【hideのゲーム音楽伝道記】第35回:『スーパーマリオ64』― 絵の中の世界で繰り広げられるマリオの冒険を彩る音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第35回:『スーパーマリオ64』― 絵の中の世界で繰り広げられるマリオの冒険を彩る音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第35回目となる今回は、もうすぐ発売から20周年を迎える『スーパーマリオ64』をご紹介します。


『スーパーマリオ64』は、1996年6月23日に任天堂からニンテンドウ64で発売された3Dアクションゲームです。2004年にはニンテンドーDSで、追加要素が入った移植作『スーパーマリオ64 DS』が発売されました。

本作は世界中で人気の『スーパーマリオ』シリーズにおける初の3Dアクション作品で、さまざまな絵の中の世界を舞台にした3D空間をマリオが大冒険します。マリオの多彩なアクションを駆使して各ステージを攻略し、「パワースター」を集めて行動範囲を広げてゆき、マリオの因縁の宿敵・クッパを倒してピーチ姫やキノピオたちを助け出すことがゲームの目的となります。

「お城に遊びに来てください。ケーキを作って待ってます」……ピーチ姫からの手紙を受け取り、大喜びでピーチのお城にかけつけたマリオ。しかし、お城の中へ入ってみると何やら妙に静まりかえっていて、様子がおかしい。そこに響き渡ったのは、「誰もいませんので、とっととお帰りください。ガハハハハッ!」というクッパのダミ声でした。お城の入口横にいたキノピオの話によると、ピーチ姫や他のキノピオたちは、クッパによってみんな壁や絵の中に閉じ込められてしまったとのこと。また、クッパはお城を守る力である「パワースター」を使って、壁や絵の中に怪物の国を作ろうとしているのだとか。そしてパワースターは、絵の世界のさまざまな場所に隠されているらしい……。こうしてマリオはパワースターを取り返し、ピーチ姫やキノピオを助け出すため、再び冒険に出ることになるのでした。

僕は小学生のころに『マリオ64』をプレイしたのですが、当時、初めて触れる3Dで描かれた世界と、それまでのコントローラとは大きく異なる、アナログ操作が可能となったニンテンドウ64の「3Dスティック」でマリオを自由自在に動かせる革新性に大きな衝撃を受け、わくわくしながら夢中になってプレイしていました。スターを120個すべてゲットするほどやりこんだ、思い出深い作品です。

◆多彩なステージを彩る音楽たち


さて、そんな『マリオ64』の大きな魅力のひとつが音楽です。本作の音楽を手掛けたのは『マリオ』ミュージックの産みの親、任天堂の近藤浩治氏です。楽しさにあふれた、かつ格好いい音楽たちがマリオの冒険を盛り上げてくれますよ。それでは、『マリオ64』の中で印象的な音楽をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

●「タイトル」
ゲームを立ち上げるとまず、「イッツミー・マーリオ!」という掛け声とともにマリオの顔が現れ、ノリのいい音楽が流れてきます。この曲は有名な初代『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMのアレンジ曲です。この曲が流れるだけで「マリオだ!」と実感できますね。ちなみに、ここでは指カーソルを使ってマリオの顔をいじることができるのですが、鼻や耳などを引っ張ってぐりぐり回すなどして、イタズラするのも楽しかったですね(笑)。

●「ピーチのお城」
ピーチ姫のお城の中で流れる音楽です。お城をイメージした美しさや高貴さがありながら、人の気配が無くなってしまっている城内の寂しさや、あちこちの異世界へとつながっているちょっと奇妙な雰囲気が絶妙に混じり合っている、不思議な曲ですね。

●「メインテーマ」
コース1「ボムへいのせんじょう」、コース2「バッタンキングのとりで」などのステージで流れる音楽です。ブラスの軽快な響きが前面に出された楽しい旋律が、イキイキと動きまわるマリオの冒険を彩ってくれますよ。なお、この曲のメロディは本作のいろいろな曲で使用されていて、まさに本作の“メイン”となる1曲です。

●「さむいさむいマウンテン」
雪山のステージである、コース4「さむいさむいマウンテン」などで流れる音楽です。バックで鳴っているシャンシャンという綺麗な鈴の音が、白銀の雪山の雰囲気を美しく増幅させてくれますよ。よく聴くとわかりますが、「メインテーマ」のアレンジ曲になっています。

