【TGS2015】会場で執り行われた“桝田省治の葬儀(という名のステージイベント)”をレポート

「本日はお忙しい中、故・桝田省治の生前葬にお集まりいただき、ありがとうございます」という事で、桝田省治氏の生前葬。その様子をお届けします。

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【TGS2015】会場で執り行われた“桝田省治の葬儀(という名のステージイベント)”をレポート
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「本日はお忙しい中、故・桝田省治の生前葬にお集まりいただき、ありがとうございます」という事で、「東京ゲームショウ2015」において執り行われた、桝田省治氏の生前葬。その様子をお届けします。

◆喪主の2人によるお式がスタート


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「生前葬をしたらどうなるのか」「自分の葬式が見たい」という桝田氏の願いにより、今回の葬儀はしめやかにスタート。まずはサラ役の五十嵐裕美さん、メリーアン役の松井恵理子さんお二方の「喪主」が、勇者の遺影を携え入場。イベント会場のファンに一礼をすると、桝田省治氏の生前葬を執り行う旨を宣言しました。

会場からは苦笑とも言えるような忍び笑いが漏れ聞こえてきます。作品に「死生観」を盛り込む桝田氏ならではの演出、といったところでしょうか。もちろん、今作『勇者死す。』も「そういったゲーム」であるため、今回の運びになったのは間違いありません。

◆『勇者死す。』とは?


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企画立案が20年前。「尖った企画」であった同作は、中々形にならなかったようで……時は流れ世も変わり、2007年よりケータイアプリとして提供されていました。内容を端的に言うと、「勇者が魔王を倒し、相討ちになるところから始まるゲーム」が『勇者死す。』です。自分が死んだら、その葬式には誰が来るのか? その人達は、自分をどう思っていたか? 自分の葬式を見たい――そんな想いと、勇者が魔王を倒した後、その世界はどうなるか? 魔王のシンパは? 世界は平和になったのか? 人々の思惑などは錯綜しているのではないか……という地点からスタートしています。今回のPS Vita版は、新規シナリオ、新規BGMとなり、メインキャラにはボイスを追加しています。

◆桝田省治らしさ


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「せめて発売するまでは葬式を待って欲しかった」「せめてみなさんのお手元に届くまでは待って欲しかった」と、声優陣に故人扱いを受ける桝田氏。いい感じに悪ノリで進むステージ上に、当の桝田氏が登場します。何故ここに!?と突っ込まれながらも「帰りに車に撥ねられました」と返答。すかさず女性陣から「言霊って知ってますか!?」とさらに突っ込まれていました。

そんな2人に今回の経緯を尋ねられ、「生前葬をやって見たかった」「でもまあ、実際はこんなに集まんないよね」と一言。いやいや、そんな事はないでしょうと、会場の人達は心中で突っ込んだ事でしょう。さらに「誰が香典をいくら持ってくるかは知りたいよね」と桝田氏が畳み掛け、最終的に「台本を持ってくるのを忘れた」と発言するに至ります。そこで声優2人からは「嘘でしょ?」と冷静に突っ込まれていました。

ゲームの説明を求められた桝田氏は、一言「面倒くさいゲーム」と発言。解決の方法が一つではなくて、一方を解決するともう一方が解決できなくなったり、決まった時間内に片方しかできなかったりするそうです。これに対して「桝田さんのゲームで面倒くさいものはない」と突っ込まれると、自分自身も「デバッグはやりますが、発売されたあとはやりません!」と断言しました。

そんな「面倒くさいゲーム」だから、やっていく内に「次はこうやろう」と覚えながらやって欲しいとの事。ここで内容にも少し触れて、「プレイ中に死んでしまうキャラもいるし、弔辞はいっぱい書きました」と。天使ユリアに蘇生されてから、死ぬまでの5日間。その時間をフルに使って、勇者として何をなしたか探りつつ、記憶からこぼれてしまった「最愛の人」も取り戻していくようです。

