メタバースってなあに? 『あつ森』『ポケモンGO』はどうなの? ゲーマーは知っておきたい基礎知識

最近よく耳にする“メタバース”、でも意味がよくわからない人もいるでしょう。『あつ森』も広い意味ではメタバースとして紹介されることがあり、ゲームにも関りがありそうです。メタバースとは何か、そして今どんな企業が何をしようとしているのか、ご紹介します。

ゲームビジネス VR
メタバースってなあに?  『あつ森』『ポケモンGO』はどうなの? ゲーマーは知っておきたい基礎知識
メタバースってなあに? 『あつ森』『ポケモンGO』はどうなの? ゲーマーは知っておきたい基礎知識 全 3 枚 拡大写真

メタバース」という言葉、ご存じでしょうか。ニュースなどでよく耳にしますが、どういったものかはっきりとはわかっていない人もいるかもしれません。メタは“超越した”という意味で、バースは“宇宙”を意味するユニバースからとり、2つを合わせた造語で、3DCGの仮想空間やそのサービスを指します。

メタバースの正確な概念を把握するのは難しく、色々な立場の人が色々な形のメタバースを提案しているのが現状ですが、おおむね、オンラインの仮想空間の中に現実とリンクした人々が活動するもうひとつの世界を作るようなもの、と考えてよいでしょう。

ゲームユーザーに身近なところでは、『あつまれ どうぶつの森』も、広い意味でのメタバースとして紹介されることがあります。あれ、『あつ森』のようなものでいいなら、ゲームにはメタバースなんてたくさんあるんじゃ……と思った方、そう、正解です。そういう意味では、ゲームユーザーはずいぶん前からメタバースに触れていると言えますし、今騒がれているメタバースはそういったゲームの世界の延長を、さらに発展させたり、あるいは他の分野へ活用しようという動きだったりもします。

具体的にメタバースに力を入れている企業などを例にあげて、メタバースというものが、今どうなっているのか、これからどうなりそうなのかをご紹介していきたいと思います。

■“Meta”(旧Facebook)がリードするVR型メタバース

『Horizon World』公式サイトより

メタバースに注力する企業の代表と言えば、SNSで知られる米国の巨大IT企業Facebookです。社名もFacebookから“Meta”に変更してしまうほどの力の入れよう。Mataはなんとメタバースに年間100億ドル、つまり約1兆円もの投資をしています。文字通り桁違いですね。

Metaは元々VRプラットフォームの開発をするOculus VRを買収し傘下に収めており、メタバースに関しても『OCULUS Quest2』などを使い、VR世界に没入した形での実現を目指しています。すでにVR世界で自由に交流したり遊んだり、あるいは創作活動などもできる『Horizon World』に加え、離れた場所からVR世界で構築されたオフィスに集まって仕事ができる『Horizon Workrooms』のβテストが行われています。

VRヘッドセットを装着して、現実と全く異なるVR世界に入り、遠く離れた人とも同じ空間で遊んだり、仕事をしたり、あるいはコンサートを楽しむような世界はとても夢がありますが、現状はまだ問題点も多々あります。そもそも、VRヘッドセット自体、普及が進んでいるとは言えませんし、それなりに重量があり、視界を完全に覆うため、長時間の使用には疲労も伴います。

しかしこれらの問題が少しずつ解決に進んでいっているという事実もあります。過去にはPCに接続し、ケーブルでつながれていた『OCULUS』も、『OCULUS Quest』シリーズでは独立型になってPCやスマートフォンを別途必要とせず、『OCULUS Quest2』ではさらに軽量化もしました。まだ広く普及するには至っていないものの、Metaが本気で資金を投入して開発を進めれば、これらの問題が改善されるスピードがさらに大きく上がることが期待できます。そうすればメタバースはもちろん、VRゲームの大きな発展にも大きく寄与するでしょう。