●「ウォーターランド」≪hideおすすめ!≫
海のステージであるコース3「かいぞくのいりえ」や、コース9「ウォーターランド」で流れる音楽です。たゆたう水の流れをイメージさせるような、美しく穏やかな旋律がとっても癒されますよ。個人的に『マリオ64』の中でも特に好きで、おすすめな1曲です!寝苦しい夜にこの曲を聴くと、気分が安らいで気持ちよく眠れます(笑)。

また、この曲には、コース中の場所によって楽器編成が変わるという仕掛けがあります。たとえば「かいぞくのいりえ」だと、コース開始直後の海岸では電子ピアノの音色だけなのですが、マリオが海の中にもぐると、音楽にストリングス風のパートが加わって、より幻想的な旋律に変化します。また、マリオが海中の洞窟に足を踏み入れると、ドラムのパートが入ってきて、冒険心をあおるような旋律になります。主人公の行動によって、音楽がリアルタイムに変化する。これがゲーム音楽のおもしろいところですね。

●「どうくつ」
コース6「やみにとけるどうくつ」ステージなどで流れる音楽です。この曲は初代『スーパーマリオブラザーズ』の地下ステージで流れる曲のアレンジですね。神秘的で謎めいた洞窟の雰囲気をうまく演出してくれています。

●「無限階段」
ピーチ城の最上階へ向かうための階段。ここを上る際にパワースターを規定数以上持っていないと、延々と終わりのない無限階段を上らされることになるのですが、その時に流れる曲です。僕は初めてこの無限階段を訪れた時、いくら上っても終わりが見えない!という奇妙奇天烈な仕掛けと、その恐怖感を演出するミステリアスな曲調が怖くて、背筋がぞっとしたのを覚えています。

●「スライダー」
各地にあるスライダーのステージで流れる音楽です。スピード感あふれるアップテンポな旋律が、スライダーをすべる際の楽しさとスリリングさを演出してくれますよ! 途中に入る口笛も軽快でいいですね。ちなみに、この曲も「メインテーマ」のアレンジ曲です。

●「パックンフラワーの子守歌」
コース2「バッタンキングのとりで」などにいる、眠るパックンフラワーにそーっと近づくと流れる音楽です。オルゴール風の音色で奏でられる、穏やかな旋律が癒されますよ。気持ちよさそうに夢を見ているパックンフラワーを、かわいらしく演出してくれています。まあ、目ざめてマリオに気がつくと襲ってくるのですが(笑)。

●「テレサのホラーハウス」
オバケ屋敷をテーマにした、コース5「テレサのホラーハウス」で流れる音楽です。屋敷の外ではびゅおおおお……という吹きすさぶ風の音がメインに鳴っているのですが、屋敷の中に入るとガムラン(インドネシアで奏でられている、銅鑼(どら)や鍵盤打楽器による民族音楽)のような鐘系のパーカッションの音が加わり、不気味なオバケ屋敷の雰囲気をいっそう増幅させています。

●「メリーゴーランド」
「テレサのホラーハウス」コース内のとある場所にあるメリーゴーランドで流れる、かわいらしい曲です。ホラーハウスなのにかわいらしい曲が鳴っている、そのミスマッチ感が恐ろしさをより引き立てているように思います。

◆変身マリオは、無敵曲のアレンジで気持ちよさを演出


●「無敵マリオ」
羽根の生えた帽子をかぶって空を飛ぶことができる、“羽根マリオ”にマリオが変身した時に流れる音楽です。初代『スーパーマリオブラザーズ』の、スターを取って無敵になった時の音楽のアレンジですね。この曲を聴きながら空を飛びまわると、爽快感バツグンでした!

