【インタビュー】『PSO2』2016年度後半は中上級者向けコンテンツにも注力!4年目の魅力・課題・野望を運営陣に訊いた

 

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【インタビュー】『PSO2』2016年度後半は中上級者向けコンテンツにも注力!4年目の魅力・課題・野望を運営陣に訊いた
【インタビュー】『PSO2』2016年度後半は中上級者向けコンテンツにも注力!4年目の魅力・課題・野望を運営陣に訊いた 全 53 枚 拡大写真

セガゲームスが現在配信中のオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2』は、2016年7月でサービス開始から4周年を迎えました。鳴り物入りでデビューしてからというもの、さまざまなアップデートやコラボレーション、さらにはメディア展開で多くの話題を振りまいています。

そして2016年に入ってからは、PS4版のサービスやテレビアニメを通して、さらなる盛り上がりを見せています。オンラインゲームが4年目にしてここまでの盛り上がりを見せるのは、極めて異例のことです。


左から濱崎氏、酒井氏、中村氏

開発スタッフ陣はこの盛り上がりをどのように作り、そしてどのように受け止めたのか。さらには今後どのような進化を遂げていくのかを、PSO2 シリーズプロデューサーの酒井智史氏、EPISODE4 チーフディレクター&PS4版ディレクターの中村圭介氏、EPISODE4 ディレクターの濱崎大輝氏に聞いてきました。

◆テレビアニメとPS4版で人口が一気に増加

――7月にはサービス開始から4周年を迎え、新しい展開が多くありました。まずはここ数ヶ月を振り返っていかがでしょうか。



酒井氏:2016年に入ってからEPISODE4の追加があって、アニメがあって、PS4版のサービスを始めて、緊急クエスト「解き放たれし鋼鉄の威信」も実装してと、確かにかなりたくさんのことがありましたね。僕たちとしてはPS4版が一番の盛り上がりとなるようにスケジュールを考えていまして、それが非常に上手くハマったと思います。ここへきて同時接続数の最大記録も生まれるという、4年目にしては異例の推移を見せており、ユーザーさんにポジティブなニュースを届けられているのは良かったことですね。

中村氏:ユーザー数が増えたことで「解き放たれし鋼鉄の威信」も非常に多くの方に遊んでもらい手応えを感じています。その一方で、混雑によりログインやブロック移動に支障が出るなどご迷惑をおかけした点は申し訳なく思います。それ以外にも難易度の面などいろいろなご意見をいただいており、今後どのように調整していくかが課題となります。


濱﨑氏:春頃からPS4版と「解き放たれし鋼鉄の威信」の影響で人が増え、7月に実装した『ファイナルファンタジーXIV』(以下、FFXIV)コラボなどを引き続き楽しんでもらっている状態です。PS4版のタイミングでいくつかの不具合が見られたので、そこはしっかりと改善し、アークスの皆さんがより満足できるよう今後も努力していきたいと思います。

中村氏:『FFXIV』以外にも、8月には小林幸子さんとのコラボレーションもありますからね。この勢いを維持していくことが現在の目標です。

――やはりPS4版をきっかけに、新規ユーザーの数も増えたのですね。

酒井氏:PS4版と、あとはアニメの放送も大きかったです。アニメ放送の時点で新規ユーザーさんが増え始めると同時に、2,3年の長期間休んでいたユーザーさんが復帰する現象も目立ちました。PS4版からの新規と復帰のユーザーさんがそれに加わる形となり、爆発的に人口が増えましたね。アニメ、PS4版、そしてEPISODE4はそれぞれを単独にするのではなく、連続で打ち出すことを僕たちも狙っていて、かなりスムーズにいきましたね。

――そんなPS4版ですが、サービスを始めてから現在までにどんな反響がありましたか?


酒井氏:『PSO2』は元々スクショ勢といいますか、みんなと共有して楽しむ方がとても多く、PS4版のシェア機能との相性はかなりいいみたいですね。また、PS4版に合わせたグラフィック改善が非常に好評でした。

中村氏:PS4版に合わせてPC版もグラフィック改善したことで、「特になにもしてないのにログインしたら自分のキャラクターがかわいくなっていた」と喜んでくれるユーザーさんもいらっしゃいました(笑)。フィールドも、例えば「砂漠」などは以前とはガラッと印象が変わって、別のゲームをやっているみたいだと言われます。4年続けてきたゲームの中で、新鮮な体験を提供できたと思います。

――では、同じ時期の大きなトピックであるアニメについてはいかがですか。

酒井氏:1年以上前から準備してきたものが形となり、しかもセガのアニメの中では成功と言っていい結果になったので満足しています。元々オンラインゲームを広めたいという目的のもと制作した作品で、その中でEPISODE4とのリンクも徐々に意識していきました。最終的にその両方を実現できましたし、実際にアニメからゲームに入ってくれた人も多いです。


――その後5月には「解き放たれし鋼鉄の威信」が実装されましたよね。こちらも新規ユーザーの多くがプレイしたのですか?

