今回の連載では、細かなミニチュアの塗装方法としては一般的な筆塗りの塗装方法を解説していきます。塗料は安全で刺激臭がなく非常に扱いやすい、水性アクリル塗料を使っていきます。そして、その下準備としてまず、プライマーを塗ります。
プライマーとは、素材に塗料を定着させるための下地材のこと。ミニチュアゲームはミニチュアを直接触る関係で塗料が剥げないように定着させるのは非常に大事であるため、プライマーは必須といえるでしょう。
一般的なものはスプレータイプかボトル入りのもので、ボトル入りものは筆かエアブラシで塗っていきます。今回はスプレータイプのものをメインに、ボトル入りのものの使い方も簡単に紹介しておきます。
スプレープライマーは、日本の模型店等でも様々な種類のもの手に入りますが、普通のプライマーは前回紹介したメタルのミニチュアには使えないので、模型用のメタルプライマーが良いでしょう。だいたい小さな缶が400~500円ほどで売っています。

自分がミニチュア用のプライマーとして愛用しているのは、デンマークのミニチュア専用塗料メーカー「アーミーペインター」の『カラープライマー』。アーミーペインターはミニチュアゲーム用のミニチュアを簡単に塗装できるようにすることを主眼に製品を作っており、初心者でも非常に使いやすいアイテムを揃えていて非常にオススメです。ちなみに、記事トップにある『フロストグレイブ』の公式作例でも使われています。

プラスチックはもちろん、前回紹介したメタルやレジンなどなどの素材に対して使うことが出来ます。プライマーと言うと一般的には透明だったり白だったり黒だったりと、基本的には塗装自体をするものではないのですが、『カラープライマー』は20以上の色があり、プライマーを塗るついでに1色塗れちゃうというのが非常に便利。
価格は2000円ほどで、一般的な模型用に比べると少々割高にはなりますが、その分容量は多く、大量にミニチュアを塗るのに使っても中々なくならないので一本あれば長く使えますよ。
また、『フロストグレイブ』の場合は、ミニチュアがそれぞれ異なる色の服を着ていてもカッコイイのですが、例えば他のゲームでよくある軍隊的なミニチュアを大量に塗るときに、その軍隊のテーマカラーを一気に塗れると、作業時間がだいぶ短縮されます。

これは次回改めて詳しく説明しますが、プライマーと全く同じ色の塗料が用意されているのも塗り損じたときに修正しやすいのも良いポイント。
さて、それでは早速、前々回作ったごろつきのミニチュア(個人的好みで四角いベースに載せ替えました)と、前回作ったリーパーのボーンズの騎士(下写真右)のミニチュアにプライマーを塗ってみましょう。
今回はアーミーペインターのプライマーを使うので、まず何色のプライマーを塗るかを決めます(日本代理店の公式サイトには、カラーのリストがないのでこちらやこちらのショップページで選ぶのがオススメ)。(追記: 「アーミーペインター」の公式カタログも公開されました)
もし、ミニチュアの服の色を統一したいのであれば、その色で塗るのがベスト。先程も言いましたが、プライマーで一色入れてしまえば、非常に作業が楽になることでしょう。
一色塗るつもりがなければ、「マットブラック(黒)」がよいでしょう。塗り残した部分が影っぽくなり目立たないので初心者にはオススメ。この後で、プライマーの上から黄色や赤、白などの明るい色を塗ろうとすると、下地の色が透けてしまいがちなのがちょっと難点。
しかし、『フロストグレイブ』などのファンタジー系、もしくは古代~中世の歴史系のミニチュアを塗る際に強くおすすめしたいのが「レザーブラウン(茶色)」。このタイプのミニチュアは大体の場合、革靴や鞄、ベルト、鞘を装備していることが多く、その辺を一気に塗れてしまうのは非常に便利。また、黒などに比べると黄色や赤を塗る場合も下地が透けにくいのでとても楽ですよ。
加えて、今回プライマーを塗る騎士のような、全身に鎧を着ているミニチュアには「ガンメタル(暗い銀)」、「チェインメイル(明るい銀)」がオススメ。さっと吹けばもうだいたい塗り終わった感じになりますよ!
今回はごろつきにレザーブラウン、騎士にガンメタルを使用します。それでは早速カラープライマーを吹く準備を始めましょう。