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──このたび「新約設定資料集」や「パーフェクトサウンドトラック」がリリースされ、多くのファンから喜びの声が上がっています。これらをリリースしようと思った経緯や、何か意図のようなものがあれば教えてください。
松山氏:正直に言うと、そのための『Solatorobo』でもあったんですよ。『テイルコンチェルト』から10年かけて『Solatorobo』を作り、世界で販売をして分かったことというのは、『Solatorobo』(を含めたリトルテイルブロンクス」構想)のお客さんはすごく熱のある方々だということです。ケモノ系の作品のグッズや書籍に夢中になってくれるお客さんがこんなにいるんだったら、『Solatorobo』の展開が一段落ついたら後は『テイルコンチェルト』の設定資料集を出そうと。
──『Solatorobo』の書籍も好評でしたよね。
松山氏:もし仮に『Solatorobo』がなく、17年間経った後にいきなり『テイルコンチェルト』の設定資料集が出ても、お客さん的には「ポカーン」だったと思うんですよ。「なんで?」っていうような。
──17年越しとなると、その可能性もありますね。
松山氏:なので、『Solatorobo』で盛り上がってもらった後に『テイルコンチェルト』の設定資料集を出すと決めてたんですよ。『Solatorobo』を開発している時から。
──計画済みだったわけですか。
松山氏:ただ問題がありまして……当時『テイルコンチェルト』を作っていた時は、資料がないものも多かったんですよ。自分たちで描きながら作ったりしたので、ちゃんとした設定資料がなかったりと。
もちろんちゃんと作った資料もあるので、それは全部設定資料集に入っていますが、(例えば)カラーのキャラクター設定の絵なんてなくて、今回設定資料集を作るに当たって100点以上を新規で描き下ろしました(笑)。
──新たに!?
松山氏:「設定資料集ってこうやって作るもんだっけ?」とか思いながら作ってましたね(笑)。
──設定資料自身も「懐かしくて新しい」わけですね。ちなみに反響や手応えはいかがでしょうか。
松山氏:おかげさまで超順調で、好評を戴いております。「新約設定資料集」には、台本や楽譜集、(単品販売も行われている)「テイルコンチェルト パーフェクトサウンドトラック」などをセットにした特装版もあるんですが、あれ、ウチの宣伝広報チームがひとつひとつ梱包してるんですよ。
──社内でセットにしてるんですね。
松山氏:例えば、Amazonで土・日に「完売です」と出るじゃないですか。すると月曜日に出社した宣伝チームが手分けしてセットを作って発送し、それがAmazonの倉庫に届くと在庫が復活するという。
──「社内」制手工業なわけですか(笑)。
松山氏:本来の仕事がありますから、その合間合間を縫って倉庫に下りて、人海戦術で当たっています。そのため、復活する在庫の数もまばらだったりするんですよね。そして送るとまた完売になり、を繰り返しています。
──売れ行きも好調のようでなによりです。評判の方はいかがでしょうか。
松山氏:評判もいいですね。「設定資料集に愛がある」と、読んでくださった方の満足度も高いです。
──「パーフェクトサウンドトラック」も、設定資料集を出そうと考えていた時からすでに構想がありましたか?
松山氏:もちろんです。このサントラで、ゲームに入っていた主題歌「For little tail」をサイバーコネクトツーの音楽ユニットの「LieN -リアン-」でカバーさせていただいたんですが、KOKIAさんと周防さんに快く許諾してもらえました。おかげさまで、すごく満足のいく一枚に仕上がりました。
KOKIAさんの「For little tail」はすでCDが出ておりますので、同じものを入れるわけにはいかないため、今回はカバーという形でLieNバージョンを収録しました。あと、『テイルコンチェルト』をイメージした書き下ろしの歌もあり、歌モノは2曲あります。そしてBGMもマスタリングし直したので、ゲーム音楽としても17年振りに『テイルコンチェルト』の楽曲が蘇りました。こちらも売れ行き、評判ともにいいですね。
──仮に、『テイルコンチェルト』をリメイクできる機会が訪れたとしたら、取り組みますか? それとも「リトルテイルブロンクス」の新たな作品の制作に取り組みますか?
松山氏:もし『テイルコンチェルト』をリメイクするとしたら、ガラッと変わっちゃうとは思いますね。根本は変えませんが、ゲームとしての遊び勝手だったりボリュームだったりストーリーだったりと、今見ると物足りない部分もあるので、そういった点も含めてウチらしくフルリメイクしたいですね。
また、「リトルテイルブロンクス」の新しい世界、新しいタイトルも作ってみたいのももちろんあるので、両方作ってみたいですね。
──ファンの方々としても、どちらも見たいのが本音でしょう。それでは最後になりますが、将来への意欲も含め、ファンの方々に向けて今一番伝えたメッセージをお願いします。
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新里氏:まず、今までついてきてくださり、ありがとうございます。これまでずっと変わらなかった部分、また進化してきた部分がありますが、変わらない部分は活かしたまま、諸々全ての人が満足するようなタイトルを作って行きたいと思います。
松山氏:『テイルコンチェルト』に限らず、『Solatorobo』、そして「リトルテイルブロンクス」という世界は、今回のお話でも分かるようにお客様に支えていただいております。一部の熱狂的なファンの方々が応援してくれるからこそ、今回の設定資料集も含めて作り続けることができました。我々は、諦めるつもりはまったくないので(笑)、「ケモノ」「ロボ」そして「浮遊大陸」というキーワードを持った世界を、また新しい形でお客様に提供できるよう常に考え、行動しています。
その行動が、より早く、より大きくなるのは、お客様の応援あってこそなので、我々が大好きなこの世界をこれからも一緒に応援して欲しいと思います。どうぞよろしくお願いします。
──自分も一ファンとして、今後の展開を楽しみにしています。ありがとうございました。
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