなんですが、ウチのプラットフォームではずっと18禁のゲームを作っていたんですが、その当時「誰も一般向けのゲームを作らないよね」という話があって、だったらやってみようかと僕と神崎さんの間で盛り上がり、「王道でファンタジーをやろう」と決めたのが経緯です。
──なるほど。ちなみに、一般に切り込もうと企画を進めていく中で、ローテーションバトルといったゲーム性に方向を定めたきっかけはありましたか?
神崎氏:自動戦闘や、いわゆるポチポチゲームと呼ばれるものが多かったので、毛色の違うものでチャレンジした方がいいんじゃないかと思いました。とはいえマウス操作には限界があるので、その中で出来る範囲のものをと考えて、今の方向性へと至りました。
──差別化という点から切り込んでいったんですね。
神崎氏:そうですね。
小林氏:昔、遊んで面白かったファミコンゲームから、「じゃあこれとあれのよかったところを集めてみよう」「これとそれをこうしてみよう」みたいな形で模索していた時もありました。
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──様々なアイディアが昇華されてローテーションバトルなどのシステムが備わった本作ですが、開発した方々が考えている最も魅力的な点はどこになりますか?
神崎氏:やはり、バトルですね。(ポチポチゲーではない)適度な介入感が楽しめるところかなと。
──そのポイントに関して、ユーザーさんの反応はいかがでしたか。
神崎氏:良い面と悪い面がありますね。中には、「自動化して欲しい」という声もありました。
──ユーザーさんの好みは、人によって様々ですしね。
神崎氏:ほかにも、「演出をもっと派手にして欲しい」「メダルの種類を増やして欲しい」といった色んな声があり、もっともっとバージョンアップしなければと考えています。
──好評な反応だった部分は、狙い通りのポイントでしたか?
神崎氏:やはり、ブラウザゲームとしては戦闘にプレイヤーが介入できる点がかなり大きく、そこは多くのユーザーさんから好評をいただいています。
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──戦闘面で言えば、1ターンごとに3つのメダルを選ぶなどが介入のひとつですね。
神崎氏:ちなみに3人で1小隊を組むわけですが、この編成によってラインスキルなどが変わるので編成に関してはじっくり考えてもらい、実際の戦闘ではテンポよく遊んで欲しかったので(基本的には)3つのメダルを選ぶだけでサクサク遊べるものにしました。
小林氏:最初は、4人編成とかも考えたことはあったんですよ。でも実際にやってみたら、テンポが悪いように感じてしまって。
──では、テンポの面で見てもベストの人数が3人だったと。
神崎氏:そうですね。ただ3人だけの編成だと単調になってしまうので、3人の小隊を3つ構成する、という形にしました。
小林氏:僕はずっと「5人出したい」って言ってたんですよ(笑)。で、(ローテーションではなく)フォーメーションチェンジとかどうだろうって話もあったんですが、少しずつブラッシュアップしていったら、3人ずつのローテーションがテンポもよくて好感触でした。
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──テンポを大事にされたんですね。
神崎氏:はい。長く遊んでもらうものなので、パーティの人数もそうですし、戦闘時の速さを個々で調整してもらえるようなオプションを用意したりしました。
──ブラッシュアップの方はスムーズに進みましたか?
神崎氏:調整は最後まで悩んだ部分でしたね。メダルでなんでもできると隊列に意味がなくなりますし、隊列を重視すると今度はメダルが意味をなくしますし。その辺りのパターンを悩みながら模索した結果が、今の『ラストサマナー』です。
──一見目立ちにくい部分ですが、それだけしっかり調整に向き合ったことで、ゲームとしてやり甲斐のあるバランスが生まれたわけですね。
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──それでは次に、こちらも欠かせない魅力と言えるキャラクター面についてお聞かせください。
神崎氏:その話は、山本が適任ですね。お任せします(笑)。
山本氏:分かりました(笑)。スマイルマイスターの山本です。自己紹介をさせていただくと、以前神崎と一緒にガンホーオンラインエンターテイメント株式会社にてマーケティングを担当していまして、それからNHN Japan株式会社(現LINE株式会社)にてオンラインゲームの運営/宣伝などに関わった後、(神崎と共に)スマイルマイスターを立ち上げました。『ラストサマナー』は、ディレクターとして関わっています。仕様や世界観設定、キャラクター設定などを担当していました。
──よろしくお願いします。では、キャラクター面で特にこだわった部分はどこでしょうか。
山本氏:キャラクターの部分で一番気を使ったのは、どうしたらユーザーさんに愛してもらえるかを考えました。なので、表情などの見た目はもちろん、一個一個の台詞にもちゃんと魂がこもるように苦心しました。
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──個々のキャラクターと向き合って作り上げていったんですね。
山本氏:本作のキャラクターは「歴史上の英雄=英霊」をベースに作成されているのですが、これは「誰でも知っている有名な人物」というポイントを置くことで間口を拡げ、知っているキャラクターということで親しみやすさを感じてもらえるためとなります。
──坂本龍馬や織田信長などの歴史上の人物はもちろん、有名な神話の英雄なども馴染み深いですよね。
山本氏:そういうところから、ゲームに興味を持つきっかけにしてもらえればなと。
──そういう背景を持ち、更にキャラクター自身の個性も出すような台詞回しを意識されたとのことですが、RPGだとテキスト量も限られていますし、テンポを意識すると更に大変だったのではないでしょうか。
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山本氏:最初は、キャラクターの魅力をできるだけ伝えようと思っていたんですが、実際にテキストにしてみると適正な量ではなかったんですよ。そこから、どれくらいのクリック数だとテンポよく感じてもらえるかなと見極めていきました。あとは、ひとつひとつの話を散らして配置することで、テンポの良さと両立することができたと思います。
──ちなみに、ご自身で採点すると100点満点中何点くらいでしょうか。
山本氏:これからもまだまだ良くしていきたいと思っているので、現時点では60点ですね。
──おお、厳しいですね。
山本氏:もっと上を目指したいという意味で、この点数にしました。……もうちょっと高い点数でもよかったかな?(笑)。
──なるほど(笑)。では、絶対値で60点と言うよりも、ここから更に40点分の伸びしろを目指したいという意識の表れですね。
山本氏:はい、そういうイメージです。
──これからの躍進が楽しみです。ありがとうございます。
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──ではゲームの内容から少し離れて、これまで運営を行ってきた中で印象深いエピソードなどがあればお聞かせください。
神崎氏:エピソードと言うほどのものではないんですが、僕たちはもともとPCオンラインゲーム業界の出身ということもあり、お客様との距離をなるべく縮めて、その声をいち早くしっかり聞いていこうと常々思っているんです。なので、例えば不具合が見つかったら、とにかく最速で解決するようにしています(笑)。「こんな時間帯なのに解決するの?」と思われるような時にやってるケースもありますしね。
──最短だと、どれくらいの短さで不具合を修正されたんですか?
