すべてのパワプロファンに贈る!アプリもパワポケも高校野球も集結した『パワプロ』25周年記念コンサートの模様をレポート!

『パワプロ』シリーズの25周年を祝うコンサートの模様をレポート!

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国民的野球ゲームの『実況パワフルプロ野球』(以下、『パワプロ』)は、1994年に第1作目の『パワプロ‘94』が発売されてから、今年で25周年。その節目を記念し、なんとシリーズ初となるオーケストラコンサートが開催される運びとなりました。

この25年の間に、本家『パワプロ』に留まらず、アプリ版や『パワプロクンポケット』(以下、『パワポケ』)など多数の関連作品がリリースされ、主題歌やBGMなど無数のサウンドに彩られてきた「パワプロ」シリーズ。

そのすべての楽曲がウインドオーケストラにオリジナルバンドを加えた豪華な編成に合わせアレンジされて登場。ヴォーカルには2年連続でテーマ曲の歌唱経験があるシンガーソングライター麦野優衣さんを迎えるという、まさにアニバーサリーにふさわしい夢の音楽祭となったパワプロコンサートの模様をレポートいたします。

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インサイドでは、「パワプロ」シリーズのサウンドクリエイターを務める渡邊紀如(わたなべのりゆき)氏にインタビューを実施しています。シリーズのBGMや本公演について語っていただきましたので、合わせてお楽しみください。

BGMに込められた“パワプロらしさ”をサウンドクリエイター・渡邊紀如に訊く

◆第一部 映像と共に『パワプロ』の歴史がよみがえる


ゲーム楽曲のコンサートらしく会場では楽団員のバックにスクリーンが設置され、音楽に加えて映像も楽しめる仕組みに。そんな、おそらく野球ゲーム史上初となるオーケストラの幕開けは、2001年に発売された『パワプロ8』の主題歌「Little Soldier」から。

シリーズで初めてフルアニメーションのオープニングと主題歌が採用された作品で、未だに多くのファンに愛される「Little Soldier」。開始前は漂う荘厳な雰囲気に緊張感もやや感じられた会場ですが、オーケストラによる演奏とヴォーカリスト麦野優衣さんの歌唱で鮮やかに生まれ変わる名曲に自然と手拍子が巻き起こるなど、盛り上がりは一気に最高潮に。


続いて迎えた「パワプロアプリメドレー」では、アプリ版の各高校シナリオで使用されているメインテーマを次々と披露。スクリーンに映し出される映像と共に曲調も目まぐるしく変わる構成はさながら“パワプロアプリ総集編”と言っても過言ではない豪華さで、リリース以降バリエーション豊かなテイストのシナリオを追加してきたアプリ版の歴史を実感させる内容になりました。


そんなバリエーション豊かな楽曲が演奏された第一部の中でも、特に会場が湧いたのは『パワポケ』楽曲をシリーズの第1作から次々と振り返る「パワプロクンポケットメドレー」でした。

携帯機向けに展開され、RPG要素があったかと思えば悪の組織も登場するという飛びぬけた多彩さで「野球バラエティ」とも称されたシリーズ。特にサクセスモードのマルチエンディングが心に残ると未だに熱烈なファンも多く、思い出のBGMと映像のコンビネーションには思わず目頭を押さえる人の姿も。

◆第二部 会場はアルプススタンドのような一体感に


休憩を挟んだ第二部のスタートは「高校野球ブラバンメドレー」。実は一部の『パワプロ』楽曲は吹奏楽用の譜面が無料配布されていることから、今では高校野球での定番応援歌のひとつになっています。

大阪公演には尼崎市立尼崎高校の、東京公演には八王子学園八王子高校の吹奏楽部が出演

そんな縁もあり、なんとこのステージでは実際の高等学校吹奏楽部が登壇し、高校野球の応援歌を演奏。しかも観客席にもメガホンを持った部員が登場し、音楽に合わせて「かっとばせー!」と、本番用の掛け声とダンスも披露。青春ど真ん中を行く奏者によってコンサートホールが一気にアルプススタンドへと変貌し、高校球児の気分を味わうことができる空間となりました。

さらに、「サクセスシネマコンサート」と名付けられたコーナーでは、モニターに流れるサクセスモードの映像に合わせて楽団がBGMや効果音を生演奏するというなんとも贅沢な試みが。

ジングルやBGMなど、ピッタリと映像に合わせた見事な演奏には感嘆の声が漏れつつも、シナリオが進行しダイジョーブ博士の改造手術が案の定失敗すると育成失敗のBGMが流れ、会場ではこの日一番の笑い声も起こりました。サクセスモードの試合時に流れる楽曲を繋げた疾走感溢れるメドレーも続き、なんとも「パワプロらしさ」溢れる時間に。

