「ひなビタ♪」は今後どうなっていくんですか?―「ひなビタ♪おじさん」ことTOMOSUKE氏に色々とインタビューしてきました

「あのねあのねあのねあのねっ!」「どーしためうか?」「TOMOSUKEさんにインタビューをしたんだよっ!」

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「ひなビタ♪」は今後どうなっていくんですか?―「ひなビタ♪おじさん」ことTOMOSUKE氏に色々とインタビューしてきました
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架空の都市・倉野川市を舞台にした「ひなビタ♪」は、ひなびた商店街に生まれた、山形まり花、和泉一舞、春日咲子、芽兎めう、霜月凛(※)の5人が「日向美ビタースイーツ♪」というバンドを結成し、様々な困難を音楽の力で乗り越えながら街興しをしていく様子を描いたコンテンツです。

(※編集注:以後、まり花・イブ・咲子・めう・凛とそれぞれ書いていきます。)

音楽・物語・キャラクター、そして現実さえもリンクさせた「ひなビタ♪」。様々な手法を織り交ぜ、その世界を築いてきた本作は、実に6年もの間、ファンに愛されてきました。


そんな「ひなビタ♪」を支えてきたのは、プロジェクトの生みの親として、そのすべてに携わってきた「ひなビタ♪おじさん」こと、株式会社コナミデジタルエンタテインメント所属の作曲家・TOMOSUKE氏です。

今回、インサイドではTOMOSUKE氏にインタビューを打診。これをご快諾いただきました。まだハマって間もない(筆者の経緯はこちらの記事をご確認ください)筆者が、あの「ひなビタ♪おじさん」にインタビューしてもいいのだろうか…と恐縮しながらも、いろいろな質問をぶつけさせていただきました。

例によって、とってもとっても長い記事になってしまいましたが、ぜひ、最後まで読んでいただけますと幸いです。


◆「ひなビタ♪」とTOMOSUKE氏、そして鳥取県倉吉市との関係


――改めてになりますが、TOMOSUKEさんが「ひなビタ♪」にどのように関わられているかを教えてください。

TOMOSUKE氏:今はストーリー、音楽面、倉吉市との施策等々、「ひなビタ♪」に関わるほぼ全てのものを見ています。プロデューサー兼ディレクターの「ひなビタ♪おじさん」です。

――「今は」とおっしゃっていましたが、最初から全てを見ていたわけではないんですね。

TOMOSUKE氏:実は、シーズン1では音楽面を中心に見ることにしていて、プロットは書いたものの、Facebookのストーリーに関しては外注していたんです。でも、そこから1ヶ月くらいやってみて、やはり―実在する普通の女の子たちのような―リアル感を出したいなと思ったんですね。そこからはKONAMI側で改めてストーリーを作っていくことにして、私自身も全て見るようになりました。中々の「修羅の道」でしたが…。

――お察しいたします…。さて、「ひなビタ♪」立ち上げから6年ほど経ちますが、プロジェクト始動の経緯はどのようなものだったのでしょうか。改めてお聞かせください。

TOMOSUKE氏:最初は、音楽配信事業における一つの企画でした。CDが中々売れなくなってきて、これからはDL配信が主流になる!という頃に、「どうやったら配信でヒット作を出せるか」ということを考えたことがあったんです。

私は「ひなビタ♪」の前に「ゼクトバッハ叙事詩(※)」という物語と音楽を融合させた作品を展開していて、このときに「曲に物語をつけると、曲の価値が上がる」というのを身をもって実感したんですね。

この体験を元に、じゃあ今度は「普段は完成したものしか聞くことのない“曲”というものが、どのように生まれるのか」を、曲作りの衝動になる部分から完成まで、リアルタイムで表現するのはどうかと思い付き、「ひなビタ♪」の原案みたいなものができました。

最初は、「学園モノ」とか「ファンタジー」とか案もいろいろあったんですよ。でも、前の「ゼクトバッハ叙事詩」がハイファンタジーだったので、次はとことんリアルにしたいなと。そこで出てきたのが「女子高校生のバンド物語」だったのですが、差別化のために「地方都市」「お店の子どもたち」という要素を入れて、今の「ひなビタ♪」ができ上がりました。

(※編集注:「ゼクトバッハ叙事詩」は、TOMOSUKE氏がZektbach名義で手がけていたプロジェクト。音楽を中心に、世界観・物語・キャラクター等様々な要素が絡み合い、一つの大きな世界を作り上げている。)

――「女子高生バンドもの」というと、ゆるふわなイメージもありますが、「ひなビタ♪」はシリアスな展開もあります。このあたりを盛り込んだのには理由があるのでしょうか。

TOMOSUKE氏:根が暗いので(笑)。キラキラな世界観がどうしても苦手なんです。「ひなビタ♪」は基本的にバンドの物語ではあるんですけど、シリアスな部分には様々な「裏テーマ」を盛り込み、色々なしがらみを自力で解決していく姿も描きたかったんです。

――「とことんリアルに」という話もありましたが、「なでしこ爆音祭」での一件や「咲子の家庭事情」といった負の部分をしっかり描くことで、より現実味が増している気がします。現実では全てがうまく行くことなんてそうそうないと思うので…。

TOMOSUKE氏:そうですね。そういった部分を描写することで、曲に深みも出てくると思います。

――最初は「シーズン3まで」と、以前「公式ガイドブック」のインタビューでもおっしゃっていましたが、その後続けたのにはどのような理由があったのでしょうか。

TOMOSUKE氏:シーズン4以降の構想がまったくなかったわけではありませんが、シーズン3のラストで「チョコレートスマイル」が出た時に、次を作って欲しいという要望がすごくあったんですね。それに加えて、より倉吉市との連携を強めていき、皆様の頭の中にある倉野川市のイメージと実際の倉吉市を重ねられるようにすることで、シーズン3までの出来事をよりリアルに感じとってもらいたかったというのもあります。

――ジーズン6で、いわゆる「サザエさん時空」をやめ、時間を進めたのにはどのような理由があるのでしょうか。

TOMOSUKE氏:元々は全部リアルタイムで進めていくつもりだったんです。でも、中学生・高校生って季節ごとのイベント多いじゃないですか。それを1年で全部やりきるのは難しいので、最初は年を取らない形にしてたんです。

でも、やっぱり、高1・高2・高3でそれぞれの考え方は違ってきますし、心境も変わってきます。卒業もさせたかったし、卒業しても「ひなビタ♪」は終わりません。それらを全て表現したかったので、元々の形に戻して時間を進めました。

――シーズン4以降を続けていく上で、シーズン3までとコンテンツや心境の面で変化はありましたか?

