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高田氏:「お味はいかがですか?」
津田氏:「美味しいです! あ、美味しいですじゃ普通ですね(笑)。塩加減も絶妙で、素材の風味も生きてますね。盛りつけと味が非常にマッチしている感じです」
森田氏:「ソースも美味しいですね」
高田氏:「サーモンのムニエルなので、マスタード系が合うかなと思って味付けしました」
森田氏:「見た目の再現度も、より増してますね」
津田氏:「この時期、貴重なポテトをいただけるなんて!」
亀岡氏:「これ、青汁じゃなかった(笑)。甘くて飲みやすい。いいな、これ」
津田氏:「アイスクリームかな? 野菜以外にも色々と入ってますね」
森田氏:「ゲームのグラフィックを見て、味付けなどを想像されたんですか?」
高田氏:「そうですね。見た目を似せるようにしながら、同時に味付けもイメージしました」
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津田氏:「メロンとバナナの風味なのかな。口当たりもよくて、後味も余韻がありますね」
亀岡氏:「特に再現が難しかったのは、どの料理ですか?」
高田氏:「キッシュですね。下にニンジンを入れ、ほうれん草やサーモンを重ねているんですが、その段々を出す感じが難しかったです。先にほうれん草までの段をオーブンで固めて、その後にサーモンやエビを敷き詰めました」
森田氏:「グラフィックだとひとつひとつの具材が大きかったんですが、そこも再現されているんですね」
高田氏:「はい、そこもこだわらせていただきました」
亀岡氏:「ボリュームもありますね」
高田氏:「メインくらいありますよね(笑)」
亀岡氏:「このキッシュ、作るのにどれくらいかかるんですか?」
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高田氏:「パイ生地はあるので、それを焼くのに大体一時間くらいです。なので、通常メニューに加えるのはちょっと大変ですね(笑)。パーティなどであらかじめ予約していただく形ならば出せますが、日常的には難しそうです」
森田氏:「じゃあ、文字通り特別な一品なんですね」
高田氏:「今回の3品の中だと、ムニエルがいわゆるメインに当たりますが、僕の中ではキッシュへの思い入れが一番強いですね(笑)」
亀岡氏:「それだけ手間がかかっているんですね。本当に美味しいです!」
森田氏:「ちなみに、何回くらい試作されたんですか?」
高田氏:「最初に大体イメージして、あとは調整なども加えましたが、ほぼ1回で出来ました」
亀岡氏:「ちなみに、今回みたいに素材を持ち込んで“この料理を再現してください”というお願いは、よくあるんですか?」
高田氏:「ないですね。なので、どこまでやればいいんだろうという戸惑いもありましたが(笑)、出来るだけ頑張りました」
津田氏:「キッシュは、色んな食材が口の中で混ざり合って、美味しさのハーモニーを感じます」
亀岡氏:「この再現料理、実にいいですね(笑)。ぜひ、2回目、3回目もお願いします」
山崎:「じゃあ、また料理を作ったら、再び召喚されていただけますか?」
亀岡氏:「もちろんですよ(笑)」
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まだ食事は続いていましたが、それが終われば亀岡氏らは、再び仕事に戻ってしまうのでしょう。召喚に応じてもらえたわずかな時間をいただき、『エグリア』に関する話などを伺ってみることに。折角なので、料理関連の話を中心に訊ねてみました。
山崎:「『エグリア』が配信を開始してある程度経ちましたが、ゲーム内の料理関係での反響などはありましたか?」
森田氏:「Twitterなどでよく、「この料理美味しそう」とか「飯テロ」なんて云われましたね(笑)。実際に食べてみたい、といった声も多かったです」
山崎:「今回は3品ですが、ゲーム内の料理を実際に食べてみて、いかがでしょうか? イメージとは違ってましたか?」
森田氏:「絵で想像していた以上の美味しさですね。驚いてます。ゲームの中ではメロンが使われているんですが、このスムージーにも入っていて、ゲームと現実が混ざっているみたいな感覚です。ゲーム内のものが実際に出てくるというのは、すごく嬉しいですね。すごく再現されています。
実は「新緑スムージー」って、最初はスムージーというオーダーではなくて、別の飲み物だったんです。描いている中で設定も変わって今の「新緑スムージー」に落ち着いたんですが、そのためスカッシュやモヒートのような雰囲気も残っているんです」
山崎:「では、「新緑スムージー」にレモンが使われているのは、そのスカッシュの名残なんでしょうか?」
森田氏:「それもありますね。あと、アイコンを描く上で、絵のバランスとして添えたという意味もあります。アクセントになるので」
山崎:「設定として添えられたものが、こうやって実際に「美味しさ」に繋がっているんですね」
森田氏:「実際にある料理などを参考にしたとはいえビックリしましたし、なんだか感慨深いです」
亀岡氏:「スムージーも美味しいです」
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森田氏:「さきほど頂いたムニエルやキッシュも、本当に良かったです。ゲーム内の「星くずムニエル」は、全体のバランスを見て緑を足そうと思って、緑色のソースにしていたんですが、最終的には今の色に変更しました。そして、再現されたムニエルではマスタードソースが使われていて、すごくマッチしていました。次の機会があったら、このマスタードソースをゲームに入れたいですね(笑)」
