【オトナの乙女ゲーム道】第6回:『遙かなる時空の中で6』プレイレポ…帝都・東京に巣食う怨霊に立ち向かえ!

インサイドをご覧の皆様、こんにちは。独断と偏見で乙女ゲームについて語り尽くす「オトナの乙女ゲーム道」第6回では、コーエーテクモゲームスのPS Vita/PSPソフト「遙かなる時空の中で6」についてあれこれお話ししていきたいと思います。

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【オトナの乙女ゲーム道】第6回:『遙かなる時空の中で6』プレイレポ…帝都・東京に巣食う怨霊に立ち向かえ!
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インサイドをご覧の皆様、こんにちは。独断と偏見で乙女ゲームについて語り尽くす「オトナの乙女ゲーム道」第6回では、コーエーテクモゲームスのPS Vita/PSPソフト「遙かなる時空の中で6」についてあれこれお話ししていきたいと思います。



本作は、女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「ネオロマンスシリーズ」の『遙かなる時空の中で』シリーズ最新作。本作は大正時代によく似た帝都・東京へ、主人公・高塚梓ちゃんが帝都の守り神である「龍神」と意思を交わすことのできる「黒龍の神子」として召喚されたところから物語がスタートします。



梓ちゃんは、現代を生きる普通の女子高生。そんな彼女が突然、異世界に飛ばされてしまうわけですから、最初は非常に戸惑う様子を見せます。しかし体調の悪い祖母を思い、家に帰るためと帝都にはびこる怨霊退治に挑む梓ちゃん。健気に頑張る姿には胸を打たれます。



そして帝都を守る帝国軍、不思議な力を使う「鬼」の一族、帝都に暮らす人々と、異なる立場や考え方に触れ、神子として自分が何をすべきなのかを見定めていきます。周囲の期待に応えるべく前向きに頑張る凛々しい姿はもちろん、料理を頑張ってみたり、甘いものに癒されたりと、年相応の女の子っぽい部分にもキュンとしてしまいました。髪飾りとか衣装とかも可愛いんですよね。

ゲーム画面やデザインも、大正時代ときいて思い浮かべるレトロとかモダンといった表現がぴったりのものに。音楽もしっとりしたものが多く、PVなどでよく耳にした「黒蝶」など、期待と不安が入り混じるような美しいBGMばかりでした。


◆怨霊との戦闘や、イベント発生に必要な「絆」を増やそう


さて、本作は大筋のストーリーがあり、特定の条件を満たして攻略対象キャラクターのイベントを発生させ、個別のエンディングを目指していくといったタイプ。いつ、どこで、どうすればいいのかというのはゲーム内で細かく確認できるので、忘れずにチェックすれば迷うことはないでしょう。クイックセーブやスキップなど、便利な機能もすべて備えているので、周回プレイもさくさく行えます。


そして、先ほども言いましたが、梓ちゃんは神子として帝都にはびこる怨霊を鎮めていかなくてはなりません。1日3回という行動回数の中で、攻略対象とのイベントを起こすだけでなく、こまめに怨霊を退治していかないとゲームオーバーになりかねません。

戦闘はマス目状のフィールド内で「札」という手駒を移動させるという、シュミレーションゲームのようなシステム。札には属性があり、戦う怨霊の属性に対して有利な札を選べば、より簡単にクリアできます。またゲームを進めると、怨霊を倒すことで手に入る「陰の気」を使って新たな札を場に呼び、敵を自分たちのすぐ側に引き込むことも可能に。


札には特殊な効果をもつものもありますし、移動できる範囲もそれぞれ違います。絵柄も異なるので、つい収集したくなるコレクション的な要素も。レアなものも用意されていて、これはちょっと入手するのに苦労しました。戦闘システムの操作自体は簡単ですが、突き詰めようとするとかなり奥深い仕上がりになっています。


とはいえ、1度勝った戦闘はスキップできますし、難易度も手軽に変更OK。単純にストーリーをクリアしたいだけなら、簡単にしておけば大丈夫です。札は経験値を得てレベルアップしていき、一定のレベルに到達すると特別なボイスを聞けるというご褒美つき。繰り返しプレイし、札のレベルを最高にするのも楽しみの1つとなります。


また、戦闘では攻略キャラクターの札を使うと、そのキャラクターとの「絆」がアップ。この絆の値がイベントの発生に深く関わるので、目当てのキャラクターの札をできるだけ戦闘に参加させるとよりスムーズに進みます。絆はストーリーやイベントでの選択肢によっても上下するので、キャラクターの反応をお見逃しなく。


◆異なる立場の8人と織りなす、恋愛模様も見どころ!