TOMOSUKE氏:欲が出てきますよね、どうしても(笑)。もともと私が担当しているものはカウンターカルチャー的な側面があって、メジャーでヒットを飛ばす!というよりかは、好きな人が楽しむコンテンツなんですよね。「ひなビタ♪」もそのつもりだったのですが、予想以上にファンの方々がついてくれて。周囲の人達も含めて「もっと大きくできないか」と話が出るようになりました。

とはいえ、売上を重視するのも私としてはあまり好ましくなかったので、それなら話題性をどんどん大きくしていこうと。倉吉市との提携もその一つですね。本当はこの時点(シーズン3終了時)でライブをしたかったんです。でも、これは中々うまく行かず、結果としては2018年にようやく初ライブという形になりました。

心境でいうと、シーズン4からは「みんなで作っていこう」という気持ちが強くなっていますね。私の勝手な思い込みかもしれませんが、「ひなビタ♪」というコンテンツが、みんなの「一つの居場所」になっていると思っています。その居場所に、いろいろな人がいろいろなものを持ち込んで、「ひなビタ♪」の世界を作っていく。シーズン4以降はそういう心境で作っています。


――倉吉市というファンの集まる場ができたことで、自分たちも「ひなビタ♪」を盛り上げているという感覚が強くなっていると思います。その倉吉市との提携で、きっかけになった出来事はなんだったのでしょうか。

TOMOSUKE氏:シーズン1でFacebookに載せた写真(こちらのページ最下部、咲子の投稿)を見たファンの一人が、「これは倉吉市なんじゃないか」といち早く特定して現地に足を運んでいたんですね。その方のブログを見て、だんだん他のファンの方も行くようになっていたのですが、その中の一人が「ダイアナ(※)」さんのマスターに、「シャノワール(咲子の実家・喫茶店)のモデルですよね?」と聞いたそうなんです。

実際にモデルにしたわけではないのですが、それを聞いたマスターが、市役所に問い合わせしたんです。「ひなビタ♪」ってなんですかと。そしたら私のところに市役所から直接電話がかかってきて。次の日、すぐに倉吉市に行って、話をまとめてきました(笑)。一緒にやりましょう!と。

(※編集注:倉吉市にある喫茶店「ティーラウンジ ダイアナ」。作中で度々登場する「ちくわパフェ」も提供している。)

――スピード感がすごいですね(笑)。ちなみに、倉吉市をモデルにしたのは、TOMOSUKEさんが好きだったから、でしょうか。

TOMOSUKE氏:そうですね。古い街並みが好きなので、中学生の頃は「青春18きっぷ」で旅していたのですが、京都みたいに観光地化されているのはちょっと違くて。古くて、人も少なくて、埋もれているけど、ポテンシャルが高い。そんな街が好きなんです。倉吉市をモデルに選んだのはそういった条件に当てはまりつつ、あまりメジャーな取り上げ方をされていなかったからになります。

――TOMOSUKEさん自身もリアルの「地方創生」というものに関わることになったのですが、実際に携わってみてどう感じていますか?

TOMOSUKE氏:「盛り上がってる」という実感はありますね。ちょっと前までは、「ひなビタ♪」が好きというのはもちろん、イベント等でキャストが山陰地方に来るという珍しさから足を運んでいる人もいました。ですが、最近は「倉吉市が好きだから」「倉吉市に仲のいい友人がいるから」という理由で行かれる方も増えてきましたね。地方創生において大事なのは、「人と人をつなげる」ということだと思うので、嬉しいです。

実は、シーズン1から「倉吉市に行かせたい」という気持ちは結構ありました。「まり花たちが現実に存在しているんじゃないか」という感覚が、「ひなビタ♪」というコンテンツのキモになるので、倉吉市の中で倉野川市の空気を感じとって、まり花たちがここにいるんだと思ってほしいんです。

これは「聖地巡礼」とはまた違う話です。「聖地巡礼」の場合、場所が変わってもパネルやグッズがあれば成立します。が、「ひなビタ♪」は、倉吉市が持つ問題―例えば、場所や流通、経済―すらもモデルに倉野川市が作られていて、それらがキャラにも影響を与えています。なので、倉吉市じゃないとダメなんです。

最初はキャラが好きでFacebookを読み始めても、最終的には倉野川市=倉吉市が好きになる、そういう想いを込めて作っています。そのあたりはちょっと「聖地巡礼」とは違うかなと思います。

――「倉吉市を好きになってもらう」というのは、作中でまり花たちが目指しているものとリンクしますね。

TOMOSUKE氏:そうなんです。彼女たちの「故郷が好き」という気持ちをずっと読んでいると、ファンの方々も同じような気持ちになってくると思うんです。

そして、まり花たち「日向美ビタースイーツ♪」の5人は、「土地の性質」を擬人化した側面もあります。彼女たちを好きになるというのは、土地そのものを好きになるのと同義だったりするのかなとも思っています。「土地萌え」みたいな(笑)。

――そういうお話を聞くと、俄然倉吉市に行きたくなってきますね…。

TOMOSUKE氏:ぜひ、行ってください(笑)。倉吉市は春が良いですよ!

