8月16日までスマホ版『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』が80%オフ!街もダンジョンもお馴染みの連携すら無いのに、なぜここまで引き込まれるのか

8月16日までスマホ版『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』がセール中!

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8月16日までスマホ版『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』が80%オフ!街もダンジョンもお馴染みの連携すら無いのに、なぜここまで引き込まれるのか
8月16日までスマホ版『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』が80%オフ!街もダンジョンもお馴染みの連携すら無いのに、なぜここまで引き込まれるのか 全 24 枚 拡大写真
8月2日から8月16日まで発売日記念としてセール中のスマホ版『サガ スカーレット グレイス緋色の野望』。通常4,900円のところを980円という破格の値段でダウンロードが可能なこの時期、本作を初めてプレイしてみたという方も多いことでしょう。

もともとは2016年にPSVita専用ソフトとして発売されていた作品が、完全版として2018年にニンテンドースイッチ、PS4、PC、そしてスマートフォン用アプリとしてリリースされていました。

筆者も今回PSVita版以来、久しぶりに本作をプレイ。この作品の持つ尖った面白さに再び引き込まれてしましました。『緋色の野望』での追加要素や、スマホとの相性も含め、本作の魅力に迫ってみたいと思います。


まずはキャラクターの選択から


本作は、最初にいくつかの質問に答えることでおススメの主人公を提示してくれるという仕組み。筆者は数年前、PSVita版の時にこの質問によってレオナルドへと導かれました。

普通の心理テストと異なり、あんまり普段考えたことの無い類の質問多数。
回答に悩むこともしばしば。

今回数年の時を経てスマホ版で回答した時も、おススメに出てきたのはやっぱりレオナルド(※今回のプレイでは「全編未クリア」の状態で質問に回答しました。)。3年以上の月日が流れても自分の心は変わらないままのようです。レオナルドはストーリー進行の自由度の高いキャラで本作のフリーシナリオを存分に体験できるキャラクター。筆者の心がいつもフリーシナリオを求めている、ということなのかもしれません。

元不良で今は真っ当に農業を営むレオナルド。
画像左の女の子、エリザベートとの掛け合いが彼のシナリオの魅力。

しかし今回はレオナルド以外のキャラクターで挑戦したかったので、自分の意志と反する回答をしてみることに。自分の心に嘘をつき続けて回答を進めると、ウルピナちゃんが登場。彼女は筆者の思考とは真逆の存在なのでしょうか。とりあえずレオナルド以外のキャラクターが出たので、満足してウルピナちゃんでゲームスタート。

頭の真ん中についている花がチャームポイントのユラニウス家令嬢。
冷静になって見ると、変な格好ですね。

この「ウルピナ」って名前は何なんでしょうね…。
筆者の中では「チャモロ」や「トルネコ」と並んで、口に出して言いたくなる変な名前上位にランクイン。

ゲーム開始して最初にインパクトがあるのはなんといってもボイス。PSVita版ではボイスが無かったので非常に新鮮に感じられます。キャラクターにもより感情移入しやすくなったなという印象です。本作は「セレナイフ」とか「メグダッセ」など、ややこしい地名が多いのも特徴。「ビキニロ辺境州」なんて目が滑ってまともに読めたためしがありません。そういった地名を音声で言ってくれることは非常にありがたいところ。間違って覚えていた名前なども、気づかせてくれそうです。

「シルミウム」は比較的覚えやすいが、州の名前は舌を噛みそうになるものが多数。
もちろん何一つ覚えてなくてもプレイには支障が全くないのが、『サガ』。

また、ボイス設定のところに「デフォルト」と「アレンジ」の選択肢があるのも特徴。ちょっと抑揚が抑え気味で自然な演技になっているのが「デフォルト」、若干ドラマチックなセリフ回しなのが「アレンジ」と言ったところでしょうか。

本作のキャラクターたちは仲間になると、ほとんど物語に絡んでこなくなります。そのため能力値と見た目が異なる以外は、ほとんど無個性という印象を持っていました。『緋色の野望』でボイスが追加されたことでそれぞれの個性が強化。戦闘時に発する声でそれぞれの性格や人となりが明確にわかるようになりました。

鎧娘のベアトリスは、めちゃくちゃかわいい声の女の子。
予想外のギャップにキュンとしてしまいます。

レオナルド編もちょっと触ってみたのですが、このセシリアちゃんは、実は毒舌キャラだと発覚。
戦闘不能になった際のリザルト画面での彼女の一言は、一聴の価値あり。

「『サガ』にボイスなんてなくてもいいよ」なんて思っていたのですが、ボイスがあるとよりキャラクターたちに愛着が湧きそうです。

既プレイでも、新鮮な気持ちで楽しめる「フリーワールド」システム


久しぶりに『サガ スカーレット グレイス』の世界を回ってみると、改めて「フリーワールド」のシステムの面白さに驚かされます。本作は街やダンジョンを探索することができません。冒険はすべてワールドマップ上でのみ展開されるという作りにになっています。RPGの醍醐味ともいえる街やダンジョンのマップを排除してしまうというゲームデザイン故、情報公開直後は非常に物議を醸しました。

