『EVE: Valkyrie』はMMORPG『EVE Online』と世界観を共にしたスピンアウトタイトルとでもいうべきもので、Oculus RiftのDK1向けにデモとして制作され、E3 2013で公開されました。実は筆者にとって初めて体験したOculus Riftのデモであり、その圧倒的な没入感と、360度広がる宇宙空間の中を、頭をぐるぐる動かしながら敵機をおいかける臨場感に、VRゲームの大きな可能性を感じたことを覚えています。
E3 2015ではその『EVE: Valkyrie』がCV1向けに正統進化していました。デモの内容はほぼ同じで、宇宙基地から発進し、巨大戦艦が交錯する戦場内を、敵機を追いかけながら機銃とミサイルで撃破していくというものです。操作方法は一般的なフライトアクションと同じで、プレイ時間は体感で5分から10分程度となっており、時間が来たら強制終了。ただし設定は同じでも別モノといっていいほどの進化を遂げていました。
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まずは解像度の上昇がもたらした描写力の向上です。DK1の液晶は1280×800で、ピクセルがはっきりわかりましたが、CV1では非常になめらかになっていました(スペックは非公開ですが推定で2560×1440)。この恩恵を大きく受けたのがHUD類で、コクピットの描写に溶け込むように、自然な形で数値やレーダー類が表示されていました。DK1では数値すら表示するのが困難なレベルでしたから、隔世の感があります。
また下を向くと自分の体が表示され、操縦桿を握る両手やペダルを踏む両足も視認できました。コントローラにはXbox Oneのものが使用され、操作に応じて操縦桿なども追随する仕組みです。本作のようにVR空間の中に入り込むようなコンテンツの場合、自分の体が視認できるか否かは、快適性の実現において大きな意味を持ちます。これが可能になったのも解像度の向上と大きな関係があります。
立体視も非常に効果的に機能していました。バックの宇宙空間に対して、コクピットのフレームが立体視で浮き上がり、視認性と快適性が向上。レーダーも機体の水平面に対して敵機の上下関係が立体的に表示されており、驚かされました。立体視には左右別々の映像をレンダリングする必要があり、単純計算で2倍の描画負荷がかかります。まさにスペックが年々上昇し続けるPCならではの表現だと感じました。
CV1の装着感などについても補足しておきましょう。筆者が体験したDK1・DK2と比べて、外観がより洗練されており、ポジショントラッキング向けのマーカーも目立たなくなっていました。筆者は眼鏡をかけていますが、眼鏡越しの装着も可能でした。本体も軽く、装着して疲れるようなことはありませんでした。ただ、しっかり固定するために眼鏡の鼻あてが顔に押しつけられ、少し痛くなったのも事実です。
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ともあれ、フライトシューティングのように遠景と近景がハッキリしているゲームは、VR酔いをおこしにくいため、VRゲームに向いた題材です(一方でゲーム中、戦艦に接触して視界が急に変化したときは、軽い不快感を覚えましたが、これは開発段階における配慮で対応できそうです)。近い将来このジャンルのゲームは、すべてVRゲームになるのではないか・・・そのように感じさせる内容でした。
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