――今年は行こうと思います!

◆「ひなビタ♪」の楽曲と楽しみ方について


――では、「ひなビタ♪」においてメインコンテンツになっている楽曲についてもお伺いできればと思います。楽曲制作にあたって、軸にしているものはありますか?

TOMOSUKE氏:まり花たちは「音楽ジャンルの擬人化」という側面もあり、自分のジャンル―例えば、まり花なら渋谷系ポップス―に対する「音楽オタク」でもあります。彼女たちが好んでいるジャンルのあるある的な感覚や一人一人の価値観というのは、絶対に崩さないようにしています。これは、私が作るときはもちろん、他の作家さんが作る時も注意してもらっています。

ただ、ガチガチに固めたオーダー表は作らず、ある程度のキーワードを提示するくらいに留めて、とりあえずデモを作っていただきます。そこからディレクションしていくという感じですね。

大体、デモで「ちょっと違うな」というところが出るんですけど、これを逆に利用して、その「ちょっと違うな」という部分をFacebookで見せるんです。例えば、イブがなにかに影響されていつもと違う感じになっちゃったけど、良いと思う!みたいな。これはリアルタイム展開の利点ですね。


――それはリアルタイムならではの演出で非常に面白いですね。演奏のレベルに関しては、まり花たちの技量に合わせて作っているんですか?

TOMOSUKE氏:楽曲に関しては、音楽的完成度を優先しています。イブとめう以外は、親も音楽に携わっているので、遺伝的にも高いスキルを持っているはずです。ただ、悩みはしましたね。女子高生バンドというからには、相応の作曲・演奏スキルにしたほうがいいのではと。でも、制作者としてそこにこだわっても、やはりファンが聴きたいのは「良い音楽」だと思うんです。

――メインコンテンツとして「楽曲」がありますが、例えば今から「ひなビタ♪」に触れるとして、どこからはいるのがおすすめですか?自分はLive2Dのセミナーから入りましたが、最初はどれから見ればいいか悩みました。

TOMOSUKE氏:今から新規で入ってくれるのはとても嬉しいですし、ありがたいことにファンの方々もいろいろと広めてくれているのですが、やはり見るべきものが多いのがネックなんですよね。

私的にはまず、公式サイトやCDで曲を聴いてもらって、そこからラジオ「ひなビタ♪放送局」の視聴をおすすめします。「ひなビタ♪放送局」は、一曲一曲についてのラジオであり、必ずデモを聴かせてくれるんですね。そのデモを聴いてから、CDで完成版を聴くという楽しみ方をしてもらえれば、キャラ性や人間関係というものも自ずと見えてきます。そうしたら、次はFacebookや公式サイトで物語を追ってもらうのがいいと思います。


――ちなみに、冒頭で「ひなビタ♪おじさん」とありましたが、ファンの方々からそう呼ばれていることについて、どのように思っていますか?そういえば、昨年末のライブでは春日咲子役・山口愛さんから「お父さん」と呼ばれることもありました。

TOMOSUKE氏:ありがたいことですね。私としても、常にファンの方々と同じ目線で見ていきたいですし、自分で作っておいてなんですけど、「ひなビタ♪」がすごい好きなんですよ。なので、そういう「ファン代表!」のような称号をいただけるのは、すごく嬉しいですね。

――作っている人が一番のファンというのは、コンテンツとして理想的だと思います。

TOMOSUKE氏:理想的なんですけど、そこが新規ファンの入りづらい部分かなとも思うので、少し自重したほうがいいかもしれないんですけど(笑)。

ちなみに私だけではなく、キャストのみなさんも「ひなビタ♪」に対する愛情が半端ないんですよね。

◆ライブコンテンツについて


――キャストさんたちの愛の重さは、昨年末のライブ「Sweet Smile Pajamas Party(以下、SSPP)」でも感じました。ということで、ライブについてもいろいろお聞きできればと思います。まず、昨年初めて、「ひなビタ♪」としての大きなライブが行われましたが、いままでライブをしてこなかったのには理由があるのでしょうか。

TOMOSUKE氏:実現までには様々な問題がありましたね。まず、「ひなビタ♪」のキャスティングって、ライブを前提としたものではないんです。そんな中でも、「ライブをしませんか」という話自体はたくさんありました。しかし、「ひなビタ♪」は絆の物語です。5人全員じゃないと「ひなビタ♪」のライブとして成立しないという認識が、キャストさんにも、事務所さんにも、そして私自身にもあったので、お断りしていました。

もうひとつ、「ひなビタ♪」はキャストさんで売っていくコンテンツではなく、まり花たち作中のキャラクターがあくまでもメインになります。彼女たちの物語がFacebookで展開されている中、キャストライブでどうキャラクター感を出すかが非常に難しい問題でした。ファンの方々は、まり花たちの葛藤や想いを頭に描きながら、ライブにいらっしゃると思うのですが、その時にリアルなキャストたちが舞台に立っているのを観て、どうなるのかがわからなくて。色んな意味で難しかったんです。

――キャラとキャストの乖離は、確かに慎重にならざるを得ないと思います。また、これは個人的な考えですが、現実感のあるコンテンツを展開する中で、地方都市の女子高生バンドが東京でライブをするという理由付けが難しかったのかもしれないと思っていました。

TOMOSUKE氏:そうですね。それもあって、倉吉市でライブをやるという話も出たのですが、音響設備や会場のキャパシティ、キャストさんの負担も考えると、現実的ではなかったんです。

それと、「東京で大々的にライブをやる」というのは、「日向美ビタースイーツ♪」としての方向性とはまた違ってくると思うんですよね。あくまで、彼女たちは故郷を活気づけるためにやっているので。面倒なコンテンツですよ(笑)。

――そんな中、2018年3月にARライブ「ひなビタ♪ライブ2018 SWEET SMILE PARADE 待っててね、東京さんっ!(以下、SSP)」が行われました。

