イベントはユービーアイソフトが配信する基本無料の対戦アクション『ブロウルハラ』の地方予選会~全国大会と、『レインボーシックス シージ』の公式キャスター、ふり~だ氏らによるセミナーの2本立てで行われました。『ブロウルハラ』の地方予選会では、ヒューマンアカデミーの各校で2対2のチーム戦による予選を行い、代表チームを1チームずつ選出。それに続く形でセミナーが開催されました。
◆直接会い、歩み寄るのが大切―ユービーアイソフトが重視するコミュニケーションの形
最初に登壇したのは、ユービーアイソフトジャパンのシニアコミュニケーションマネージャー・福井蘭子氏です。福井氏からは、同社におけるコミュニティイベントの重要性が語られました。
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ユービーアイソフトジャパンは2012年より毎年1回、ユーザー参加型の大規模オフラインイベント「UBIDAY」を開催しています。このイベントを始めるようになったきっかけは、2010年に開催された「アサシン クリード アート展」だったそうです。当時の同社は、ソフトの売り上げからファンがいてくれていることは認識しつつも、その実像を計りかねていた状態でした。
そんなときに開催したことで、こうしたイベントに実際に足を運んでくれるファンが多いこと、「こういうイベントを待っていた」と歓迎してくれる声が多かったことからオフラインイベント開催の重要性を認識し、それがUBIDAYの誕生につながったと語りました。
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それでも、オフラインイベントはオンラインでの広告展開に比べるとかかるコストが圧倒的に大きいため、「オフラインイベントを定期的に開催すべきかどうか?」は社内で毎年俎上に上がる議題だそうです。福井氏はそうした実情をつまびらかにしつつも「それでも、みなさんに直接お会いして、私たちの理念をお伝えして、足を運んでくださったみなさんが、SNSなどでそれを広めてくださる……これは我々にとって大事なことだと考えています」と続けました。
スマートフォンやSNSで誰もが簡単に意見発信を行える今日、インターネット上で、簡単にネガティブな発言をすることが出来ます。ところが、オフラインイベントの開催はその裏に隠された理由を知ることにもつながると福井氏は語ります。「直接お会いしてお話させていただくと『こういう理由があって不満なんです』と、その背後に含むものがたくさんあることが分かります」。
福井氏は「オフラインでのコミュニティイベントを継続的に行ってこそ、みなさんとよりよい関係を築くことができます。私たち(ユービーアイソフトジャパン)が担当するのは、ゲームの制作ではなく、主に宣伝と販売です。だからこそ、制作チームとみなさんをつなぐ架け橋でありたいと思っています。それこそが、弊社が考えるコミュニケーションの形です」と語り、セミナーをまとめました。
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◆強みを理解しセールスポイントを見出す―マーケティングのポイントとは
続いては、ユービーアイソフトジャパンe-Sports&ブランドマーケティングマネージャー・宮田幸子氏によるセミナー「UBISOFT JAPANでの新作発売時におけるマーケティングプランの立て方」が行われました。
新作ゲームの広報・宣伝をする上で大切なのは「そのゲームのどのような要素をアピール要素とするのか」「ターゲットとするユーザーはどのような層か」「その層に、どのようにアピールすれば効果的か」を決めること。そうしたマーケティングの考え方は、婚活をする人にも似ていると宮田氏は語ります。
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「たとえば、結婚したいと思う人は、プロフィール用の写真に少しでも写りがいいものを選びますよね。服装も、清潔感を重視することでしょう。私たちが提供するスクリーンショットやトレーラーも同じようなものです。そのゲームの魅力がよりよく伝わるものを選んで構成します」。
4年前、日本で展開する『レインボーシックス シージ』の宣伝担当を務めたという宮田氏は、同作の魅力や、当時の日本コンソールゲーム市場における立ち位置を以下のように分析したそうです。
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■『レインボーシックス シージ』を国内で販売する上での強み
・(当時の日本コンソールゲーム市場には)まだ類似するジャンルのゲームが少ない
・実在する特殊部隊をモチーフとしており、支持を得やすい
・人気シリーズの7年ぶりの新作である
■『レインボーシックス シージ』を国内で販売する上での弱み
・ストーリーモードがない
・Co-opプレイに対応していない
・自分の分身となるアバターキャラクターがいない
・ボイスチャットによる連携プレイはまだあまり浸透していない
その分析を元に、次は本作ならではの"オンリーワンの要素"を見出します。宮田氏はこれに関しては「近接戦闘に特化したゲームである」ことと「(比較的)リアル寄りである」ことと定義づけました。
