【特集】話題のホラーゲーム『夜廻』開発者を直撃 ― ところが関係者が失踪、消えた彼らを探しに夜の街へ…

昨今のゲーム業界は厳しい状況も相まって、ヒット作の続編やシリーズ作品などがリリースされる傾向も色濃くなっており、意欲的な挑戦というのが難しい時代になってきたとも言えます。

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◆注目度の高い『夜廻』、その本質に迫る



──先日公開された『夜廻』の最新映像は特に高い関心を集め、ウチの記事だけでも1.4万ツイートを記録するほどでした。これだけ注目されるというのは、狙い通りでしょうか。それとも予想以上でしたか?

溝上氏:予想以上でした(笑)。ここまで注目されるとは考えていなかったので、驚きましたし嬉しかったです。公式サイトの様々なキャンペーンにも反応していただいて、本当に有り難いばかりですね。

──恐怖体験も印象に残るものばかりでしたし、キミのお化けイラストキャンペーンも発想が光る作品が多かったですね。

溝上氏:『夜廻』を作る時に、「道を歩いているだけでも怖くしよう」と意識していたんです。そのニュアンスをユーザーさんが受け止めてくれたような作品が、沢山集まりました。

──『夜廻』が注目されたポイントのひとつとして、やはりこの、ホラーゲームらしからなう可愛いキャラクターデザインというのもあると思うんですが、さきほど伺ったギャップ以外の理由もありますか?

溝上氏:そうですね、キャラクターをデフォルメで表現することで、想像力をより働かせてもらえるのではないかなと考えました。“恐怖”というのは、その全てを直接表現することはできないので、想像を刺激する必要もあるかなと。

──デフォルメにすることで、想像力がより生まれやすい余地を作ったわけですね。

溝上氏:道を歩いている時に「ああなるのかな、こうなるのかな」とつい想像し、そう考えること自体が怖くなってもらえればなと。

──「怖い! でも続きが気になる! やりたい!」というゲームになりそうですね(笑)。

溝上氏:ぜひ勇気を持ってプレイして欲しいですね(笑)。

──ちなみに、その勇気は報われますか?

溝上氏:報われる・・・といいですよね(笑)。そこは、プレイした時のお楽しみということで。

──報われることを信じてプレイします(笑)。

溝上氏:(ホラーゲームだから)怖くて出来ないという方もいますが、『夜廻』は怖いだけのゲームではなく、色んな体験ができます。

──色んな体験というのは、例えばどのようなものでしょうか?


溝上氏:夜に潜んでいる“切なさ”や“さみしさ”、“迷子になる不安感”、“懐かしさ”など、夜から連想する様々な要素を盛り込んでいます。怖いだけじゃない“夜”を描いているので、良ければ遊んで欲しいですね。

──“夜”が持つ魅力も描かれているわけですね。ちなみに本タイトルは、アクション性も盛り込まれていますが、こちらのバランスはどのような感じですか。

溝上氏:アクションの難しさという意味では、全体的に一律ではないんです。難しいところはとっても難しくて、簡単なところは突破が容易いと。このゲーム、例えばある目的地にいく際に、そこへ行くためのルートは色々とあるんです。一本道ではないので、自分なりのルートを見つけることができます。

──正解はひとつだけじゃないんですね。

溝上氏:ルートによってはめちゃくちゃ強い敵や、すごく速い敵がいたりするんですが、別のルートだと敵があまりいなくて簡単に進めることができたりします。“道を探す”というのも大事な攻略法ですね。

──なるほど。まさしく“夜道探索アクション”です。

溝上氏:難しくて通れないと思った時は、別のルートを探すことで目的地に到達するのもアリです。ですので、色んな難易度がひとつのマップに同居している、といった感じですね。

──アクションが苦手な人は、“探索”で乗り越えていけばいいんですね。それに、見つけるのもひとつの楽しさになりそうな印象を覚えます。

溝上氏:腕に自信がある人は、敢えて立ち向かって突破するというのもひとつの手ですね。

──そちらも、やり甲斐がありそうです。ちなみに探索できる場所のバリエーションなどはいかがでしょうか。


溝上氏:路地や商店街といった町中だけでなく、廃工場や田んぼなど、様々用意しています。色んなシチュエーションの中でルートを探す楽しさが、他のゲームにはない“夜道探索アクション”の醍醐味かなと思います。

──文字通り暗中模索というか、手探りで進む面白さが特徴なんですね。

溝上氏:まさに手探りですね。この町に関してほとんど情報がない状態で放り出されるので、自分でマップを埋めながら「あ、この道はここに通じてるんだ」「この道はまだ通ったことないから、行ってみよう」と、自分なりのやり方で探索範囲を拡げていく感覚が楽しめるんじゃないかなと。

あとランダムに配置されるお化けもいるので、いつもの道だと思って油断して歩いていると、大変な目に遭う時もありますよ(笑)。

──立ち往生したりもありそうですね(笑)。ちなみに、お化けにやられてゲームオーバーになったりはするんですか?

溝上氏:はい、ゲームオーバーはあります。また中間セーブポイントがあるので、再チャレンジもしやすくなっています。

──怖さと遊びやすさが両立されているんですね。闇雲に難しいわけでもなく、また手軽すぎるわけでもないと。


溝上氏:しっかり夜道に光を当てて進むなど、ちゃんと注意をしていけば進めやすいと思います。慎重さが大事ですね。お化けが近くにいると少女の心拍数が上がる“心臓音システム”もあるので、そういったものも活用してください。

──ユーザーを支援してくれるシステムも、大事なポイントになりそうですね。でも実際のプレイでいきなり心臓音が聞こえ始めたら、逆に焦ってしまいそうです(笑)。

溝上氏:焦らず冷静になれというのも、なかなか難しいですよね(笑)。そのドキドキ感も楽しんでもらえたら幸いです。

次ページ:怖さの向こうに“何か”が待つ『夜廻』

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《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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