『サイバーパンク2077』の神社には何が祀られているのか?―神道に詳しい漫画家に訊いたら意外と色々リアルだった

ナイトシティの神社、意外とリアルでした。

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『サイバーパンク2077』の神社には何が祀られているのか?―神道に詳しい漫画家に訊いたら意外と色々リアルだった
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アメリカのナイトシティを舞台にした『サイバーパンク2077』には、神社が登場します。

ナイトシティは、日系企業のアラサカ社が支配しているので、海外とはいえ神社があるのは不自然ではありません。ただ、その神社には、奇妙なデザインをした鳥居があったり、参拝客が神職の人をディスっていたり、なぜかギャングが占拠していたりと、現代人の我々には突っ込みどころ満載なものばかり……。

ところで神社といえば神道。神道を題材とした漫画といえば狐様が女子高生(JK)をエンジョイする日常系4コマ漫画「お稲荷JKたまもちゃん!」(一迅社)。同作の作者であるユウキレイ先生は、取材のために神道について調べており、とうぜん神社のことも詳しいのです。

そこで筆者は、この神社についてユウキレイ先生に色々と訊いてみたのですが……これが予想外の展開に。もしかすると、いい加減に作られた神社ではないのかもしれません!

神社を観察!一体何が祀られているのか?



――よろしくおねがいします。早速ですが、ナイトシティの神社はどうでしたか?

ユウキレイこの神社、完全にサイバーパンクですね!

ナイトシティはアメリカが舞台ですが、海外にも神社はあります。日本国外の神社は、神社本庁と直接の関わりがないそうですが、海を渡った日本人が故郷との縁を結ぶため心の拠り所として祀り始めたらしいです。ナイトシティでも人々は神様との縁を大切にしているのかもしれません。

そして改めていいますが、この神社は、どの点から見ても、どうあがいても「サイバーパンク神社」としかいえません。そこで、そんな神社をあえてじっくり観察し、ここに何が祀られているのか真面目に考察してきました。

――それでは入り口から順々にまわりましょうか。


ユウキレイ:まずは灯籠です。ちゃんと宝珠も乗っていて基礎部分もあります。形状は丸蘭渓灯篭に近いと思われます。最近はLEDを使っている灯籠もあるので、灯篭から出ている謎のコードは電力ひき込みコードとみて良いと思います。

特殊な形をした灯篭ですが、今のところ入り口はまだ神社と呼べるものです。


ユウキレイ:次は五重塔です。

――素人目からすると五重塔は不自然なところがありませんでしたね。

ユウキレイ:実際にありそうな五重塔型の灯篭ですね。これは仏塔の形式のひとつで仏教的な宇宙観を表していると言われています。奈良時代に神仏習合が始まって、神社の境内などに仏塔や寺院が建てられたため、有名な神社にはこれが残っているところも多いみたいです。

ただ、ナイトシティの神社の五重塔は……鳥居の前にふたつ対のように並んでいるのはちょっとわかりません。狛犬の代わりなのかもしれませんね。


ユウキレイ:そして鳥居です。これはポピュラーな明神鳥居で、おそらく注連縄の代わりにコードみたいなものが巻かれているのではないかと思われます。紙垂がありませんが代わりにビーズのようなものがぶら下がっていますね。

本来は、神額と呼ばれる、真ん中に看板のような飾りがあるのですが、そこには「深夜都市鎮座記念」と書いてありますね。ただ、ここまでは未来の神社に見えます。

――なるほど、時代の流れによって神社のあり方も変わるので、逆に未来っぽいわけですね。

ユウキレイ:鳥居をくぐる際は帽子は脱いで一礼しましょう!


ユウキレイ:さて、次に左手に見えた建物は、サイバー神職3人がお祈りしてる神楽殿……だと思います。

――神楽殿はどのようなことをするところなのでしょうか?

ユウキレイ:神事において神様に奉納される歌舞を行うところです。神事がある日や曜日、もしくは個人が初穂料を払ってご祈祷する際に神楽を舞ってもらえます。

話しかけると「調子はどうだい?」とフランクに挨拶してくれるサイバー神職。

ユウキレイ:ただ、サイバー神職3人が本殿らしき建物に向かって拝んでいたので、拝殿の可能性もあります。

それと、ここには火の用心と書かれた行灯が多数あります。これは何を祀っているかの考証材料になりそうです。


ユウキレイ:先に進むと手水舎。ここは忠実に作られていました。注目してほしいのが参道です。鳥居から手水舎前で参道が90度南へ曲がっています。

これは正中(いわゆる神様の通り道)を外すため直角に曲がっているものだと思われます。
伊勢神宮や明治神宮も正中を外すため直角に曲がっていると言われています。

――えっ、全然気づかなかった……サイバーパンク神社、意外とリアル……。

ユウキレイ:そう、しっかりと未来の神社なんです。


ユウキレイ:ただ、境内にある社務所……ゲーム内ではジャンク屋と呼ばれていますし、売っている人は物売り僧……僧!