そして、これらの分析を元にセールスポイントをひと言でまとめます。「ひと言でまとめれば、営業マンが得意先とエレベーターで会ったときにもすぐ説明できます。みなさんに直接アピールするときも、長々としているよりずっといいですよね」。
そうして見出されたセールスポイントは以下のようなものでした。
極限のリアルな緊張感の中
戦術を駆使してチームで戦う
近接戦闘に特化したオンライン対戦FPS
宮田氏は「本当はもっと短くまとめるのが理想です」としつつも、「キャッチコピーが固まれば、おのずとターゲットが定まり、プロモーションの方針が自然と見えてきます。マーケティングプランの立て方次第で、そのゲームの売り上げは大きく変わります」と語りました。
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マーケティング手法の講義のあとは、『レインボーシックス シージ』のe-Sportsへの取り組みが紹介されました。PS4版の発売から4年がたち、日本国内では150万人以上がプレイ。試合や大会の視聴者数、参加人数はPS4版、PC版ともに年々増加の一途をたどっており、視聴者層は、18歳~24歳の男性がボリュームゾーンであるとのことです。
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そんな近況を受け、きたる11月9日~10日に開催されるプロリーグによる世界大会がついに日本へ上陸。チケットはすでに完売していますが、全試合、日本語による配信が行われます。さらに、現時点で2022年までの大会開催が計画されている他、2019年内を目途にビギナーが気軽に参加できる初心者向け新トーナメントをPC版で開始予定とのことです。
◆ふり~だ氏が語るゲームキャスターのあるべき姿勢と取り組み
最後は『レインボーシックス シージ』公式キャスターでもあるゲームキャスターのふり~だ氏が登壇し、キャスターとしての取り組みを語りました。格闘ゲームプレイヤーとして華々しい戦歴を持つふり~だ氏ですが、その名前の由来は、2005年稼働のアーケードゲーム『超ドラゴンボールZ』でフリーザを愛用していたことにあるそうです。
「フリーザをもじってフリーダ。その後、"ふり~だ"と表記をあらためました。ひらがな表記にし、『-』を『~』に変更したのは、ネット上でエゴサーチしやすくするためです。自分へのフィードバックを得やすくした方が、反省点を生かしやすいですから」。
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そんなふり~だ氏がキャスターとして活動を始めたのは2015年から。その理由は、22歳から就職してずっと勤めていた仕事にあったそうです。2014年に主任となり、部下の面倒を見る立場になったことで、(格闘ゲームプレイヤーとしての)研鑽の時間が取りづらくなりました。そんな矢先にマウスコンピュータのゲーミングPCブランド「G-Tune」からスポンサードを受けられることになり、もともと好きだったトークを生かして「G-Tune」の売り上げに貢献できないかと考えたそうです。
その矢先に国内で『レインボーシックス シージ』が発売され、ふり~だ氏はその実況をさせてもらえることに。氏はそれまでほぼ格闘ゲーム一筋でFPSは未プレイだったそうですが、「これもめぐりあわせ」とそのチャンスに飛びつきました。
そんなふり~だ氏が常に心掛けていることのひとつは、「ゲームキャスターという仕事は何のためにあるのか」ということだそうです。「ゲームキャスターは実況や解説をするのが役目。もちろんその通りです。それでは、何のために実況や解説がいる(とメーカーは考えている)のでしょうか? それは「イベントを盛り上げるため」です。ですので、実況や解説ができるだけではダメなんです。その結果としてイベントが盛り上がって、初めて仕事をしたといえます」。
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実際に実況をする際に気を付けているのは、「視聴者」と「参加者」の両方が楽しめるようにすること。ここでいう「視聴者」は「そのゲームをプレイしたことがない人、大会に参加したことがない人」を指し、「参加者」は「プレイ経験や大会への参加経験がある人」を指します。
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「視聴者」に対してのアプローチは、身だしなみや発声に気を使うのはもちろん、メーカーが推奨する公式名称を使って正しい情報を届けることなのだそうです。「たとえば『ブロウルハラ』では、手に填める籠手状の武器がありますが、グローブなどと表現するのはよくなく、ガントレットと正式名称で言う必要があります。視聴者のみなさんに正しい情報をお伝えすることは、どのタイトルでも強く意識します」。
そして「参加者」に対しては、実況を通してゲームに対する理解をより深めてもらうことを意識するそうです。「今日は『レインボーシックス シージ』をご存じの方が多いと思いますのでそれで例えますが、大会の試合の準備フェーズでタチャンカがピックされたら盛り上がりますよね?(笑)そういうときに『なんとタチャンカをピックした!』と言えればより盛り上がってもらえますし、『このキャスターは分かってるな』とも思ってもらえます」。