TOMOSUKE氏:あのライブは、「ひなビタ♪」としては正解の一つだと思いますし、自分のやりたかったことができたライブでもありました。

――Live2Dを使用するのは最初から決めていたのでしょうか。

TOMOSUKE氏:ここは、結構悩みましたね。3Dモデルという手もありましたが、どうしても表情が人形っぽい感じになってしまって。イブの夢でもあった東京でのライブなので、表情豊かに魅せたかったんです。また、CUTEGさん(※)の独特な塗りをそのまま表現できるという理由もあり、Live2Dを選びました。

(※編集注:「ひなビタ♪」キャラクターデザイン・CUTEG(カム)氏)

――「alive 2018」のセッションで制作過程を拝見しましたが、とんでもなかったですね…。

TOMOSUKE氏:とんでもないですね(笑)。すごくありがたい話なのですが、Live2Dアニメの制作を担当された「Live2D Creative Studio」の方々が、「日向美ビタースイーツ♪」の5人をすごく好きになってくれたんです。こちらが何も言わずとも、すぐに5人のパーソナリティーを把握してくれるほどに。だからこそ、あのハイクオリティなLive2Dができたんだと思います。


――ちなみに、ライブ以外でLive2Dを使っていく構想はありますか?

TOMOSUKE氏:構想はいっぱいあるんですけど、中々実現まで行かなくて。本当は、ちょっとしたアプリを作って喋らせたりとかしたいんですけどね。あとは、倉吉市に持っていって、イベントとかでまり花たちに挨拶させたりとか。タッチパネルで握手会とかもやったら楽しそうですよね。

――それは楽しそうです。では、「SSP」をやってみて、課題に感じた部分はありましたか?

TOMOSUKE氏:Live2Dなので、仕方ないのですが、横に移動ができないんですよね。ライブだと、ギターもベースもステージ上を動き回るじゃないですか。その表現ができない歯がゆさはありましたし、観に来てくれたファンの方も感じたんじゃないかなと思います。

あとは、リアルタイムで行われるMCもやらなきゃなとは思いました。前回の「SSP」では、決まったタイムラインでファンの方々が反応しないといけないので、コール&レスポンスも少しギクシャクしてしまう部分があったんです。

――コール&レスポンスで思い出しましたが、ライブの回数自体は少ないのに、ファンの方々の練度が高いですよね。

TOMOSUKE氏:ファンの横のつながりが結構強くて、「SSP」のライブBDが出た時も、みんなでペンライト持って鑑賞会をしてたりするんですよね。あと、ファンが持っているキャラへの認識と、キャストさんたちのそれが合致していて、こう来たらこう返すっていうのをみんな理解しているんです。だから、なんの違和感もなくノッてこれるんだと思いますね。

――コンテンツに対するリテラシーが高い!6年間の重みを感じます。この「SSP」のあと、「ここなつ」のワンマンライブ「ミライコウシン」がありました。この2人に関しては、なぜ最初からキャストライブだったのでしょうか。

TOMOSUKE氏:一つは、ダンスユニットでもある「ここなつ」の動きが、Live2Dでは絶対に表現できないからです。横に動き回れないと成立しないんですよね。じゃあ3Dなら、という声もあると思うのですが、「日向美ビタースイーツ♪」がLive2Dで、「ここなつ」が3Dというのもちょっとおかしいなと。

もう一つ理由があって、弊社の『SOUND VOLTEX』という音ゲーのライブで、東雲夏陽役の日南結里さんと、東雲心菜役の小澤亜李さんの2人に「ここなつ」として出てもらったんですね。それがファンの方々に違和感なく受け入れられて、「この2人でライブをしてほしい!」という声を多く頂いたんです。

ここで日南さんと小澤さんが、違和感なくライブをやりきったという事実は、かなり重要なものでした

――実際、それが「ミライコウシン」の実現と、その後の「SSPP」につながっていると。

TOMOSUKE氏:日南さんと小澤さんがやりきった時点で、ファンも、キャストも、私も、全員が同じ気持ちになったと思います。違和感ないな、と。

――「ミライコウシン」のアンコールでは、まり花役の日高里菜さん、イブ役の津田美波さんが登場し、「ライブをやりたい」とお願いしていました。このとき、すでに「SSPP」の構想自体はあったんですか?

TOMOSUKE氏:明確にはありませんでしたね。でも、その時の日高さんと津田さんの「ライブやりたいパワー」がすごくて(笑)。「SSP」のときから言われてはいたのですが、そのキャストたちの「歌いたい」という気持ちが重要だったのかなと。

お仕事として歌うのとはちょっと違う気持ち、というのをアンコールで出した時に、ファンの方々にも伝わったんじゃないかなと思うんです。だからこそ、「SSPP」をやろうと思えたし、実際に成功させることができたんだと思っています。

――「ミライコウシン」が2018年の7月末で、「SSPP」が同年12月末。すごいスピード感ですね…。

TOMOSUKE氏:巻きで作りましたね(笑)。ライブのプロデューサーを努めている、EDPの小田原さん(※)と「やりましょう!」といって、次の週あたりから準備に入ってましたね。

(※編集注:EXIT TUNES DANCE PRODUCTION・小田原氏。ファンからは「ここなつおじさん」とも)

――半年足らずというスピード感で開催された「SSPP」ですが、まり花・イブ・咲子の3人が選ばれたのには理由があったのでしょうか。

TOMOSUKE氏:まず、準備期間の短さやスケジュールの都合で3人になったというのが一つあります。あとは、必然的にライブやるならこの3人だろうし、同世代トリオがどうライブをするのか、最初に見ておきたいというのもありますね。

――ファンの方々からの反響はいかがでしたか。

TOMOSUKE氏:非常に良かったですね。キャストさんの振り付け練習やリハーサルに立ち会って見ている時に、「これは絶対喜んでもらえる」という確信はありました。

とはいえ、正直少し心配だったんですよ。最近の流れとして、バンド物のライブでは、キャストが楽器を弾かなければならない、という考えもありますし。でも、始まってみたらそんなこと全然気にならなくなりましたね。


――セットリストがすっごい良かったのですが、これはTOMOSUKEさんが決められているんですか?

