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Cygamesがスマートフォン向けに提供している『グランブルーファンタジー』。本作は数々の名作を手がけてきたデザイナーの皆葉英夫氏がキャラクターデザインを統括し、同氏の1枚のイラストからゲームが作られていったそうです。その開発は、よくある受発注の関係ではなく、プランナー、デザイナー、プログラマーといったチームがキャッチボールをしながら進んでいったそうです。大ヒットを産んだ稀有な開発体制について、プロデューサーの春田康一氏を交えてお話を伺いました。
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―――『グランブルーファンタジー』のプロジェクトはどのようにして始まったのでしょうか?
春田:ある日、渡邊(耕一氏、Cygames代表取締役社長)から呼ばれまして、こういうのがあるからやってみないかと。皆葉さんが描いてくださったイラストがすでにけっこうな数ある状態でした。皆葉さんとは実はそれまで、深い付き合いがあったわけではなくて、このプロジェクトを期に話をするようになったんです。自分にとっても伝説の人ですので、最初は緊張しきりだった記憶しかありません・・・。
皆葉:最初は具体的にどういうゲームに落とし込まれるかは決まっていなかったのですが、ファンタジーを意識しながら幾つかのイラストを描いていっていました。騎空艇のような乗り物や、空飛ぶドラゴンなどですかね。そこから、Cygamesでは既に『神撃のバハムート』という作品があったので、ドラゴンではなく、騎空艇にしようと決めて。徐々に輪郭がはっきりしてきました。当初はダークファンタジーのような絵もあったのですが、騎空艇で空を冒険する、明るいイメージというのも徐々に決まっていきました。
春田:初期のイラストを見せていただいている頃に、木村(唯人氏、Cygames常務取締役)から王道のRPGを作りたいという話があって、ああこの話って連動してるんだ、と。でも、当時はカードゲームが主流で、スマホで遊ぶRPGという像が自分の中にも明確にはなくて、皆葉さんの絵をどうやって落とし込んでいけばいいのか、悩む日々でしたね。
―――ゲームはどのような要素から形作られていったのでしょうか? 物語でしょうか? ゲームプレイでしょうか?
春田:全て並行して、というのが正しいように思います。皆葉さんにはキャラクターを沢山描いてもらって、その中から主人公が生まれていきました。ボツになったものも沢山あって、"Boy Meets Girl"的なノリを考えているときもありましたね。シナリオも別の方と相談しながら徐々に決めていって。ゲームプレイはゲームプレイで作っていきました。でもきっちり方向性が定まっていたというよりは、それぞれの部分でキャッチボールしながら作っては壊し、作っては壊しを半年くらい繰り返して輪郭が見えてきました。
―――なるほど。コラボレーションによってゲームが生まれていくような
春田:そうですね。ゲームを作ってから絵を発注するというのはよくあることですよね。絵を見てからゲームを作るのも割にあることです。でも、ゲームを作りながら、絵も作りながら、この絵が最高に面白くなるゲームを作る。ゲームを際立たせる絵を作っていく、そういう共創関係が取れたというのは珍しい事例のような気がしますね。
―――絵とゲーム部分お互いが高め合う関係性だったわけですね。
春田:そうですね。最近はデザイナーさんから企画があがってくるケースも多くて面白いですね。去年やった、「ロボミ」のイベントの原案は皆葉さんですし、4月にやった「名探偵バロワ」というイベントもデザイナーさんの持ち込みです。ご丁寧にキャラクターやイラストも込みでいただくことが多いので、思わず採用しちゃいますね(笑)。
―――それは良い関係ですね
春田:言いたいことがあればお互いに遠慮なく言う。絵が可愛くないと思えばプランナーも言うし、企画がおかしいと思えばプログラマーも言うし、仕様が変だと思えばデザイナーも言うし。持ち場はありつつも、全員が1つのゲームにコミットして仕事が出来ていると感じています。Cydesignationのメンバーも含めて、全て自社内で制作が完結しているというのも良い方向に働いていると思います。
―――皆葉さんのような著名なクリエイターがいるとどうしても萎縮してしまうようなことはないんでしょうか?(笑)
春田:はい、本来は遠慮はいらないと思うんですけど、どうしてもなるじゃないですか。自分も最初は緊張しましたし(笑)。例えば目の前に大御所のタレントさんがいるような・・・。
皆葉:そこまで大物じゃないよ(笑)。
春田:皆葉さんも気さくに現場の人たちと付き合って意見を言い合ってくれているので、とてもやりやすいですね。
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