(編注:タチャンカは、オペレーター(=プレイアブルキャラクター)屈指の鍛えられた肉体を持ちながら、それに相反するかのような使いづらさでプレイヤーたち、そして時にはユービーアイソフト側からもネタキャラ的な扱い/愛され方/いじられ方をされているキャラクター)
セミナーでは、ふり~だ氏が4年間のキャスター活動を通して積み上げた「不慣れなゲーム(ジャンル)への理解を効率よく深めるためのノウハウ」も語られました。ふり~だ氏の補足とともに、各項目についてお届けします。
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■自分で実際にプレイ…20%
「意外に思われるかもしれませんが、自分でプレイする時間はそれほど長くはありません。やり込みを重ねることで分かることもありますが、他の手段でも分かることが多く、言ってしまえば(やり込みは)非効率的だと考えています。ですが、プレイ自体はきちんとします。これは、参加者たちが大会で見せる動きや決めるコンボなどがどれだけ難しいものであるか、どれだけ努力や練習に裏打ちされたものであるかを知っておくためで、いわばリスペクトによるものです」。
■大会動画の観戦…30%
「一番比率が大きくなるのがここです。移動中にもできるのがいいですね。僕は英語が得意ではありませんが、海外の大会実況は抑揚の付け方がはっきりしているんです。何を言っているか分からなくても、どこが(そのゲームの)盛り上がりどころなのかがよく分かるくらいですので、海外の大会動画もとても参考になります」。
■公式情報の読み込み…15%
「公式の名称などを確認します。『ブロウルハラ』は公式の情報があまりまとまっておらず、武器の名称などを確認するのが大変でした(苦笑)」。
■Wikiでの攻略情報収集、SNSでの情報収集…各10%
「キャスターはいわば公式の場で発信する立場ですので、あやふやなことは言えません。そういう意味では、ここでそのまま実況に使える知識を得ることはそれほどないですね。それよりは、メタ(ここでは、プレイヤー間で流行しているキャラや戦法、もしくはそれらへの対抗策などを指す)などを知っておくというのが主な目的です」。
■実況練習…15%
「大会動画を再生しながら、自分で実況を当ててみたりします。これはいい練習になりますね」。
最後にふり~だ氏は「今日お話したのは、僕がこの4年間で積み上げた自分なりの方法論で、唯一の正解はないだろうとも思っています。キャスターは、ある時はユーザーたちの意見を代弁してあげる必要があるし、またある時は、メーカーの発信する情報をインフルエンスする必要もあります。そういう意味では、ユーザーとメーカーの架け橋になる仕事ともいえるかもしれません。話すことやしゃべることが好きな人は、こういう仕事もあるんだと興味を持っていただけたらうれしいです」とセミナーをまとめました。
◆ロケットランスが猛威を振るった『ブロウルハラ』全国対抗戦
セミナーのあとは、ふり~だ氏の実況で全国11校のヒューマンアカデミーによる『ブロウルハラ』全国大会が行われました。
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優勝チームへの賞品は、以下の3つが用意されました。
1.10月6日開催の「UBIDAY 2019」でのグッズ優先購入権、ゲーム優先試遊権(2つまで)
2.「UBIDAY 2019」の前日に開催されるクローズドイベント「UBIDAY EVE」に特別招待
3.上記に参加するための往復交通費、宿泊先の提供
全国大会はトーナメント方式でベスト3を選出し、上位3チームは総当たり戦で優勝を決めるというルールで開催されました。横浜校代表チームは、槍を構えながら横・斜め方向に短い距離の突進を繰り出せる武器「ロケットランス」を愛用し、横軸に並んだ敵をガンガン押し出していく攻めのスタイルで勝利を量産していきます。
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もちろんふり~だ氏はこれにいち早く気づき、横浜校チームがロケットランスを手にした瞬間や、その攻めをしのがなければならない敵チームの立ち回りなどを実況することで、試合を見ている誰もがすぐに"盛り上がりどころ"を理解できました。
そんな横浜校の躍進の一方で、絶妙なチームワークで勝ち上がってきたのが大阪校です。秋葉原校を含めた上位3チームによる最終戦は横浜校と大阪校で雌雄を決することになり、最後は大阪校がそのチームワークで優勝に輝きました。
「少々準備不足で、申し訳ありませんが……」と、資料を見ながらの実況に臨んだふり~だ氏でしたが、とてもそうは思えない淀みのないトークに誰もが感嘆。イベント終了直後の横浜校は、ふり~だ氏に記念撮影をお願いする学生(参加者)たちでにぎわいました。
ユービーアイソフトジャパンのお二人が語るコミュニティやマーケティングの重要性、そしてふり~だ氏が語るキャスターのあるべき姿と、実況の実践――ひと口に"ゲームの仕事"といっても、その選択肢は多種多様であることがさまざまな角度からうかがえるイベントは、こうして幕を閉じました。
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ヒューマンアカデミー横浜校でイベントに参加したみなさん