マップ上の各所に立ち並ぶオブジェクト。それぞれにイベントがあったり、なかったり。
何か特定のフラグが立つと、新しいオブジェクトが立ち上がってくることも。

2016年の『スカーレット グレイス』情報公開の際に流れたプレイ映像を初めて見た時のことを思い出します。「オブジェクトがポコポコ立ち上がるのが面白いんですよ」などと紹介されており、当時は「それって面白いのか?」と疑っていました。実際にプレイすると、これがプレイヤーの探求心や発見の喜びをそそるようになっていることがわかります。街やダンジョンの代わりに、フィールド上のあちこちに発見や仕掛けがちりばめてあり、冒険している気分は十分。

マップの隅の方まで行くと新しい発見があったり、さっきまで何もなかったところにいつのまにか人が現れたりなど、好奇心を上手にくすぐってきます。あちこちに思いがけ無い発見がたくさんあるためか、広い世界を冒険している感覚を味わうことができるようにな手ちます。このシステムはあまり映像映えしないとも感じます。おそらく他人のプレイを見ているだけではこの世界の広さ、発見の喜びは実感しにくいところだと言えます。自分で実際に触れてみて初めてわかる感覚だと言えるでしょう。

突如街の傍に現れる盗賊の絵。
何かが起こりだす予感がします。

本作は何がフラグになっているのか、初見ではよくわからないのも特徴。誰が仲間になるのか、ならないのかもよくわからないし、どこでフラグが折れてしまうのかも気づきにくい。だからこそイベントがうまく進行したり、仲間が加入してくれた時の快感が大きなものになります。人の感情を巧みに揺さぶってくる作りのゲームだな、と改めて感心。

「入る必要もない」とかあまりにも辛辣な言われよう。
何もないはず無いんだろうけど、何がフラグだったか全然覚えてない…。

この子はレオナルド編で仲間にした記憶があるのに、ウルピナ編ではスルー。
さて、どんな手順で仲間にするんだったっけ…?

レオナルド編でもお世話になったエリセドは、ウルピナとかかわりの深いキャラだったんですね。
主人公が変わると、また新しい人間関係が発見できるのも、この作品の魅力。

何度もプレイすることで新しい発見があるところが本作の良さ。筆者も数年ぶりのプレイでしたが、序盤から非常に新鮮な気持ちで楽しむことができました。この作品はプレイヤーごとにも体験が大きく異なります。多くの人とプレイ体験を共有することで盛り上がれることは間違いありません。

従来のつくりを一新した戦闘システム タイムラインを見ながら戦略を練る楽しさにハマる


戦闘システムの練り込みはさすが『サガ』だなと思わされます。「閃き」などの要素は残しつつ、「タイムライン」と「連撃」という新しいシステムを導入。この二つのシステムの組み合わせにより、ピンチがチャンスに、チャンスがピンチにあっという間に入れ替わり、戦闘の戦略性とスリルが過去作と比べても段違いに上がっています。敵二人の間に挟まれた味方がやられてしまったときの「やっちまった…」という感覚や、狙っていた連撃が見事に決まった時の快感は言葉で言い表せないものになります。

こちらの不注意で、敵の連撃が成立。こんなことでは、到底ラスボスのファイアブリンガーには勝てませんね…。

想定していた戦略が見事にはまって勝利した時の喜びは、誰かに伝えたくてたまらない気持ちになります。伝える相手もいなし、プレイしていない人には伝わりにくいのが悲しいところ。

連撃が決まった時の快感が、このゲームの醍醐味。

今作ではサガの戦闘の重要な要素である「連携」が廃止されています。連携の無い『サガ』は実に『ロマンシング・サガ3』以来。代わりに入ってきた「連撃」の情報を初めて聞いたときには「連携を切り捨ててまで導入されるなんて、どんな大層なシステムなのやら…」と懐疑的な目を向けていましたが、今では連撃無しでは物足りない体になってしまいました。

タイムラインシステムのおかげで、敵の行動を封じたり行動順を変更する技が非常に重要に。
「失礼剣」にここまでお世話になる日が来るとは思ってもみませんでした。

この戦闘システムはコマンド選択時に、敵味方の行動順と、敵の行動内容がすべて明らかになっているというもの。そこから戦略を組み立ててコマンド決定するという仕組みであり、リアルさを求めるタイプの戦闘システムとは対局に位置しています。

