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GWも終わりに入った5月7日、「逆転裁判 20周年記念 オーケストラコンサート」がBunkamura オーチャードホールにて開催されました。
『逆転裁判』はカプコンの法廷アドベンチャーシリーズ。第一作『逆転裁判』は2001年ゲームボーイアドバンスで発売されており、今年でシリーズ20周年という大きな節目を迎えます。
演奏は東京フィルハーモニー交響楽団、指揮は栗田博文氏。逆転裁判コンサートを例年支え続けてきたメンバーです。また、MCは竹本 英史さん(御剣 怜侍役)、トークゲストとして近藤 孝行さん(成歩堂 龍一役)、KENNさん(王泥喜 法介役)が登壇。途中ちょっとしたトークコーナーもあり、TGSやPVでおなじみの「特別法廷」の雰囲気も味わうことができました。
今回のコンサートは久しぶりの有観客での開催となり、満員御礼となりました。オンラインアーカイブチケットは5月15日21時まで販売中です。20周年ということもあり数多くの楽曲から厳選された楽曲が目白押しで、どのシリーズファンも楽しめるのではないでしょうか。筆者も初代からの「逆転」ファンの一人。簡単ではありますが、プログラムごとのレビューを通じて本オーケストラの魅力を紹介させていただきます。
・公表されているプログラム
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成歩堂龍一 ~異議あり!
王泥喜法介 ~新章開廷!
逆転検事組曲 華麗なる軌跡
ゴドー ~珈琲は闇色(やみいろ)の薫り
逆転裁判1~3 法廷組曲
逆転裁判1~6 麗しの組曲
逆転裁判 革命と継承の組曲
大逆転裁判組曲
大逆転裁判 覺悟の大法廷組曲
逆転裁判3 終幕
◆成歩堂龍一 ~異議あり!
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初代『逆転裁判』の「成歩堂龍一 ~異議あり!2001」が基調になっています。しかしそれだけにとどまらず、シリーズが進行していく映像に合わせて、演奏に「成歩堂龍一 ~異議あり!2001」(逆転裁判2)、「2004」(逆転裁判3)のニュアンスが加わっていく……というように、各シリーズの楽曲の主張を見事に一つの演奏に落としこまれていました。
主人公・成歩堂龍一の原点を丁寧に追っていく、一曲目に相応しい内容でした。
◆王泥喜法介 ~新章開廷!
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『逆転裁判4』で登場した新主人公、王泥喜法介のテーマ曲。逆転裁判4での「逆転裁判4・開廷」をイントロにしたメドレーとのこと。原曲の持つ悲壮感をそのままに、『4』関連楽曲と前後するように繰り返します。
1ループが短い楽曲をアレンジする匠の技ですね。「あのサビ」を関連楽曲に絡めながら複数回聞かせてくれる、ファンに嬉しい構成です。
◆逆転検事組曲 華麗なる軌跡
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スピンオフ作品『逆転検事』のメドレー。ストーリーやアドベンチャーゲームとしての展開を順に追うような構成となっており、「BGMらしいBGM」が好きなゲーム音楽ファンには嬉しいポイント。「ロジック」や「まとめる」「情報再現」といったゲームシステム中に流れる楽曲のオーケストラ版が楽しめました。こういった段取りを踏んでから「対決」系の曲が流れると、原作の感動が一層蘇りますね。
そして、もちろんあります。『逆転検事2』の、「追求~つきとめたくて」。グッと溜めた後に、この曲に繋がります。客席は沈黙を守っているものの、会場全体の空気が圧倒的に「前のめり」になるのを感じました……。いいですよね、『検事2』の「追求」。是非映像でお楽しみください。
◆ゴドー ~珈琲は闇色(やみいろ)の薫り
『逆転裁判3』の宿敵(?)ゴドー検事のテーマ曲。ここに来て、圧倒的「リラックス」の曲が来ました。前半3つのメドレーで既に興奮し、神経が高ぶりすぎていた筆者は「分かってるな~」と癒やされたものです。ゆったりとした伴奏とサックスのメロディが染みます。これはサックスの「アドリブ」なのでしょうか。情感たっぷりです。
投影されている映像は完全に「ゴドー検事劇場」。面白すぎてそちらでもリラックスできました。筆者はゴドー検事の「変さ」を本日まで忘れ去っており、ただのカッコいいオジサンだと思っていたのです。