果敢にも改造手術に挑んだパワプロくんでしたが、残念ながら医学の発展のため犠牲に

そしていよいよコンサートも終盤。最後の曲を前にステージではシリーズのエグゼクティブディレクターを務める谷渕弘氏とサウンドコンポーザーの渡邊紀如氏が登場し、麦野さんと共に『パワプロ2016』の主題歌「Never-ending tale」とオープニングムービーについて、レア音源や絵コンテを交えながら当時の制作・収秘話が語られるスペシャルなコーナーも。

オープニング映像で矢部くんの眼鏡が飛ぶシーンの秘密を紹介した谷渕氏(写真右から2番目)と、
「ドラムのレコーディングでは体から湯気が出た」と渾身の作品だったことを語った渡邊氏(写真中央)

直後に披露された「Never-ending tale」ではレクチャーに合わせて会場全体がコーラスに参加し、来場者全員で一曲を作り上げる最高の空間が完成しました。

これでプログラムに掲載された曲目はすべて演奏されましたが、それでも鳴りやまぬ拍手に指揮者と麦野さんが再び登場し、舞台はアンコールへ。パワプロチャンピオンシップスのテーマソング「Flying High」で更に会場のボルテージを高めると、最後は『パワプロ9』の主題歌「Tomorrow ~未来への翼~」が披露され、感動のフィナーレを迎えました。

終演後も、最後まで大迫力の演奏だったオーケストラ、そして全タイトルの主題歌を原曲の雰囲気を残しつつ見事にカバーした麦野さんには惜しみない拍手が送られていました。

◆笑いと涙が入り交じる「パワプロらしさ」満載の内容に


コンサートのMCは作中でも熱盛宗厚・響乃こころとしてコンビを組む金光宣明さんと永野愛理さんが務め、原作さながらの掛け合いを披露。ステージにはパワプロくんも登場し、大きな動きで会場を盛り上げました。


そんな約2時間に及ぶ公演は、笑顔溢れる雰囲気でありながら要所では涙を拭う来場者の姿も目立ちました。筆者も少年時代を想起させる懐かしい曲の数々に、思わず目からパワリンがこぼれるシーンが何度も。

全主題歌を鮮やかに、力強く歌い上げた麦野さんの圧倒的な歌唱力が胸に刺さったことはもちろん、スクリーンに流れる各タイトルの映像も胸を打つものばかり。

思えば『パワプロ』というゲームは選手を育成するサクセスモードの存在によってシミュレーションゲームとしての側面が色濃く、歴史のほとんどをサクセスモードと共に歩んできました。

選手の人生を描いたサクセスの歴史には、きっとシリーズをプレイしてきたユーザーひとりひとりの思い出と歴史が詰まっているはず。そのオリジナルな歴史が思い返されるからこそ、「野球ゲームの主題歌で泣いてしまう」という、一見不思議な科学反応が起こったのではないでしょうか。


ロビーでは旧作タイトルのパッケージや絵コンテなど貴重な資料が公開され、シリーズの歴史をまとめた年表も展示。本公演に合わせて発売されたCDをはじめ、オリジナルグッズなどを扱う物販ブースは売り切れ続出で、来場者の満足度の高さもうかがえる光景に。

多数のシリーズ作品と人々を惹き付けるシナリオ、それらを彩ってきた主題歌とBGMを持つ『パワプロ』ならではの構成となった本コンサートは、見事大成功のうちに幕を閉じました。なお、本公演の模様を収めたブルーレイの発売が決定しています。発売日は2020年3月18日。詳細は続報を待ちましょう。


◆セットリスト
第一部
・「Little Soldier」(『パワプロ8』主題歌)
・パワプロアプリメドレー
・「START」(『パワプロ2013』主題歌)
・「PRIDE」(『パワプロ11』主題歌)
・パワプロクンポケットメドレー
・「Catch Up Dream!」(『パワプロ10』主題歌)
・「Link」(『パワプロ2014』主題歌)

第二部
・高校野球ブラバンメドレー
・サクセスシネマコンサート
・「GET THE GLORY!! 栄光への一歩」(『パワプロ』スイッチ版 オープニング)
・試合曲メドレー
・「Never-ending tale」(『パワプロ2016』主題歌)
・「Brand New Sky」(『パワプロ2018』主題歌)

アンコール
・「Flying High」(パワプロチャンピオンシップス2017 主題歌)
・「Tomorrow ~未来への翼~」(『パワプロ9』主題歌)

《ハル飯田》

よく遊び、よく喋る関西人 ハル飯田

1993年、大阪府生まれ。一旦は地元で公務員になったものの、ゲームが好きすぎて気付いたらフリーライターに。他メディアではeスポーツ選手や競技シーンの魅力を発信することに注力したり大会でキャスターを務めたりもするのだが、インサイド&ゲムスパではもっぱら好きなゲームについて語ることで安らかな気持ちになっている。

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