TOMOSUKE氏:セトリに関しては、まず「3人均等にする」というのがありましたね。それと、「ぽかぽかレトロード」「チョコレートスマイル」で終わりたいというのもあったので、そこだけ考えて、あとはキャストさんたちと一緒に決めました。

【Sweet Smile Pajamas Party夜公演セットリスト】
1.凛として咲く花の如く
2.恋とキングコング
3.とびっきりのふわっふわ
4.イブの時代っ!
5.温故知新でいこっ!
6.乙女繚乱 舞い咲き誇れ
7.琥珀のくちづけ ~まり花&一舞 duet edition~
8.スイーツはとまらない♪(新曲
9.熱情のサパデアード(新曲
10.革命パッショネイト(新曲
11.neko*neko
12.激アツ☆マジヤバ☆チアガール
13.とってもとっても、ありがとう
14.走れメロンパン
15.今夜はパジャマパーティ

・Encore
1.そこはかとなくロマンセ
2.ルミナスデイズ
3.チョコレートスマイル
4.ぽかぽかレトロード

――最初から「凛として咲く花の如く」が来たときは、「SSP」を見ていなかったのもあり、驚きました。

TOMOSUKE氏:最初はまり花・イブ・咲子のソロ曲から始めて、次にデュオ曲という流れにしようかと思ったのですが、キャストさんたちから、最初は3人で出たいと言われて。意外と「日向美ビタースイーツ♪」の曲って、全員で歌うのがあまりないんですよね。「今夜はパジャマパーティ」とかは全員なんですけど、最初からそれ?と(笑)。

結果的には「凛として咲く花の如く」からになったんですけど、「ひなビタ♪」の物語的にも、始まりの曲なんですよね。スタートとしてはふさわしいかなと。「SSP」から引き続きなので、定番化しつつありますね。

――そして、個人的には、「激アツ☆マジヤバ☆チアガール」が最高でした。泣きました。

TOMOSUKE氏:やっぱり!みんなそう言うんです。津田さんがイケメンでしたね(笑)。

――あそこにはイブがいました。

TOMOSUKE氏:イブでしかなかったですね。

――新曲も良かったです。「革命パッショネイト」については、最初は凛っぽいタイトルだなと思ったのですが、聴いてみるとどうも違うようで。

TOMOSUKE氏:よく歌詞を見てみると、微妙にイブっぽいところがあるんですよね。ところどころにイブのセンスがにじみ出ています(笑)。

この曲は、まり花に「私もイブみたいに歌いたい!」と言われたイブが喜んで作った曲、という設定になっています。「凛っぽい」という話もされていましたが、一緒にバンドをしていく中で、イブも凛に影響されているところが少なからずあるということですね。

――まり花がこういう曲を歌っているのも印象的です。

TOMOSUKE氏:日高さんが、「まり花もかっこいい曲を歌いたい」と、まり花みたいなことを言ったんで(笑)。

――「SSPP」本当に良かったです。あの場には、日高さん・津田さん・山口さんと一緒に、まり花・イブ・咲子がいました。ダブってみえるというよりかは、寄り添っているような感覚です。

TOMOSUKE氏:キャストさんの性格をそのままキャラに取り込むコンテンツとかってあるじゃないですか。「ひなビタ♪」の場合は、6年もやっているせいか、だんだんキャストさんとキャラが似てくるんですよね(笑)。キャストさんとキャラがいい塩梅で、自然に重なり合ってる状態にあると思います。


――「SSPP」のとき、自分はまだ「ひなビタ♪」に出会ってから1ヶ月弱でした。それでも、これだけ感動したので、6年間追っている人にとっては相当だったんじゃないかと。

TOMOSUKE氏:6年間って言うと、中学入学~高校卒業までありますからね。それだけの期間、まり花たちと同級生のように過ごしてきた方もいると思うんです。そういう方たちにとっては、ライブが同窓会になってるのかなと。久しぶりに彼女たちと会って、元気そうで良かった、という感覚ですね。

――特別な感覚ですよね。そう思うと、もっと速く触れていれば、という気持ちになります。

TOMOSUKE氏:やはり、リアルタイムで見ていると、感慨深いものがありますからね。また違う感覚になると思います。

――ちなみに、先程「激アツ☆マジヤバ☆チアガール」で泣いたとお話しましたが、その前の「イブの時代っ!」でも泣いてます。

TOMOSUKE氏:(笑)。イブは泣けるキャラですね。


――イブの場合、「東京」というワードにいろいろな思い入れを持っているじゃないですか。そんな彼女にとっての「東京でのライブ」って、他の娘以上に特別な意味合いを持っていると思うんです。それを考えていると…。泣けてきます。

TOMOSUKE氏:米子に自動改札ができただけではしゃぐ娘ですからね(笑)。

――そんな「SSPP」では、振り付けも非常に印象的でした。「温故知新でいこっ!」とか、「熱情のサパデアード」とか…。

TOMOSUKE氏:今回は、まり花と咲子が歌うレトロ感のある曲が多く、振り付けもそれに合わせて昭和アイドルっぽい感じにしています。それが良いですよね。逆に新鮮で。振り付けに関しては、キャストライブならではの良さがでていました。


――「でぃぞビタ♪」の方々も、ライブには欠かせない存在でした。

TOMOSUKE氏:「でぃぞビタ♪」は超重要ですね!「バンドを表に出さないほうがいいのでは」という話もあったんですけど、私的には最初から出したかったですし、「男性バンドが出ているから興醒め」というファンも「ひなビタ♪」にはいないと思っていました。

――「neko*neko」と「ひなちくんのうた」のアレンジも、とてもかっこよかったです。

TOMOSUKE氏:あのレベルの演奏は、普通のアニソンライブじゃ中々聴けないですよ。やはり「でぃぞビタ♪」の存在は、今回の「SSPP」が成功した大きな要因の一つだと思います。彼らも「ひなビタ♪」へ愛着をもってくれているので、これからもライブでは欠かせませんね。

――「これからも」ということは、今後もライブコンテンツを続けていく構想があるということでしょうか!