それでは、攻略キャラクターとなる8人についてみていきましょう。

■有馬一(CV:寺島拓篤)


有馬さんは帝国軍の対怨霊討伐組織「精鋭分隊」の若き隊長。もともと軍人の家系というわけではありませんが、帝都に住む人々の平和を守るために尽力しています。まさに軍人の鑑といった高潔な人物ですが、女心にかなり鈍感なのだけはどうにか直していただきたいですね。

正しいことであれば正しくズバッと言いますし、一見すると厳しい言動も多い有馬さん。「有馬語の翻訳」などと、周囲からフォローされることもあります。とはいえ、頑張りはきちんと見てくれますし、めったに笑顔を見せないからこそ純粋に褒められたときの嬉しさは格別。裏表のない真っ直ぐな気質は、見ていてほんとうに清々しいです。だからあとちょっとでいいから女心を理解してあげてください!!ずっと「高塚」呼びだし!!大丈夫だろうと思ってても、最後めちゃくちゃ冷や冷やしましたから!!

■ダリウス(CV:鈴村健一)


ダリウスは空間転移や結界術、幻術などさまざまな術に秀でた「鬼」の一族の首領。異世界に飛ばされ、右も左も分からない梓ちゃんを屋敷にかくまい、元の世界に帰る方法や怨霊の倒し方、やがて訪れる滅びの予言をはじめ、さまざまなことを教えてくれます。

物腰は非常に柔らかで、梓ちゃんだけでなく屋敷の同居人にも分け隔てなく優しく接するダリウス。人から慕われるカリスマ性も備えていますが、信頼関係を損なうような行動には毅然とした態度を取るなど、上に立つ者としての威厳も感じさせます。

譲れない願いのため、ダリウスはある計画を進めていきます。その行動に迷いはなく、手段も選びません。しかし冷酷とも取れる一面は、かつての過ちを取り戻すためのもの。彼の本当の気持ちを理解すべく、最後まで信じぬく梓ちゃんは強いなあと思いました。余談ですが、最後までクリアした時の率直な感想は「ダリウスはヒロインだったのかな?!」でした。

■コハク(CV:阿部敦)


コハクは、帝都では流行りだした謎の奇病「憑闇」に侵された影響で記憶を失ったところを梓ちゃんに拾われました。ちょっと調子のいいところもありつつ、誰とでも仲良くなれる人好きのする青年です。

やはり焦点となるのは、コハクの失われた記憶。これまでの思い出はもちろん、どういう経緯で憑闇となったのか、ストーリーの根幹となる部分も含まれています。記憶が明らかになるにつれ思い悩み、梓ちゃんへの思いも押し殺そうとするコハクには「そこは!!大丈夫だか!!梓ちゃんを信じろよ!!」と背中を突き飛ばしたくなりました。コハクと梓ちゃんはどうみてもお似合いなのにお互いにちっとも分かってない感じがあり、終盤までこっちが「早く!!くっついておしまいなさい!!」と悶え苦しむはめになりました。

■片霧秋兵(CV:岡本信彦)


秋兵さんは帝国軍の最高権力者の息子。そして自身の精鋭分隊の副隊長として、国を守るために戦う軍人です。しかし洗練された雰囲気をもち、音楽方面にも明るいなどその振る舞いは貴族のよう。梓ちゃんをはじめ女性に対するエスコートも完璧で、怨霊騒ぎで色々と大変な中ですが、1番恋人っぽい甘い雰囲気を堪能できます。

一見非の打ちどころがないようでしたが、すでに亡くなった母、根っからの軍人という父という「家族」への向き合い方には不器用さも感じました。好きな人と恋におち、愛し合うことへ憧れを抱きつつ、どこか諦め踏み切れない様子も。まあ、吹っ切れてからは一番手が早くてびっくりしましたけどね。ウチの梓ちゃんが…!と嬉しいやら寂しいやら、いや梓ちゃんの幸せが1番なんですよ。そこは絶対大丈夫だと信じてます!

■ルードハーネ(CV:立花慎之介)


ルードくんはダリウスに従者として仕える鬼の一族です。過去の出来事からダリウスに心酔し、少しでも役に立つためにと炊事や裁縫などの家事全般から戦闘関係、ダリウスの手掛ける商売のサポートから学問までなんでもこなすデキる子。そんな子だからこそ、時々みせるちょっとした「デレ」にこっちが不意打ちをくらいます。ルードくんを可愛いと言わず何を可愛いというのでしょうか。

ルードくんの行動は、すべてダリウスを思ってのこと。その一途さが眩しい反面、歯がゆく思う時もありますが、梓ちゃんとの触れ合いで「自分自身の考え」について思いを巡らせる姿を見守るのがとても楽しかったです。1番好きなのは、あるタイミングでルードくんが早口でまくしたてるシーンですね。若いって、いいもんだ。

■本条政虎(CV:竹本英史)


