【インタビュー】『バイオハザード7』の恐怖を支えた新技術が凄い ― 写真から3Dモデルを生成、各キャラには実在モデルが居た

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【インタビュー】『バイオハザード7』の恐怖を支えた新技術が凄い ― 写真から3Dモデルを生成、各キャラには実在モデルが居た
【インタビュー】『バイオハザード7』の恐怖を支えた新技術が凄い ― 写真から3Dモデルを生成、各キャラには実在モデルが居た 全 47 枚 拡大写真

ついにカプコンのサバイバルホラー「バイオハザード」シリーズ最新作『バイオハザード7 レジデントイービル』が発売されました。初代のリリースから20年以上が経過しており、偏に「バイオハザード」といっても様々な作品がありますが、『バイオハザード7』はどのような「バイオハザード」なのでしょうか。

本作のディレクターである中西晃史氏にそんな問いかけを投げると、初代『バイオハザード』を遊んだ時に自身が体験したこと、つまり“恐怖”にフォーカスした作品だと回答。初代の恐怖は後に「そこを歩く、という恐怖」というキャッチコピーを生み出し、本作には「すべては“恐怖”のために。新生したバイオハザード。」というキャッチコピーが付けられました。原点回帰でありつつも新しい――それが『バイオハザード7』が目指したものなのです。


さて、本作が発売されてまもないタイミングでインサイドが新たにお届けするのは、新生「バイオハザード」の恐怖を支えた最新技術に迫る記事です。その技術の名は「フォトグラメトリー」。人物や物を複数のカメラで撮影し、自動的に3Dモデル化するというもので、本作に登場するほぼ全てのキャラクターには実在するモデルが居り、服のシワから手の筋まで細かくスキャン。ゲーム内オブジェクトやステージ背景などにも現実世界のものが使用されているのです。既にプレイされている方の中には、そのリアルさに驚いた方もいらっしゃるかもしれません。


左から津田氏、神田氏

この技術に迫るため、我々は大阪にあるカプコン研究開発ビルを訪問。『バイオハザード7』の海外マーケティングプロデューサーの神田剛氏、アートディレクターの津田壽彦氏、そしてキャラクターアーティスト(以下キャラ担当)、3Dスキャンスタジオ担当スタッフ(以下、スキャンスタジオ担当)の方にもお話を伺ってきました。なお、インタビュー部分には一部ネタバレが含まれますのでご注意下さい。

企画・編集・取材:栗本浩大@koudai5511

◆チームに課せられたオーダーとは


――フォトグラメトリーや3Dスキャン技術にはどのように出会ったのでしょうか。

スキャンスタジオ担当:3Dスキャン自体は2012年リリースの『重鉄騎』から使い始めた手法で、その頃ゲーム業界では3Dスキャンの技術が流行りつつあったんです。技術を知った時から「この技術は必要だ」と思いまして、色々と調べ始めました。当時は「レーザースキャンで測量する」というのが多かったんですが、調べていくうちに“フォトグラメトリー”のことを知りました。

専門的な用語が並びますが、点群(ポイントクラウド)を生成した上にポリゴンメッシュ(非構造グリッド)を貼り、さらにテクスチャーまで自動的に作ってくれるという、まさに「これがほしかったんだよ!」とも言うべき凄くゲーム制作に都合のいい技術だと思いました。

ですので、何かのゲームで使うから導入したというわけではなく、そもそもは技術研究としてフォトグラメトリーの研究が始まりました。『バイオハザード7』で採用されることになったのはその後ですね。


3Dスキャンスタジオ

――ではなぜ『バイオハザード7』で採用されたのでしょうか。

津田:ナンバリングタイトルである『バイオハザード7』に求められているクオリティと時間を解決するためなのですが、そもそも『バイオハザード6』の開発を終えた段階で「今の作り方には限界がある」と感じていたんです。

そのため『バイオハザード7』の開発には“新技術の試作期間”が最初から設けられていまして、その期間を使ってフォトグラメトリーを試してみることにしたんです。そしたら「これだ!」となりましたね。そして現在の本格的な3Dスキャンスタジオを設置する事になりました。基礎研究があり、タイトルの要求があり、それが全て合致したんです。

――今までとは違う手法で開発を行うことになったわけですが、導入や移行はスムーズに行ったのでしょうか。

津田:そもそも『バイオハザード7』チームには「何か新しいことをやらなくては」「今までと一緒でいいわけないよね」という課題があったので、「そんなことやって意味あるの?」みたいなことはなかったです。それよりもゼロからチャレンジするということにワクワクしました。

スキャンスタジオ担当:全く新しい分野というよりも、新しい道具が一つ増えたという認識ですね。


フォトグラメトリーで作られた『アンブレラコア』のキャラクター

――フォトグラメトリーが実際の作品で採用されたのは『バイオハザード アンブレラコア』からだとお伺いしましたが、その時はどの様に使用されたのでしょうか。

スキャンスタジオ担当:「アンブレラコア」ではプレイヤーキャラクターの装備類に使用しました。装備がかなり細かいんですよ。

――発売時期的には『バイオハザード7』の方が後発となりますが、『バイオハザード アンブレラコア』から進化している部分などはありますか?

スキャンスタジオ担当:実は開発を始めたのは『バイオハザード7』の方が早く、フォトグラメトリーを使い始めたのは同時期だったので、『アンブレラコア』のノウハウが――というよりもお互いの開発で得たノウハウをリアルタイムに共有していました。課題もだいたい同時期に同じようなものが出てきました。

キャラ担当:ですので常に実験という感じでしたね。例えば「死体はどうやって作ろう」となったことがありまして、その時は「スキャンで人間を作っているから、死体もスキャンの方が良いだろう」「傷を特殊メイクアーティストに作って貰ってからスキャンしたらどうなるんですかね」というやり取りをしました。

そうした試行錯誤をしていると、だんだんスキャンには向くもの、向かないものが分かってきまして、「これはPCで作った方が早い」といった判断ができるようになっていきました。


スタジオの入り口


謎のマネキンを発見。カメラの精度をチェックするため、わざわざ新聞紙が巻かれている。

カメラの位置が重要らしく、至る所に注意書きが。だが隣がモーションキャプチャースタジオであるため、振動でずれてしまうこともしばしば。
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《栗本 浩大》

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