中村氏:そうですね。多くの新規ユーザーの方にプレイいただいたこともあり、「解き放たれし鋼鉄の威信」の実装直後は、毎週同時接続数の記録が更新されるという異例の事態でした。皆さんのプレイスキルが向上してきた中での実装だったので、楽しんでもらえる反面「もっとボスを強くしてほしい」という意見もいただきました。

酒井氏:本来はPS4版と同じタイミングで実装するのが定石だったと思うんです。しかし僕たちは、新規のユーザーさんがある程度育ったタイミングで挑戦してもらいたいと考えていました。慣れた方には簡単だったかもしれませんが、むしろ誰もが充分に楽しんでもらうための設計だったのです。

――難易度も新規ユーザーを意識したものだったと。

中村氏:やはり春に取り組んだEPISODE4やアニメ、PS4版のすべてがライト・ミドル層に向けた施策でしたからね。新しいユーザーさんにヒットするコンテンツとして当初から思い描いていました。


――一方で同じ緊急クエストとして6月に実装された「世界を堕とす輪廻の徒花」は比較的高難易度に感じました。こちらの立ち位置はエンドコンテンツなのでしょうか?

濱﨑氏:「世界を堕とす輪廻の徒花」は以前からプレイしている上級者を対象にしたクエストになっています。ですがエンドコンテンツほどコア向けにしてしまうと、楽しめない方も出てくるので、難しすぎない難易度に調整してあります。

――ただ単純にコンテンツを追加するのではなく、ユーザーがどのレベルにいるかを考えているのですね。その意味で言うと『FFXIV』とのコラボもユーザーの動向を見た上での導入だったのですか?


濱﨑氏:『FFXIV』のコラボに関しては、ただクエストを作っただけではコラボ感がでないと考えました。そこでパーティでのプレイを意識した作りにして、仲間との協力が重要になるよう調整しました。ただ、『FFXIV』の存在がきっかけとなり新たに入るユーザーさんもいるはずなので、コアな難易度は避け、コラボクエストは「解き放たれし鋼鉄の威信」より少し難しいくらいを目指しました。

中村氏:『FFXIV』コラボでは、エクストラハード帯も意見が分かれていて、簡単という人もいれば、難しいという人も多くいます。僕たちとしては、実装当初は野良で挑むと苦戦することもあるくらいの、ギリギリの難易度になっていると思っています。

――なるほど。ちなみに『FFXIV』とのコラボは発表時から大きな話題になりましたが、どのような経緯で実現することになったんでしょう。

酒井氏:元々数年前に私とディレクターの木村、そして『FFXIV』の吉田さん(吉田直樹氏)とで鼎談する機会がありまして、そのときからコラボの話は出ていたんです。当時から吉田さんも僕たちと同じくオンラインゲームを広めたい思いを持っていて、いつかは実現させたいと考えていました。その後、2年前のTGSのタイミングで再びじっくり話し合う機会があり、そこでようやく具体的な企画に変わっていったのです。ただ、そこから実装までに2年がかかってしまいました(笑)。


――以前から吉田さんと交流があったからこそのコラボだったのですね。

酒井氏:実は定期的に日本のオンラインゲーム開発者が集まって「オンラインゲーム開発者の傷の舐め合い会」が数年に1回のペースで開かれていて、吉田さんも出席してもらったことがあります。そういった場所で普段から交流ができていたのも大きかったかもしれません。本来『FF』ブランドとコラボするのはハードルがとても高いのですが、吉田さんにはとても良く対応してもらえました。僕らもそんな努力に応えるべく、しっかりとしたものを作ろうと努力してきました。

――『FFXIV』とのコラボとなると、ほかとは違ったプレッシャーがありそうです。

酒井氏:『FF』は特別な存在でもありますし、それにオンラインゲーム同士のコラボだと各方面から注目されます。注目されれば当然比較もされるので、恥ずかしくないものを提供することは強く意識しました。


――実際に『FFXIV』とのコラボコンテンツを実装してみて、手応えはいかがですか。

酒井氏:発表したのは3月の感謝祭でしたが、そのときから反響は非常に大きかったのです。「PSO2を始めてみようかな」という光の戦士の方々も結構いましたね(笑)。中にはライバル関係と思っている方がいるかもしれませんが、決して大きくないパイを奪い合ってユーザー同士がつぶしあう事には意味がありません。お互いがもう一方の作品に触れる機会ができたこと自体、大きなことだと考えています。

――データとしても、コラボを機にユーザーは増えているのですか?


酒井氏:実装のタイミングで一気に増えたわけではなく、発表したときから段階的に増えていった印象です。やはりオンラインゲームをプレイしてきた方なので、実装してからではすぐに楽しめない、事前にレベルを上げておかなければという気持ちになったのかもしれませんね。

中村氏:オンラインゲームをプレイしている方の中には、情報の集め方も上手い方が多いようで、「エクストラハードのオーディンと満足に戦うためには、今のうちに始めないと」という逆算を自然にしていたのかも知れません。だから新規ユーザーであっても、初心者とは少し違う特別な存在です。
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《ユマ》

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