Nianticが目指すAR型メタバース

『ピクミンブルーム』公式サイトより

ポケモンGO』や『ピクミンブルーム』の開発で有名なNianticもメタバース構想を発表していますが、Metaが提唱する没入型のメタバースとは大きく異なります。Nianticは現実世界とデジタルの世界を接続することを提案していて、これを「現実世界のメタバース」と表現しています。

Nianticが考えているメタバースは、『ポケモンGO』がさらに進化したような世界です。世界中の何億というユーザーの状態、あるいはそのユーザーが作ったデジタル上のオブジェクトが全員で共有され、そしてそれが、コンピューター用に開発された、これまでないほどの詳細なマップによって、現実世界と正確に結びつけることが課題だと言います。

スマートグラスのような、常に装着するメガネ型の端末の開発が進めば、Nianticが言うように、現実世界にデジタルの世界が融合して、例えば街にポケモンが歩いているような世界もあり得るかもしれません。

『あつまれ どうぶつの森』がメタバースとして注目されるワケ

他にもメタバース的な構造のゲームはあるのに、なぜ『あつ森』に注目が集まるのか

さて、最後に『あつ森』がメタバースの例として紹介される理由について少し触れておきたいと思います。ゲームユーザーからすると、『あつ森』をメタバースというのは多少違和感がある人も少なくないと思います。というのも、『あつ森』にはオンライン要素こそあるものの、それは補助的、限定的であり、基本的には1人で遊ぶ時間が長いゲームだからです。

それでも『あつ森』が広い意味でのメタバースとして紹介される理由は、全世界でプレイしている人数が多く、注目度が高いからです。その結果、『あつ森』には現実世界が少しずつ流れ込むような事例が発生しました。わかりやすい例で言えば、メトロポリタン美術館が『あつ森』のマイデザイン用に、40万点以上の収蔵作品画像をQRコードで公開したことがあげられます。そうすると、世界中の人が遊んでいる『あつ森』の世界に、現実の美術品が出現する現象が起こるわけです。

こういった活動が盛んになると、そのうち政治家の選挙活動に利用されたり、商品の購入誘導を考える企業などが出始めます。これに対応する形で、任天堂は政治や営業活動に利用することを禁止する方針を打ち出しました。任天堂からすれば、『あつまれ どうぶつの森』というゲームをユーザーに安心して楽しんでもらう為の措置として禁止したわけですが、一方で、オンラインでつながる仮想世界の可能性を示するには十分なほどの盛り上がりと言え、メタバースの例として『あつ森』が取り上げられることになります。

『あつ森』は仮想空間といえばそうではありますが、そもそもオンラインに接続しなくても遊べてしまうようなゲームです。にもかかわらず起きたこの一連の流れは、それよりも何よりも“面白くてみんながやっている”ということが最も重要であると証明している点で、大変興味深いですし、もしかしたらメタバースが普及するカギであると言えるかもしれません。

メタバースというと、何か難しい言葉のように思うかもしれませんが、ゲームユーザーはかなり前から、仮想空間に居る存在であり、そこに注目が集まり始めた、というのが正しいかもしれません。そして今、ゲーム以外の活用にも広がることで、多くの投資が集まり、技術の開発が進んでいる分野となっています。ゲームユーザーにとっては、MetaやNianticなどの世界中の企業が切磋琢磨することで、未来のゲームが切り開かれていく可能性にも、注目したいところですね。


《田下広夢》

田下広夢

毎週金曜ゲームイベントしてます 田下広夢

1984年5月、埼玉県生まれ。2006年からゲームを専門とするライターに。毎週金曜、ゲームを持ち寄って遊ぶイベント「ゲームルーム」開催、2022年で10周年を迎える。メギド72攻略ブログ「メギド部!」運営。イシイジロウ氏主催のゲームクリエイター人狼会所属。たまにゲーム業界解説でテレビやラジオなどに出演したり、YouTubeなどの人狼ゲーム配信にも登場。2021年からインサイドで執筆。

この記事の写真

/
【注目の記事】[PR]

特集

関連ニュース