日本のRPG界隈でもリアルタイムでアクション要素高めの戦闘システムの作品が増えつつある中、あえて真逆の方向に突っ走っていく。この姿勢も、僕らの好きなサガらしい尖り方だなと感じました。

『スカーレットグレイス』の世界を深く知るための要素の数々にも注目


『緋色の野望』ではイベントの数が増えていたり、新しい施設や技、仲間が追加されていたりしますが、個人的に興味深いのは各町にいる吟遊詩人と仮面劇。周辺で発生するイベントのヒントになることや、裏話、神話にまつわる内容を聞かせてくれます。

『サガ』シリーズは世界設定が良く練られているものの、ゲーム上ではほとんどが明らかにならない、というのが特徴。吟遊詩人と仮面劇が導入されたことで、この世界の雰囲気の一端に触れることが可能になりました。ゲームへの没入度を高めるのに一役買っており、個人的には非常にうれしい追加要素です。

吟遊詩人の語りで、より物語に入り込める。最初は何言っているのかわからない場合もありますが、
イベントをこなすと「そういう話だったのか!」と納得できることも。

また、PSVita版から実装されていた機能である「産業開発」にも注目。初プレイのときはほとんどやらずにスルーしていたのですが、今回改めてプレイしてこのシステムの面白さがわかった気がします。

産業開発とは、各地の特産品を入手して別の地区に持ち込むことで新たな特産品を生み出すというゲーム。それぞれの地区の特産品を知ることで、その土地の文化や歴史的背景を理解できるという仕組みになっています。

過去作の『ロマサガ3』には「トレード」というミニゲームがありました。あれもミニゲームを通して『ロマサガ3』の世界にどのような会社があり、各地にどのような産業があるのかを知ることができるという構造でした。

説明書きを読んで世界設定を知ってもらうのではなく、ゲームの中で体験しながらその世界の文化や成り立ちを学ばせるというのは非常に『サガ』シリーズらしいアプローチだなと感じます。

特産品を各所に持ち込むことで、どんどん各地域が活性化していく。

今回の産業開発は物を運んで回るだけで、ゲームらしい戦略性やスリルが無いのが残念ですが、ミニゲームを通して世界の背景をプレイヤーに感じ取ってもらおうとする趣向はまさに「トレード」に通じるものがあります。

現在のところ、じっくり各地を観察しながら産業開発に取り組んで、この世界を深く知っていこうと考えている次第です。

スマホ版でのプレイは快適なのか?


今回セール販売されたのはスマホ版。近年、コンシューマーゲームが続々スマホ向けにリリースされていますが、その都度問題になるのは操作性です。

『スカーレット グレイス』ではどうかと言うと、フィールド上の移動方法を「スティック」に設定すると、PSVitaの時とほとんど遜色ありません。

さらに移動がワールドマップに限られており、アクション要素が無く、敵除けなどのシビアな操作も全く不要であるという観点から、他のゲーム作品と比較してもスマホでプレイする上でのデメリットが非常に少ない作品だと言えます。

会話中の選択肢は少し小さいですが、しっかりダブルタップしないと反応しないので、
選択間違いは発生しにくくなっています。

メニュー操作や戦闘時のコマンド選択は、携帯端末向けのタッチ操作を前提としたインターフェースが用意されているため、非常に操作しやすく快適でした。

UIモードを「携帯端末向け」にしておけばスマートフォンでもかなり快適。

戦闘時のコマンド選択も、大きいボタンで押しやすい。
操作しやすく、押し間違いのリスクも少ない。

そして何よりも本作は、寝る前の数十分、電車での移動時間などの空き時間でのプレイに最適。戦闘は基本的に自分で選択しなければ発生しないため、ある程度プレイ時間をコントロールしながら楽しむことができるようになっています。忙しい現代人にピッタリのゲームだと言えます。

当然携帯機との相性は抜群。『緋色の野望』は、テレビでも携帯機でも遊べるニンテンドースイッチが一番良いかなと考えていましたが、より手軽に遊べるという意味でスマホでの購入が最適解なのかも、と感じました。

ちなみにPS4などにあるトロフィー要素や、オープニングムービーが無いという点には注意が必要です。



改めてプレイしてみても、非常にやり込み甲斐のある作品であることは間違いありません。人を選ぶ作品であるのも事実ですが、うまく刺さった人にはやめられない中毒性があること間違いなし。

ちょっとでも迷っている人はこの機会に購入し、『サガ』の沼にはまるか試してみましょう。

《竜神橋わたる》

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