TOMOSUKE氏:もちろんです。自分はもうライブだけやっていきたいくらいです(笑)。ARライブもキャストライブも続けていきたいですね。

ただ、ARライブに関しては、目新しさで話題になった部分も少なからずあります。なので、2回目以降は魅せ方を変えたり、大きな進化を見せていかないと、見てもらえないのではとは思っていますね。

※この後(インタビュー実施は2019年1月)、3月に「Sweet Smile Merry go round」が発表されました。「日向美ビタースイーツ♪」の3人(まり花、イブ、咲子)×「ここなつ」のツーマンライブとして、2019年5月5日に開催予定です!楽しみ!

◆「ここなつ」について


――私自身はまだ「ここなつ」にほとんど触れていないのですが、「SSPP」のアンコールで2人が出てきたときはグッと来ました。ライブ前の特番で今回の背景を知れたのは良かったです。

TOMOSUKE氏:泣けるポイントが多かったですよね。「ここなつ」の2人も、「ひなビタ♪」には欠かせない存在なので、ぜひ触れてみてください。

――シーズン3で登場されるんですよね。ファンからの評判もいいので、楽しみです。

TOMOSUKE氏:シリアスですが、「ひなビタ♪」の中でも1,2を争うくらい人気のシーズンですね。でも、最初の叩かれっぷりはすごかったですよ…。「なぜ新キャラを増やすんだ」と。夏陽が5人を見下すところから始まっているので、彼女へのヘイトがすごかったですね。

――キャラ的に仕方ない気はしますね。これは私個人の考えですが、「ここなつ」は「日向美ビタースイーツ♪」を客観視するための存在なのかなと。

TOMOSUKE氏:「ここなつ」の2人がいないと、「日向美ビタースイーツ♪」の5人だけの価値観で物語が進行してしまうんですよね。今言われたとおり、客観視できる存在が必要だったんです。

ライバルバンドという意味では「moonbow」もいるのですが、「ここなつ」は音楽的にも真逆ですし、バックグラウンド的に「地方を狙う大企業」のメタファーになっている部分もあります。実際の地方創生においてもそういう話があるので、「ひなビタ♪」でも扱いたかったんです。

――結果的には「ここなつ」もファンから愛される存在になりました。

TOMOSUKE氏:そうですね。今では「日向美ビタースイーツ♪」よりも「ここなつ」が好き、という方も多くいます。

◆「ひなビタ♪」の今後について


――「ここなつ」にも早いとこ触れたいです。ではここからは、「ひなビタ♪」の今後についても少しお伺いできればと思います。

TOMOSUKE氏:シーズン6で一区切りつき、今はFacebookというのぞき窓がない状態ですが、「ひなビタ♪」の物語は着実に続いています。それをいつ、どのタイミングで見せるかを考えているところですね。今までのように、常に5人一緒というわけではないので、出し方は少し考えないといけないなと。

私的には、「サイドストーリー」的なものもやりたいと思っているんですよ。あのとき、実はこういうことが起こっていた、というような。あとは、それぞれの親の話もいずれやりたいと思っています。

――例えば、「ここなつ」を単独で動かす構想などはありますか?

TOMOSUKE氏:「ここなつ」は2人で完結している世界でもあるので、動かすことは可能ですし、動かしたいなとも思っています。ただ、やはり「ここなつ」だけ動かしていると、「日向美ビタースイーツ♪の5人はどうなったのか」となってしまうので、出し方が非常に難しいんですよね。

――まだ終わっていないというのを改めて聞けたのは嬉しい限りです。そういえば以前、Twitterで「ひなビタ♪のボードゲームを作りたい」とおっしゃっていましたが、なにか進展はありますか?

TOMOSUKE氏:今はいろいろと探っている段階ですね。私はそこまで知見があるわけではないので、どうしたらおもしろくなるのかがわからないのですが、題材的には結構作りやすいとは思うんです。いろいろなところにお話を持っていってみたいなと思っています。

――「ひなビタ♪」単独でのゲーム化も見てみたいですね。

TOMOSUKE氏:ゲーム化はもう何十年も前から考えていますね(笑)。中々ハードルが高く、かつどのようなゲームにしたら一番いいのか悩ましいんですよね。私自身はコンソールゲームが好きですが、今はビジネスモデルをたてるのも難しいですし。

なので、どちらかというと、ゲームより映像化に挑んでみたいですね。物語をわかりやすく伝えたいと思っているので。個人的には、新房昭之さんとシャフトさんに手がけてもらいえると嬉しいですね…。

ただ、ゲームにしろ映像化にしろ、予算が…というのはあります。そして、映像化もそれはそれでかなり大変だと思うんですよね。TVアニメやるにしても、いろいろカットしないといけないところも出てきますし、それで本質がブレてしまったらやる意味もないので。先程も言ったとおり、面倒くさいコンテンツなんですよ(笑)。

いろいろ考えてはいますが、ゲームにしろ映像化にしろ、それが終着点にならないようにはしたいと思っています。本体はあくまでも音楽と物語で、ゲームやアニメは「ひなビタ♪」を楽しむ選択肢の一つくらいにしておきたいですね。

――確かに、アニメはどこをどう切り出すか、かなり難しそうです。

TOMOSUKE氏:そうなんですよね。だから逆に、有川浩さんとかに「すごくちゃんとした小説」を書いてもらう、とかのほうがいいかもしれませんね。キャラ性の違いも損なわないと思うので。いくつか「ひなビタ♪」の小説はでていますが、それよりももっとこう、街の雰囲気が滲み出てくるような、文学的な情景描写を盛り込んだ小説をみてみたいですね。

◆「バンめし♪」について



――「バンめし♪」についても少し聞いていきたいと思います。まず、「ひなビタ♪」との決定的な違いはどこになるのでしょうか。

TOMOSUKE氏:同じ地方都市を舞台にしながらも、それに対する考え方が真逆になっています。「ひなビタ♪」は故郷と共に生きたい、「バンめし♪」は故郷から一刻も速く脱出したいと言ったように。

――「脱出劇」というのはそういうことなんですね。「バンめし♪」でLive2Dを使うのは、はじめから考えていたんですか?