神崎氏:最短だと、数分じゃないかな?
小林氏:数分ですね(笑)。「ここおかしくない?」と僕からアナウンスを入れたら「あ、そうですね直します」くらいの感じで直ったりも。
神崎氏:特にリリース直後は、直すのが遅れると信用度により大きく響きますので、土日も関係なくやりましたね。
──リリースすると、どうしても一息つきたくなるのが人間の性ですが、その後も緊張感を持って見守ると。
神崎氏:そうですね。リリースして多くの人に遊んでもらうと、少人数では見つけられなかった不具合とかが見つかりやすいので、(リリース直後は)逆に力を入れないといけない部分ですね。
──では、ホッとできるのはリリースしてからしばらく後なんですね。
小林氏:ホッとしたのは、ここ数年ないかもしれませんね(笑)。リリースしても、その次の展開が待っていますから。
──なるほど、頭が下がる思いです。
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──今日までサービスを行ってきた中で、ユーザーさんからどのような要望が届きましたか?
神崎氏:もっとキャラの特性を出して欲しい、という要望が多いですね。キャラの特性を強めると相対的にメダルの意味合いが薄れてしまうので、あまり尖らせなかった部分なのですが、ユーザーさんからはもっと多様性が欲しいという声が届いています。なので、ここに関しては今後力を入れていこうかなと。
──確かに、プレイする上では多様性があると嬉しいですよね。とはいえ、大変ですよね?
神崎氏:そうですね。でもやっていけるところなので、今後バージョンアップしていきたいなと思っています。
──ここも伸びしろのひとつですね。その他には、どのような展開をお考えでしょうか。
神崎氏:キャラクター側だけでなく、敵に対しても特性を持たせたいですね。例えば弱点とか、一定条件の下でないとダメージが与えられないとか。キャラクターだけでなく敵にも特性を持たせ、これまでとは違う戦い方を楽しんでもらえるような仕組みを考えています。
──要望に応える形で、ゲーム性がパワーアップしていく方向性ですね。
神崎氏:そういう形で、ゲームに奥行きを持たせていければいいですね。
──それでは最後になりますが、遊んでいるユーザーの方々や、まだプレイしていない人たちに向けて、お伝えしたいことがあればどうぞ。
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神崎氏:まだ全く発表していませんし、いつ頃になるかも現段階では言えないんですが、「施設」という要素を開発中です。これが実装されると、例えばこれまでにない装備が作れるようになるなど生産の要素が色々と加わると思います。その他にも色々な機能を考えているのですが、いまはナイショで(笑)。
あと、先日「探索」というものを導入したんですが、こちらのバージョンアップも予定しています。
小林氏:キャラクターをカードとして表現しているゲームは多くありますが、本作はカードを育てるだけでなく、そこに武器や防具を加えることができます。無料のままでも武器のレシピとかは入手できるので、育てた上に更に強いする部分も楽しんで欲しいですね。
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小林氏:あと、これはもう言っちゃっていいのかな? 本作のAndroid版が出ます。
──それは大きな展開ですね! いつ頃出るのでしょうか?
小林氏:ええと、いつか出ます(笑)。ゲーム業界的に言えば、春頃ですかね?
神崎氏:その辺りですね。
小林氏:4・5・6月も春ですし(笑)。もちろんもう作り始めているので、ご期待ください。PCだと、夜家に帰ってから遊ぶ形になると思うんですが、(Android版なら)よりもっと遊んでもらえる時間も増えると思うので、じゃあ作ろうかとなりまして。
神崎氏:当然マウス操作ではなくなるので、タッチ操作で快適に遊べるような調整も行っています。UIに関しても最適化を目指しているところです。
小林氏:テンポ感に関しては、例えばメダルを三つトントントンと選ぶ心地よさなどはAndroid版でも変わりません。ご安心ください。
──両ハードで、データは共有して遊べますか?
小林氏:はい、共有にします。
──では、通勤や通学の時にはAndroid版で遊んで、家に帰った後は大画面のPCで楽しめると。それは嬉しいですね。
小林氏:音楽もいいので、電車の中でもイヤホンを着けて遊んで欲しいですね。
神崎氏:ゲーム内容もパワーアップしますし、Android版で遊ぶ環境の選択肢も増えます。どうか、今後もご注目ください。
──様々な新展開、大いに期待させていただきます。本日はありがとうございました。
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