山崎:「フィードバックですね!(笑)」
森田氏:「料理アイコンって、味が想像できるものじゃないとなかなか難しいので、今回はいい経験を味わわせていただきました」
山崎:「美味しそうな絵を描いて、それを元にした料理が生まれ、それを食べたら美味しくて、次の作品に活かせる発想にも繋がる。いいサイクルですね」
森田氏:「はい、そう思います」
山崎:「ちなみに『エグリア』を開発する際、料理を扱う他のゲームを意識されたことはありますか?」
亀岡氏:「ウチと同じく市吉祥寺にあるインディーズゼロという会社が、料理を凝ってすごく描いた『グランマルシェの迷宮』というゲームがあるんです。なので、「あそこには絶対に負けるな!」「あそこよりも料理を美味しく描け!」と発破をかけていました(笑)」
山崎:「いいライバル関係なんですね。では、今回の記事がインディーズゼロさんの目に止まったら、今度は向こうが闘志を燃やすかもしれませんね」
亀岡氏:「向こうに火が点いて何かやり出したら、それを見てこっちもまた「負けてられない」みたいな感じになりそうです(笑)」
山崎:「それもまた、いいサイクルですね(笑)。ところで『エグリア』と言えば、英語版のリリースも予定されていますが、料理名も英語になるんですか?」
亀岡氏:「そうですね」
山崎:「英語に翻訳するのに大変そうな料理とか、ありますか?」
森田氏:「“やみどんぶり”がどうなるか、気になってます」
津田氏:「海外なんかでは、日本食の丼物は「DON」みたいに表現されているので、そんな感じになるかもしれません」
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亀岡氏「完・食!」
山崎:「英語版で“やみどんぶり”がどんな名前になっているのか、それも楽しみのひとつになりそうです。ちなみに、皆さんにとって料理とは何でしょうか?」
亀岡氏:「こういう仕事やってると、唯一の楽しみが食事になるんですよね。物欲とかは結構なくなってきたので、食べることくらいしか楽しみがないのかも(笑)」
山崎:「忙しいと、そうなりがちですよね」
亀岡氏:「だから、新しいお店を開拓したときに外してしまうと、すごく後悔するんですよ。「あー、こんなのでお腹を満たしちゃったなぁー」って。だから、その日に食べたいものを食べるように心がけていますし、美味しい料理を糧にゲームを作っています(笑)」
津田氏:「この歳になって改めて実感しているのは、料理ひとつひとつにそれぞれの美味しさがあって、様々な至福を覚えるひとときなんだなと思います。色んなものが食べられる時代で本当に良かったなぁと(笑)」
亀岡氏:「でもこの人、食べる時みんな混ぜちゃうんですけどね(笑)。さっきも「ひとつひとつが」とか「ハーモニーで」とか言ってますが(笑)」
津田氏:「これ、混ぜたらどうなるんだろうなーとか思って、つい(笑)」
森田氏:「私にとっての料理とは、他の人とも被るんですが、やっぱり仕事をしていると楽しみのひとつになりますね。あと、私は子供がおり、より美味しいものを作ってあげたいという気持ちもあるんですよ」
山崎:「なるほど、料理をいただく側だけでなく、提供する側でもあるんですね」
森田氏:「そうですね。なので、料理を作る側に回った時は、一日の生活の中でも結構緊張するひとときになるのかもしれません。『エグリア』では、美味しいと思ってもらえるようなアイコンを作り、現実の料理では実際に美味しいものを作る。どこか通じるものがあるのかもしれませんね」
山崎:「あと最後にひとつだけ、よろしいでしょうか。『エグリア』という美味しい料理を今多くのユーザーが味わっているわけですが、今後この『エグリア』に、どのようなソースやスパイスがかかるのでしょうか?」
亀岡氏:「そうですね……ユーザーの方々が気付かないようなうちに、操作などの不満点が直っていって、奥深さもいつの間にか増えていき、“新しい要素”というソースが加わることで、今までよりも何倍も美味しい『エグリア』になれればなぁ、と思っています」
山崎:「ぜひ、更に美味しい『エグリア』を、よろしくお願いします!」
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◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
こうして、精霊を呼び出す試みは予想外の形で成功を収めました。この話を聞けば、編集部の末永も考えを改めるでしょう。でも、「精霊は喚べてないじゃないですか」なんて言われるかもしれません。もしそう言われたら、僕はこの画面を見せようと思うのです。
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北海道でソフトクリームを食べた時に意識した「クリスタアイス」を使ったら、ナルセスがやってきたこと。この精霊との出会いは、僕にとっては初めてのこと。しかも、あらかじめ居たパスタパとのトークも発生というオマケ付きで。
亀岡氏のことだけでなく、この巡り合わせも、「黄金キッシュ」がもたらしてくれたのでしょう。そう信じる心が、精霊を喚ぶのだと思います。だから僕は、今日も『エグリア』で精霊を喚ぶ。そして──いつか、きっと!
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※今回の精霊召喚に、再現性はありません。
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