TOMOSUKE氏:Live2Dを使った生配信という構想は初めからありましたね。「ひなビタ♪」のARライブからさらに進化しているので、ものすごいですよ。


――あの配信は本当にすごいと思いました。

TOMOSUKE氏:生配信でこれをやっていますからね。今はVTuber全盛の時期ですが、「バンめし♪」の場合は、アバターを使ってキャラのロールプレイをしているのではなく、現実に存在しているんです。VTuberではなく、YouTuberだと思ってもらいたいです。

――「バンドでめしを食べるのは大変なこと。」というタイトルにはどのような想いが込められているのでしょうか。

TOMOSUKE氏:これは、ストーリーが進まないと理解できないことなんですよ。後々、回収されるはずです。

――「バンめし♪」はまだまだ新規でも入りやすいと思いますが、TOMOSUKEさん的にはどこから入るのがおすすめですか?

TOMOSUKE氏:まずは「生放送」ですね。楽曲も「ひなビタ♪」とは違ってかなりガチ目のインディー・ロックになっているので聴いてもらいたいです。

「バンめし♪」の一つのキーワードとして、「白兎団」というものがあるのですが、私の感覚では、その「白兎団」のメンバーを増やしていくコンテンツなんです。栗花落夜風たちと共に、「つまらない日常を吹きとばせ」という考えを持った人たちみんなで、ライブとかを楽しんでもらいたいなと。そういう意味では、「ひなビタ♪」よりもやってることは過激だったりします。

――では、「バンめし♪」も今後はライブ等を行う構想があると。

TOMOSUKE氏:もちろん考えています。「ひなビタ♪」よりもアングラ感を強めていくつもりです。ホールではなく、ライブハウスで実施したりとか。

――ちなみに、メンバーブログでも少し触れられてますが、「ひなビタ♪」とは同一世界で少し未来のお話、という認識でいいのでしょうか。

TOMOSUKE氏:その認識で合ってます。どのくらい未来なのかは言えませんが。「バンめし♪」が「ひなビタ♪」とは全く違う別作品だと思われている方もいるんですけど、同じ世界の話なので、「バンめし♪」のキャラが郡上八幡で活動している時、まり花たちもどこかで何かをしているんですよ。「日向美ビタースイーツ♪」も確実に存在しているので、安心してほしいですね。彼女たちが今後どうなるかはお楽しみということで。


――ブログで触れられていましたが、「moonbow」が世界的に有名になっているというのは驚きました。

TOMOSUKE氏:実は、「ひなビタ♪」のFacebookストーリーの時点で、世界ツアーとかをやってるんですよ。そう考えると、そんなに遠い話ではないのかも…?というのも出てきますね。

――「moonbow」絡みでもう一つ。「moonbow」のリーダー・由梨沙の名字が、最初期の「三上」から「後藤」に変わっているという話がファンの間で出ているのですが…。

TOMOSUKE氏:確かに「Bitter Sweet Girls !」のブックレットでは「三上由梨沙」でしたが、公式ガイドブックやそれ以降だと「後藤由梨沙」になっています。

理由なんですが、完全に由梨沙の「家庭の事情」ですね。「moonbow」にもいろいろあるんですよ。「日向美ビタースイーツ♪」にも咲子の家庭事情の話があるじゃないですか。そういう困難を、音楽の力で解決しているというところに、由梨沙は共感して惹かれているんです。

◆筆者が個人的に気になることと、最後のまとめ


――ありがとうございました。ここからは少しだけ、私が個人的に気になっていることをお伺いできればと思います。まずは、シーズン4から登場する「久領堤纒」さんについて、登場の経緯や立ち位置について教えていただきたいです。

TOMOSUKE氏:メタ的な話になりますが、倉吉市と一緒にコンテンツを作っていくにあたって、まず「倉野川市の観光課」という設定が必要で、かつ倉吉市とファンを結ぶ架け橋になるような存在が必要だったんです。そこで生まれたのが纒さんと、ファンの声を倉野川市に届けるための「倉野川観光課だより」というページです。

纒さんを、神奈川県の出身にして「外から来た人」にしたのは、「ひなビタ♪」のファンとして倉吉市の外から来る人を集約した、ある意味、ファンの擬人化・総意的なキャラだからなんです。

――確か、「久領堤」はTOMOSUKEさんの出身地・神奈川県平塚市の地名ですよね。

TOMOSUKE氏:そうですね。ちなみに「纒」も平塚市にあります。自分の出身地を入れたのは、纒さんが私のアバターでもあるからです。平塚市に住んでいた人間が、どういうプロセスで街興しに挑んでいるのか、というのを自分に重ねてしまっているんですよね。

――「公式ガイドブック」によれば、昔は音楽をやられていたのだとか。

TOMOSUKE氏:ゴシックメタルやハードコア系の音楽をやっていましたね。咲子が「漆黒のスペシャルプリンセスサンデー」を作ったときにはアドバイスもしていました。

――纒さんの歌も聴いてみたいです…。

TOMOSUKE氏:そういう声、結構あるんですよ(笑)。CVの山北早紀さんも、歌いたいと言ってはいるんですけど、発表の場が考えつかなくて。でも、やりたいとは思っています。