とはいえ、神仏習合から明治に至るまで神道と仏教はひとつにまとめられて信仰されてきました。それに稲荷大神が稲荷神社で祀られ、稲荷大神と同一視されるダキニ天が名古屋の豊川稲荷(妙厳寺)で祀られているので、僧もいてもおかしくないかもしれません。なので、まだ神社です。

――治安が悪いのか格子がありますね。

ユウキレイ:新宿の神社の狛犬にも格子の囲いがありますし、社務所に格子があってもまだ神社です!


ユウキレイ:そういえば、ゴミが散乱し、ラクガキがあったことが気になりました。話す会話から明らかに参拝目的ではない人もいましたし、おそらく、この神社は観光地化しているのではないでしょうか。大勢の観光客の中には、ここが神聖な場所だと理解していない人がいるでしょうし、このようなことになっているのでしょう。

さらに、マナーの悪い観光客がサイバー神職に絡んでいたので、これは駄目だなと思って頭を撃ち抜いておきました。

――観光客のマナー向上には必要な処置ですね。銃から放たれたメッセージを理解してくれたら良いのですが……。


ユウキレイ:そして狛犬です。向き合って置かれていませんが、守るべき社寺を背に参拝者を迎えているパターンもあるので、そこまで違和感がありません。ただ、どちらも同じ形状なのが気になりました。基本は、阿吽で口を開けてるのと閉じてるので一対になります。

あと置かれている位置が本殿に近すぎだと思いました。


――境内の大きな建物は本殿なのでしょうか?ゲーム内では、大きな建物の奥にある建物が本殿だといわれていましたね。

ユウキレイ:先ほどのサイバー神職がいた場所が拝殿ではなく神楽殿なら、この建物が拝殿ということになります。


――そういえば、この中は「タイガークロウズ」と呼ばれるギャングが占拠していますが、どのような理由が考えられますか?

ユウキレイ:大晦日に稲荷山の頂上に上ったのですが、頂上付近でカウントダウンをするためヤンチャな集団がたむろしてたので、たぶんタイガークロウズもそんな感じなんじゃないでしょうか……。

――謎の説得力がある……!


ユウキレイ:そして、この建物には賽銭箱のようなものがあり、それにはJINGUJIの文字が刻印されています。そう神宮寺!神社に附属して建てられた仏教寺院を神宮寺といいます。


ユウキレイ:建物の中にある数珠のようなものやお茶の道具は、寺院を連想させますね


ユウキレイ:刀が建物中央に刺さっていたので御神体かと思いましたが、壁にも掛けられていて複数あったのでこれは飾りです。


――「酒処」と書かれた提灯がいっぱいありましたね。お酒を祀っているとか?

ユウキレイ:これらは奉納提灯ですね。地元の方々や店舗が奉納したものと思われます。本来は店名や個人名などが記載されています。


ユウキレイ:そこからゲーム内で本殿と呼ばれた建物の中に入ると、考証に必要な材料がありました。本殿は御神体を安置する社殿のことで、内部には神体(鏡など)が収められています。


ユウキレイ:御神体として安置されていたのはPCでした。しかも刺さっているチップの名称は「寺院の教え」。

――うーん、つまり御神体が電子化している……ということでしょうか?

ユウキレイ:いいえ、御神体とは神が宿る物体を指し礼拝の対象になります。PCがご神体なのです。


ユウキレイ:「火の用心の行灯が多数置かれている」「僧がいて仏教建築があり、なおかつ神道と習合している」「御神体がPC」……全ての考証材料が揃い、何が祀られているかわかりました!

――僕にはさっぱりわかりません。PCが御神体……ビル・ゲイツかな……?

ユウキレイ:おそらく、ナイトシティの神社で祀られているのは、火伏せの神仏習合の神、秋葉権現ではないでしょうか!PCといったら秋葉原。秋葉原の語源は秋葉神社からきています!


――確かに秋葉原は「電気の街」と呼ばれ、日本で最もサイバーパンクっぽいところかもしれません。電波ソングの「PONPON SHIT」が流れていても不自然じゃありませんし!

ユウキレイ:つまり、神社の近くにあるジャパンタウンは、ナイトシティの秋葉原だったのです!



……若干、無理矢理感があったかもしれませんが、全体的に『サイバーパンク2077』の神社は、神社としての基礎は押さえていたことがわかりました。

ナイトシティにはワカコ・オカダをはじめとした日系人が暮らしています。神社の建立には日系人も関わっていたでしょうし、基礎を押さえているのは当然なのかもしれません。そして、2077年にもなれば神社のあり方も変化があるに違いありません。もしかしたら56年後の世界でも、こんな神社が現れているのかも?いや、それはないかな……。

「お稲荷JKたまもちゃん!」第5巻まで好評発売中です!

さて、今回の企画に協力してくれたユウキレイ先生は、前述のとおり、あの「お稲荷JKたまもちゃん!」の作者なんです。

「お稲荷JKたまもちゃん!」は、お稲荷様の使いである狐様が女子高生(JK)になって日常生活を送る4コマ漫画。作中には、神道ネタと一緒に『スカイリム』をはじめとしたゲームネタが登場するので、ゲーマーの読者ならビビっとくるはずですよ!

《真ゲマ》

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