◆収録について


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サラについて、「フワフワしているけれど、いつもお金の話ばかりしているキャラ」とボイスの五十嵐裕美さん。メリーアンの松井恵理子さんは「自由奔放すぎて、人の気持ちが分かってない」とそれぞれの自キャラを説明。このメリーアン、桝田氏によると、作中で「詐欺師」とも言われている、感情の難しい面倒くさいキャラとの事。面倒だらけだ。

また、サラは普通の特徴のないキャラでありながら「戦争が終わって、まわりが壊れて人が死んでいるのに、普通に生活しているキャラ」であるらしく、やはりそこに「異色」を感じてしまいます。メリーアンの松井さんは、今回撮り直しを経験。「高い声、イラッとする感じにやって欲しい」と言われたが、収録後に「もっと低い声でやりなおそう」と。桝田氏によると、松井さんには掘り起こしていない部分があるから、常に新しい役をやらせたいと考えていた。しかし、家に帰ってボイス聞いてみたら、少しやり過ぎだったため、再収録にしたそうです。

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今作の新キャラ2人は強烈だとか。途中から登場するこの2人が現れると、ゲームが変わる。ただでさえ面倒くさいシステムに慣れてきたところ、2人の登場でシステム自体が変わってしまうそうなのです。これについては今後も情報が発信されるでしょうから、気長に待ちましょう。

◆苦労話


今作は『天外魔境2』が終わった後に着手した、20年前の企画。まだ現在の携帯電話もない時代のものです。その長さに声優2人から驚かれたところ、「企画なんて言うのは、100に1つとはいわないが、20に1つくらいしかものにならない。これは形になっただけ恵まれているんだよ」と桝田氏。『俺屍』も二作目まで時間が空きましたし、企画構想からだと時間がかかりますね……。移植前との比較では、グラフィックと音楽、キャラボイスの追加が大きな違い。前述のように、追加シナリオや隠し項目もあるそうなので、こちらは是非プレイして確かめてみたいですね。

と、ここで桝田氏昇天まで60秒のタイムリミットが! 駆け足で紹介を進めていきます。伊藤賢治氏(通称イトケン)の新規BGMは「PlayStation Vita」を意識したもの。また、今作のイラストレータ「クロサワテツ」氏は、「可愛い女の子を描くより、滑稽な男を描く方が上手い」と桝田氏に評されていました。

ここで、桝田省治氏の下にネクタイ姿のリーマン風天使が登場。「どうせなら可愛い女の子の天使が良かった」と言い残し、氏は召されました。合掌。

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なお、メインキャラのCVは、勇者に代永翼さん、ユリアに今井麻美さん、フローラに村川梨衣さん、魔王に最上嗣生さん。今回発表のあったサラに五十嵐裕美さん、メリーアンに松井恵理子さん、この他、加隈亜衣さん、行成とあさん、福圓美里さん、藤田咲さん、金元寿子さん、高垣彩陽さん、後藤ヒロキさん、拝真之介の名前がクレジットされています。

◆最期に


ここで、残った2人からの遺言が。松井さんは、「かなり難しいゲームとなっています。本当に遺言を残すとしたら、「家のものは全部捨てて!」です!」と笑いを誘い、五十嵐さんは「魅力邸なキャラがたくさんいますので、情報解禁を楽しみにしてください」と穏やかに答え、「皆様方にお見送りいただき、さぞかし故人も喜んでいると思います」と、桝田省治氏生前葬を、しめやかにまとめました。

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「一度死んでから、再度寿命が尽きるまでの5日間」(6日目に死亡)、避ける事のできない「死」に向けて、どんな行動をして、何を知り、何を取り戻し、何を残すのか? 繰り返す事で見えてくるものを携え、思い残す事は無くなるのか? 新規シナリオ、新規BGM、メインキャラにはボイスを追加した『勇者死す。』は、2016年2月25日発売予定です。予約特典には『勇者死す。サウンドセレクション』付属ですよ!

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《平工 泰久》

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