纒さんは、めうの師匠・星見日向とのつながりで倉野川市に来ていて、この日向も好きな人が結構いるんですよね。CVも小松未可子さんなので歌もいけるとは思うんですよ。

可能性はいっぱいあって、回収していないフラグもあるので、風呂敷はきれいにたたみたいとは思っています。そこを「バンめし♪」に期待するのもあながち間違いではありません。「ひなビタ♪」ファンには絶対「バンめし♪」にも触れてもらいたいですね。

――ありがとうございます。では、次に心菜について。アイドル活動時はメガネを外すのですが、これには理由があるのでしょうか。

TOMOSUKE氏:理由、あります。まず、すごい人見知りじゃないですか彼女は。元々、夏陽ほどアイドルに向いていないんですよね。それを心菜自身も自覚しているんですけど、夏陽のために頑張っている。でも、やっぱり人見知りなので、たくさんのお客さんを前にすると、何もできなくなってしまうんです。だから、前はメガネを外してわざと見えないようにしていたんです。

今はそれを乗り越えて、お客さんの顔をちゃんと見たいからと、ライブのときはコンタクトをするようになりました。

――そんな設定があったんですね…。いいお話を聞けました。

TOMOSUKE氏:普段からコンタクトにしてもいいんですけど、夏陽はメガネをかけた心菜のことが好きなみたいで。心菜はそれに合わせているようですね。

――ちなみに、メインキャラにメガネっ娘を入れなかったのには理由があったりするのでしょうか。

TOMOSUKE氏:特に考えてはなかったですね(笑)。音楽ジャンルを元にキャラを作っていったので、符号的な考えはなかったんですよね。凛とかはたまにメガネっ娘姿を見せていますが。あと、咲子は小学校時代メガネっ娘でしたね。

――なるほど。このままメガネの話をしてしまいそうなので次に行きます。今はシーズン3まで公式サイトでまとめられていますが、シーズン4以降についてはいかがでしょうか。個人的にはまとめていただけると大変助かるなと…。

TOMOSUKE氏:まとめるのがすごく難しい状態でして…。実は、シーズン3までまとめるのもかなり大変だったんですよ。正直、まとめにかける時間をもっと別のことに掛けたほうが良いのではないかとも思っています。Facebookって本当にリアルタイムで書いていて、テキストをどこかに別途用意したりしていないんです。つまり、原稿が存在しないので、全部コピペして持ってくるしかないんですよね。

でも、これをなんとかしないと、「ひなビタ♪」って広めづらいんですよ。最終的には、どんなに分厚くなろうが本にしてまとめたいとは思っています。その時、小説形式で出すのか、Facebookのまま出すのかは悩みどころで、どれくらい売れるのかも全くわからないのですが。

――本になってくれるとすごく嬉しいですね。確かに。

TOMOSUKE氏:1シーズン1冊にしても1,500ページくらいになりそうですけどね(笑)。それが6冊ですよ。もはや百科事典です。

――電子書籍とかはいかがでしょう。

TOMOSUKE氏:それが一番良さそうですよね。スマホでも見られますし。そういうのがあったほうが人には勧めやすいですよね。ちょっと考えてみようかと思います。

実現するのは相当困難ですが、サウンドノベル形式のアプリとかでも面白そうですよね。曲も聴けるし、まり花編・イブ編みたいな感じで、同じ時系列の話を違った視点で見るのも楽しそうです。

――ぜひ、ご検討ください!

TOMOSUKE氏:あとそうだ!やっぱりLINEスタンプ出したいんですよ。ファンの方にも真っ先に言われるので、なんとか実現しなきゃと思っています。

――LINEスタンプは欲しいですね。ぜひ、お願いします!今日は、長時間に渡るインタビューにお応えいただき、ありがとうございました。最後に、ファンの方々へ一言、締めのお言葉を頂戴できればと思います。

TOMOSUKE氏:「ひなビタ♪」には一旦区切りがつき、落ち着いた印象がありますが、ライブも本格的に始まり、Facebookの更新はないものの、5人の物語は着実に進んでいます。まずは、安心してほしいですし、「ひなビタ♪」は同じことを繰り返していきたくないコンテンツなので、いろいろな楽しみ方をファンの皆様と考えていきたいと思っています。

そして、今回のインサイドさんのように、新規で入ってくれる方もまだいると改めてわかりました。「ひなビタ♪」はインスタントなコンテンツではないので、自分で色々と考える必要があるのですが、その考える楽しさも味わっていただきたいんです。それをどう、新しく「ひなビタ♪」へ触れる人に対して伝えていくのか。これはもっと真剣に考えていかなければと思っています。

あとは、「バンめし♪」も本格的に始まっていますので、ぜひしっかりと見てほしいです。「ひなビタ♪」を今まで追いかけてきてくれた方は、特に。

何か大きいものを一回作るというよりも、皆様を飽きさせずに、長く長く、ずっと楽しめるようにしたいと思っています。「かゆいところに手が届く」そんなコンテンツを目指していきますので、これからも引き続き、この面倒くさい感じに付き合っていただけますと幸いです(笑)。

――これからも楽しませていただきます!改めて、今日はありがとうございました。



10年目を迎えてもまだまだ楽しめるコンテンツとなるように、筆者も微力ながら協力していきたい―TOMOSUKE氏のお話を聴いていると、そう思わずにはいられませんでした。

6年を経て円熟してきたコンテンツではありますが、まだまだ展開の余地はあると思いますし、これからはライブの場で楽しむ機会も増えてくるはずです。「ひなビタ♪」への期待ははもちろん、「ここなつ」そして「バンめし♪」の今後からもまだ目を離すことはできません。

とりあえずは5月の「Sweet Smile Merry go round」を全力で楽しみたいと思います!VIPチケットは取れませんでしたが!

すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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