あと、この曲は亀の甲羅に乗ってスケートのように高速ですべって移動する際にも流れるのですが、それも気持ち良かったですね。たまに、甲羅に乗りはじめた後すぐ壁にぶつかってしまい、一瞬で甲羅が消えて甲羅スケートタイムが終わっちゃう……ということもありましたが(笑)。

●「メタルマリオ」
マリオが、全身金属の姿になって無敵状態になる、“メタルマリオ”に変身した時に流れる音楽です。この曲も、『スーパーマリオブラザーズ』の無敵時音楽のアレンジですね。こちらはメタルというだけあって、金属的な音が響くロック風のアレンジになっていてかっこいいですよ。

◆クッパとの戦い、そしてエンディングへ


●「クッパへの道」
クッパのもとへ向かうコース「やみのせかいのクッパ」などで流れる音楽です。静かに緊張感をあおるような、かつ勇壮さのある旋律が盛り上げてくれます。

●「クッパのテーマ」
クッパとの戦いで流れる音楽です。ギターやドラム風の音が響き渡るロックサウンドが迫力満点で、クッパとの戦いを盛り上げてくれますよ。マリオはクッパのしっぽをつかんでジャイアントスイングして投げ飛ばすのですが、音楽も相まって、どことなくプロレスのような雰囲気も感じられます(笑)。

●「クッパ3号」
クッパとの最終決戦の際に流れる音楽です。深みのある荘厳なパイプオルガン調の音色が、クッパの邪悪さや、マリオとの因縁深い対決を見事に演出しており印象深いですね。

●「スタッフロール」≪hideおすすめ!≫
本作のスタッフロールで流れる音楽です。ゲームをクリアした達成感を演出してくれる、ゆったり穏やかな優しい旋律がとっても素敵ですよ。また、物語の終わりを実感させるせつなさも同時に帯びているのが非常に素晴らしく、じーん……と心に沁み入ってきます。個人的には、今までに出た『マリオ』シリーズの全ての音楽の中で五本指に入るほど特に好きな1曲です!皆さんにもぜひ、1度聴いてみていただきたいです。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

僕は今回、数年ぶりに『マリオ64』をプレイしてみて、この作品にはゲームという娯楽の本質的な楽しさが詰まっている、と改めて思い知らされました。“マリオを動かしているだけで楽しい”のです。軽やかで気持ちいいマリオのアクション、様々な仕掛けが散りばめられたステージの数々、そして“絵の中の世界”という不思議な冒険を演出する良質の楽曲群。それらが一体となって生み出される心地よさは、発売から20年が経とうとしている今も、まったく色あせていませんでした。『マリオ64』は、3Dアクションゲームの金字塔だと思います。


『マリオ64』は、現在でもWiiUおよびWiiのバーチャルコンソールで配信されています。また、WiiUバーチャルコンソールではDS版の『マリオ64DS』も配信されています。これまで未プレイだった方も、ご興味をお持ちの方はプレイしてみてくださいね。ちなみに、『マリオ64DS』はスターの総数が120個から150個に増えていたり、操作キャラクターが増えている(マリオのほかに、ルイージ、ヨッシー、ワリオを操作できます)などの新要素が入っていますので、64版をクリアした方でもまた違った感覚で楽しめると思いますよ。

◆音楽CD情報



『マリオ64』のサウンドトラックは、ゲームと同時期の1996年に発売されていましたが、現在は廃盤となっており、プレミアがついています。ちなみにこのサントラにはボーナストラックとして、近藤氏の演奏による「パックンフラワーの子守唄」のピアノバージョンが収録されていたのだそうです。何かの機会に再販されるか、ダウンロード配信されると嬉しいのですが……!


現在販売されているCDで『マリオ64』の音楽が聴けるものとしては、昨年発売された『30周年記念盤 スーパーマリオブラザーズ ミュージック』があります。このCDには1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』から2013年発売の『スーパーマリオ3Dワールド』まで、歴代の『マリオ』シリーズ17タイトルの音楽が勢ぞろいしています!(※ボーナストラックとして、『スーパーマリオメーカー』の楽曲も収録。) 『マリオ64』からは、「メインテーマ」、「スライダー」、「ウォーターランド」、「さむいさむいマウンテン」、「クッパへの道」の5曲が収録されています。『マリオ64』はもちろん、ほかの『マリオ』シリーズの名曲たちも堪能できますので、ご興味をお持ちの方は聴いてみてくださいね。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を執筆。現在は『逆転裁判6』をプレイ中です。なるほどくんと真宵ちゃんのコンビがいちばん好き!
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》

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