「中国のコスプレイヤーだ」
ここ数年、コミックマーケットや東京ゲームショウなどの大規模オタクイベントで、中国コスプレイヤーの参加が増えてきました。
アニメの聖地というだけでなく、中国ゲーム会社やビリビリ動画などの日本進出が増えているからです。メディアやイベント参加のカメラマンに取り上げられるだけでなく、本人がTwitterを始めていることも少なくありません。
中国コスプレイヤーはクオリティが高く、ほとんど日本で活動をしていなくとも、多くのフォロワーを得るほど人気を集めている人もいます。
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例えば、中国の東北に住むコスプレイヤーのLoluさん(@Loluuuuuu_cos)は、これまで来日したのは1度しかありません。しかし、Twitterのフォロワーは9万人を超えています。
中国コスプレイヤーのクオリティの高さは、国内での競争の激しさが背景にあります。本稿では、中国のコスプレ事情をお伝えしたいと思います。
■独自の発展をした中国コスプレ文化
中国政府がアニメやマンガ、ゲームなどの動漫産業を後押しする政策を行っており、1998年頃から同人誌即売会も含めた様々な動漫イベントが各地で開催されています。
その中でコスプレイヤーは、日本の影響を受けつつも独自のコスプレ文化を築いており、日本以上に地位が高く、一般人に受け入れられています。動漫イベントはコスプレイヤーを中心に発展したと言われているほどです。
とくに、2015年頃からコスプレイヤーを起用する企業が急増したため、コスプレ市場は広がり、コスプレを始める若い人が急増しました。
■中国の大規模動漫イベントは上海と広州に集中
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中国各地で動漫イベントが開催されていますが、コスプレイヤーにとって注目度が高いイベントは大きく2都市に集中しています。
まずは、動漫イベントが一番盛んな上海です。とくに企業が多く集中しており、中国政府が主催する中国最大級のゲームショウ「ChinaJoy」や企業主催のイベントだけでなく、“中国版コミケ”と呼ばれる同人誌即売会「COMICUP」などの同人イベントも多く開催されています。
続く広州は、コスプレカメラマンの競争がとくに激しいと言われ、アニメ・ゲームの祭典の「蛍火虫」や「CICF EXPO」、中国でも歴史が長い同人誌即売会「YACA」などが開催されています。
さらに、成都は上海・広州と比較するとイベント数や規模がだいぶ下回りますが、中国内でも評価が高い同人誌即売会「COMIDAY」に代表される同人イベントが多く開催されています。
また、コスプレパフォーマンスの大会に限っては、東北が盛んです。中国のコスプレは1:4くらいの比率で創作劇派の「舞台党」と写真撮影派の「平面党」に大きく分かれており、「舞台党」がコスプレショーやコスプレパフォーマンスの大会に参加しているのです。
■なぜコスプレイヤーは上海や広州に集まるのか?
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中国コスプレイヤーが上海と広州に集まるのは、3つ理由があります。
注目を浴びる大規模イベントが開催されていること、仕事案件を依頼する企業が多く集中していること、クオリティの高いコスプレイヤーと撮影スキルの高いカメラマンが必然的に集まることです。
中国では“中国版Twitter”weiboが主流のSNSであり、コスプレイヤーもフォロワーが多いことが評価に繋がります。
そのためにも、「公式コスプレイヤー」として企業に起用されることがステータスとされる背景があります。
となると、必然的に多くの企業が出展するイベントの開催が多い上海や広州では、中国各地から評価が高いコスプレイヤーが起用されるだけでなく、各地のコスプレイヤーが活動の場を移してきます。
企業としても、上海や広州で開催するなら現地に住んでいるコスプレイヤーを起用したほうがコストは安く済む、レスポンスも早くなる利点は見逃せません。
さらに、注目度が高く、競争も激しくなる上海や広州に身を置くことで、コスプレイヤーやカメラマンが洗練される面は確かにあります。
コスプレカメラマンも撮影スキルが高ければ、それだけ有名コスプレイヤーを撮影する機会を勝ち取れ、企業から依頼を受けることにも繋がります。
そのため、相互にとって最大のアピール「写真」を最良のものとするには、最良の人材を求める意味でも競争が激しい地が望ましいわけです。
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