アーケード版『武装神姫』のゲームに「神姫NET」の面影を見た、あるマスターの郷愁【特集】

2006年に誕生した「武装神姫」……そのプロジェクト再始動に思う古参マスターの思う所。

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アーケード版『武装神姫』のゲームに「神姫NET」の面影を見た、あるマスターの郷愁【特集】
アーケード版『武装神姫』のゲームに「神姫NET」の面影を見た、あるマスターの郷愁【特集】 全 7 枚 拡大写真

昨今、取り立ててホビー界隈を賑わせる「美少女」+「メカ」の合体ジャンル。

「メガミデバイス」や「フレームアームズ・ガール」、「モビルスーツ少女」、「VF少女」……などなど有名ホビーメーカー各社が挙って商品を展開。それぞれの人気も盤石で、そのシリーズ数たるや枚挙に暇がありません。

この手のアイテム、近年では組み立てキットであるプラモデルとして発売されるのが主流のフォーマット。カスタマイズ性も広く、自分好みに改造できるとあって支持されています。


一方で、完成品フィギュアに組み立てキットのプラモデルとしてメカ部分を取り付ける、といった「デスクトップアーミー」のようなタイプも存在。先日バンダイより発売された「TAMASHII GIRL AOI」と「HG 蒼流丸」はこのタイプの発展型で、完成品キャラクターフィギュアブランドとしては大御所の「S.H.Figuarts」と、「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルなどで人気を博す「HG(ハイグレード)」のコラボアイテムとして発売されています。一口にアクションフィギュアとプラモデルの「いいとこ取り」、と言ってしまうと簡単なのですが、その分の遊びやすさは折り紙付き。完成品アクションフィギュアのガッシリとした丈夫さと、プラモデルの拡張性を兼ね備えたプレイバリューは絶大です。

そして、この「完成品の美少女フィギュアにメカを取り付る」という遊びにはある先駆者が存在します。その昔、このジャンルをホビー業界に切り開いたエポックメイキングなシリーズ。そう、ご存知「武装神姫」です。


武装神姫はコナミデジタルエンタテインメントが展開する、全高15cm程度の美少女ロボットフィギュアをカスタマイズして戦わせる近未来ホビーをテーマとした作品。いわゆるメディアミックス作品で、当時はゲームに漫画にアニメにと多岐に渡る展開で絶大な人気を獲得していました。

ファンの楽しみ方も様々で、あるゲーマーは「神姫NET」に入り浸りデジタルジオラマや他のプレイヤーとの対戦を楽しみ、あるモデラーは他のプラモデルシリーズとミキシングしてオリジナルの武装を造り、ある紳士はドールのように布服を着せて神姫を愛でて楽しみ、ある旅好きはバイクに同乗させツーリングに出かけたりしていました。神姫達は、文字通りマスターの生活の一部となっていったのです。

そんな武装神姫も2010年代中盤に差し掛かると新作のリリース速度が激減、発表段階にあった神姫の発売中止や、主要スタッフから発表された事実上のシリーズ終了宣言などもあり、残されたマスターたちは行き場を失います。

そして、ある者は「メガミデバイス」や「フレームアームズ・ガール」といった他シリーズへ移住し、ある者は未発売の神姫をフルスクラッチしたりと、各々の余生を神姫の影を追いながら楽しんでいました。

が、……ついにその時はやってきました。

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武装神姫のリブートが宣言されたのです。かつては悲嘆に暮れ、今では新たな道を進み始めていたマスター達。そんな彼らが一斉にSNSへ浮上する様は、さながら古の老兵のごとく。トリントンへ向かうジオン残党もかくやとばかりに意気揚揚としていました。なにせ、ここではプラモデルへとプラットフォームを移した新商品展開のほか、新たなゲームタイトルの制作も発表されていました。これがまた多くのファンを沸かせたのです。

武装神姫はそもそも、メディアミックスの形で誕生したホビー。当初からゲームとの同時並行展開というのは切っても切り離せない関係にあったとも言えます。


特に神姫は、フィギュアに封入されているシリアルコードを神姫NET側に登録すると、自分のPC内にキャラクターが分身として現れるというシステムが存在しました。これにより、実物のフィギュアとゲーム内でのキャラクターをリンクさせていたのです。神姫NETでは、実際にフィギュアで作り上げたパーツ構成をゲーム内に再現することはもちろん、デジタルジオラマで撮影を楽しんだり、他のユーザーが作り上げた神姫と戦わせることもできました。そして経験を積んだ神姫は成長し、各マスターにとって唯一無二のオリジナル神姫へと育っていったのです。

こんな楽しいホビーが2006年にあったんです。そりゃ当時のオタク達はドハマリしますって。しかし時代はソシャゲも黎明期の頃。しかもプラットフォームがPCということもあり、なかなかハードルは高かったようです。

閑話休題。そんな武装神姫のゲーム展開が帰ってくる。誰もが期待しました。が、ここでまたしてもお預けを食らうマスターたち!リブート宣言から一向に続報は出ず、公式からの音沙汰が完全になくなってしまったのです。またか、またしてもか。

そんなこんなで初報から時は流れ……2020年初頭。記憶にも新しい、あの発表と相成ったわけであります。

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初報からおよそ丸2年経過してはいましたが、そこは歴戦の神姫マスター。待たされるのは慣れっことばかりに、新情報に食いつきました。ひとつは、スマートフォン向けのゲームアプリのようで「R」と名付けられたタイトルの意味深感が興味を引きます。そしてひとつはどうやらアーケードゲーム。筐体も神姫専用のようで、インターフェイスの一部には神姫専用クレイドルのようなものが映り込んでいるのが見て取れます。神姫NETに見られた実物の神姫達との接点のようにも感じられ、往年のファンには心惹かれるポイントですね。


これらの情報の、正に突然とも言える発表。それはもう一ファンとして筆者もびっくりしました。なにせ、音信不通からいきなりの情報の洪水です。特にアーケードゲームの方に関しては、浅井真紀氏や鳥山とりを氏といった武装神姫プロジェクト中核の関係者にすら進捗や詳細が伝えられていなかった、という状況であったことが発表直後のイベント「WF2020冬」で明らかになっており、現地のトークショーレベルながら界隈では相当な物議を呼びました。

さらに、開催後の浅井氏のブログには権利元であるコナミ側との関わりの経緯が詳細に綴られており、これを見たファンの間で波紋が拡大。一部SNSではコナミ側のプロジェクトへの姿勢に疑問を呈する声も少なからず見受けられ、現在のファンの胸中は「期待半分、不安半分」と複雑なところでもあるようです。


とは言え「武装神姫」は、一度完全に終了宣言が出され、そして再び動き出したプロジェクトです。もはや、ちょっとやそっとのことで折れるほどマスターたちの心はヤワではないのです。

今はただ、次なる情報の開示へ期待を募らせるばかり。そしてマスターの紳士淑女、ファンも関係者も等しく皆が笑顔になれる日が来ることを切に願うばかりです。

(C)Konami Digital Entertainment (C)Konami Amusement
(C)2020 Konami Digital Entertainment

《ひびき》

バーチャル関西の何でも屋さんです ひびき

2012年からインサイドにてゲームライターとして活動して、はや十数年。ちょっと古参気取りの何でも屋。Game*Sparkやアニメ!アニメ!にもたまに顔が出ます。ゲーム・アニメ以外では、ホビーやガジェット、バーチャルYouTuber業界が専門。お仕事お待ちしております。

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