本作はゲームの中でプレイヤーが遊び方を考える。というロールプレイ部分を核に発展してきたタイトルで、20年経った今でもプレイヤーを魅了する一番の理由は、その圧倒的な自由度の高さから無限に生まれる遊びの幅なのかもしれません。
筆者が当時プレイしていた頃、自由に文字を書き込めるゲーム内アイテム「book」に小説を書いている人や、引っ越し先のお隣さんが自宅をバーに改造してお客さんを招いていたりと色んなプレイヤーがいました。
また、現在執筆している時点でも、ゲーム内の本に書かれた小説をシティ・ホールに展示し投票をするというユーザーイベント、「文学コンテスト」の丁度真っ只中でした。その他にも毎月定期的にフリーマーケットやオークション等が開催されているようです。

ユーザーが生み出したゲーム内球技「バッグボール」の公式スタジアム。

ミノック南のジプシーキャンプ。通称「人狼村」
ゲーム内で流行ったオリジナルスポーツ「バッグボール」や、ユーザーが定期的に開催していた「汝は人狼なりや?」等はユーザーコミュニティの域を出て公式サポートを受けるようになった経緯もあります。
現在でもユーザー主体のイベントは定期的に開催されているようなので、興味のある方はカレンダーや、国内コミュニティサイトをこまめにチェックしておきましょう。
■32年の歴史を誇る広大なオープンワールド
冒頭でも述べた通り、本作はコンピュータRPG『Ultima』最新作としてリリースされた作品。シリーズは1985年の『Ultima IV』以来一部を除いたナンバリング作品全ての舞台がブリタニア大陸となっています。
オンラインRPGでオープンワールドというと、やや語弊があるかもしれませんが、とにかく広大なマップも本作ならではの魅力。スタンドアロンシリーズから共通の世界が舞台という事もあり、ただ広いだけでなくマップも作り込まれていて、のんびりと世界中を観光しながら旅をする。というのが実は個人的に一番オススメしたい遊び方。とにかくマップのあちらこちらに様々なオブジェクトや建物があるのですが、今回はその一部を少しだけご紹介。

「ロード・ブリティッシュ城」
ブリタニアの王、即ちシリーズの生みの親「リチャード・ギャリオット」のお城。
自由に城の中を行き来可能で、イベントの時などに使われることもあります。

「Ultima」シリーズのコンパニオンとして登場するイオロの妻グエノが眠る墓。
殺伐とした風景が多い本作の中で綺麗な風景が見られる数少ない場所の一つ。
彼女が作曲した「Stones」もここに訪れると聴く事が出来ます。

首都ブリテインの南にある巨大な迷路。
悪魔族などなかなかの強敵が潜む場所でもあります。

迷路の隠し通路の奥には怪しげな地下室が。

空いている土地に自分の家を建てることが可能で、非常に凝ったハウジングを楽しむプレイヤーも多いです。
ユーザー主催のハウジングコンテストなどが開かれることがあります。

「Enhanced」クライアントだとうまく表示されていませんが、ブリテイン北部の山にある露天風呂。
長湯は毒。ずっと入っていると死にます。

ムーングロウの街外れにある動物園。
プレイヤーによる寄付額によって各シャード毎の特色があるようです。

とある関所で見つけた旅帳。リア充爆発しろ!な内容が書かれていました。
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独特のシステムや成熟されたコミュニティを強みに、ネットゲーム黎明期から未だに根強い人気を誇る『UltimaOnline』。
現在のメインストリームとなっているタイトルに比べると、見た目もゲームプレイも非常に地味ではありますが、「ファンタジー世界の住人として生きる」という大人数での「ごっこ遊び」を追求したコンセプトは、他のタイトルでは味わえない本作ならではの魅力です。
昔プレイしていた!という方も、初めて遊ぶという方も、サービス20周年の節目に一度体験してみてはいかがでしょうか。