虎は父が鬼、母が人間のハーフ。イベントが起きるたびに、他のキャラクター攻略中には全く見えなかった一面が次々と現れてとても驚きました。守銭奴だし色々な意味で「食い意地」が張ってますし、梓ちゃんへの傲慢な態度、好戦的で粗野な振る舞いと勝手気ままに生きているという印象が強かったのですが、あるイベントから梓ちゃんともども「虎って本当は…?!」みたいにずるずると落ちました。ええ、落ちましたとも。笑顔もずるい、本当にずるいとしか言えません。

実際は苦労を重ねたこともあり、現実を見据えた冷静な判断のできる大人。家族や仲間思いの面もありますし、困ってる人を放っておけない梓ちゃんを放っておかない人情味にあふれた部分もカッコイイですね。まさに梓ちゃんだけのヒーロー!何だかんだと役得なシーンも多くて、若干虎に嫉妬しましたけどね。女子高生相手に…ずるい…!

■萩尾九段(CV:四反田マイケル)


九段さんは神子を守る使命を帯びた「星の一族」です。古風な話し方、使命を果たすためならどんな苦難をもいとわない強さを備えているものの、甘いもの好きで野菜が苦手だったり、頑なで頑固だったり、人の感情にちょっと疎かったりと、つい気になって目が離せなくなるタイプですね。梓ちゃんのほうが年下なのに、彼女が保護者のように感じる部分もありました。

これまでの人生をすべて使命のために費やし、同世代の友人もほとんどおらず、恋すら知らない九段さん。そんな状況も当たり前に受け止め、辛い思いをしても決して表に出さず、弱音も吐きません。だからこそ、きちんと使命を果たした暁には、梓ちゃんとは幸せな未来を築いていってほしいなと願わずにはいられませんでした。

■里谷村雨(CV:安元洋貴)


村雨さんは多くのファンをもつ小説家。情報屋として鬼や帝国軍とも不思議な繋がりをもっていますが、どちらに肩入れするわけではありません。梓ちゃんに対しても龍神の神子ではなく、1人の女の子として接してくれる包容力のある大人の男性です。

そんな村雨さんに少しずつ惹かれていく梓ちゃんですが、子供扱いされてまともに取り合ってもらえません。それでもどうにか自分の気持ちを理解してもらおうと、かなり積極的な梓ちゃんが見れるのは相手が村雨さんだからこそ。また、村雨さんはこれ以外にもさまざまな面を秘めています。村雨さんのイベントに限らず、セリフをじっくりと読み込めば「あれ?」と気付けるかもしれないので、注目してみるのも楽しいですよ。なお、私は全く分からず「ええええええ?!」とびっくりしました。

■駒野千代(CV:高橋美佳子)


千代ちゃんは帝都を守る「白龍の神子」。これまでのシリーズではほとんど白龍の神子が主人公でしたから、この展開に驚かれたファンも多かったと思います。

千代ちゃんも帝都の平和を守るため、梓ちゃんと一緒に頑張る健気な女の子。女性の社会進出が難しい時代にあっても職業婦人を目指したり、好きな男性へ一途に思いを寄せたりと気丈な性格で、そんな千代ちゃんに梓ちゃんもずいぶん救われたんじゃないかなと思います。彼女も本当に可愛いかったですね!神子って可愛い子が選ばれるのかな?!龍神ってなかなか趣味がいいですね本当に!

さまざまな苦難を乗り越え、想いが通じ合っても、異世界から来た梓ちゃんは使命が終わったら元の世界に戻る身。それぞれのキャラクターが迎える結末は、果たして?!というのも見どころですね。

ちなみに個人的なおすすめとしては、世界観をじっくり楽しみたいならダリウス→コハク→村雨さん、恋愛色を楽しみたいなら秋兵さん→虎、千代ちゃんが好きなら九段、ツンデレ系が好みなら有馬さんかルードくんをどうぞ。あと、村雨さんは1番最後のほうが面白いかもしれません。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

基本的にはメインストーリー、そして梓ちゃんと攻略キャラクターとのイベントを楽しむものですが、キャラクター同士の関係性もしっかりと描かれているので面白かったですね。何だかんだとお互いを補い合う、いい友人関係の有馬さんと秋兵さん、ルードくんに怒られてばかりの虎とコハク、幼馴染という千代ちゃんと九段さん、昔の知り合いだった九段さんと村雨さん、部下から慕われるのは同じなのに、接し方はまるで違う有馬さんとダリウスなどなど、ささいな会話でも色々な背景がみえるのが良かったです。

また戦闘や札集め、豆知識の回収など、テキストを読む以外の色々な要素を楽しめるのもポイント。周回プレイでも「今回はあの札のレベルを上げよう」とか、目的が持てたのでマンネリせずに済みました。「シュミレーションゲームとしてたっぷり遊びたい!」という方にとくにおすすめです。

その分、寄り道しようと思えばいくらでもできてしまいますし、周回しても札がコンプできなくて時間が…時間が足りません…。まだ当分、帝都の平和を守る日々が続きそうです。

《近藤智子》

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