しかしゴドー検事、やはり相当な変人でした。『4』以降の奇人変人に感覚が麻痺させられていたために忘れ去ってしまったのでしょう。ファンの皆様は今一度、裁判長をねじ伏せる「ふてぶてしさ」とテーマ曲、そしてあのコーヒーを確認してみてはいかがでしょうか。
◆逆転裁判1~3 法廷組曲
逆転裁判といえば、これ。法廷関係の曲です。重厚で荘厳な雰囲気を持つ、各シリーズの「開廷」。静かながら前兆を感じる「尋問」。そして証拠品を突きつけた後一気に物語が展開する「追求」。
ゲームボーイアドバンスの音源で聞いたときから既にオーケストラ調でしたが、実際にオーケストラとなったことで一気にディティールや強弱が効いています。これまでのオーケストラアルバムとはまた違った演奏を是非楽しんでください。
◆逆転裁判1~6 麗しの組曲
逆転裁判1~6に登場した、女性キャラクターテーマ曲のメドレー。シリーズを代表する名曲「綾里真宵~逆転姉妹のテーマ」はもちろん、逆転裁判5のDLCで使用された「海賊姉妹エールズ ~7つの海を大冒険」というかなりレアな曲も飛び出しました。
また、原曲ではエスニックな雰囲気を持っていた、逆転裁判6のレイファのテーマ曲「レイファ・パドマ・クライン ~勝気な姫巫女さま」ですが、違和感なくオーケストラとしてアレンジされていました。
その後のトークコーナーはヒロインの話題で盛り上がり、微笑ましい一幕も。
◆逆転裁判 革命と継承の組曲
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『逆転裁判5』と『逆転裁判6』の楽曲を使用した組曲。「法の暗黒時代」がテーマである『5』と、激動のクライン王国を舞台に王泥喜法介の驚くべき過去が明らかになる『6』。2つのシリーズの楽曲が展開するのですが、最終的に王泥喜法介のテーマにつながる展開が泣かせます。「シリーズを通じて、オドロキくん成長したなあ……」という感動が蘇りました。
『6』は舞台が国外にまで波及するということもあり劇場版のような豪華さを感じていたのですが、オーケストラ演奏で楽曲を聞けば一層スペクタクルに感じることでしょう。
◆大逆転裁判組曲
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新シリーズ「大逆転裁判」一作目、『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險』のメドレー。原曲の生演奏という趣きもありました。アコーディオンが一層際立っており、舞台のロンドンを思わせます。
「大尋問 」といった法廷の曲、そして捜査パートの「共同推理」などテンポの違う曲が展開されていき、収束。満を持して「追求 ~大逆転のとき」に繋がります。文句無しの、大迫力のメドレーでした。
◆大逆転裁判 覺悟の大法廷組曲
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「大逆転裁判」二作目、『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の覺悟』を中心としたメドレー。前作のメロディも部分的に使用されており、とにかく展開が多彩。しかし一貫して熱量が高く、情熱を感じる演奏でした。追求系の楽曲「大追求 ~成歩堂龍ノ介の覺悟」が控えているので、聞いている方も期待が高まっているということかもしれません。指揮にも一層力がこもっていたと思います。
◆逆転裁判3 終幕
最後に『3』の曲を持ってくるのがシブイですね!原曲「逆転裁判3 終幕」は「逆転裁判・開廷」をアレンジしたような曲になっています。同じメロディで始まり、同じメロディで終わる……深いですね。『逆転裁判』~『逆転裁判3』の要素が少しづつ入った、大団円に相応しい楽曲でした。アレンジされた箇所が多くあると思われ、より壮大になっていると思います。
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以上、僭越ながらプログラムの楽曲をレビューさせていただきました。
繰り返しになりますが、逆転裁判シリーズは今年で20周年です。長い時が流れ、当たり前のようにゲーマーの心の中にあった名曲たち。オーケストラという新しい視点で見つめれば、新たな感動を発見できることでしょう。ゴールデンウィークの終わりの最後のご褒美にいかがでしょうか。
ネタバレになってしまうので明言は避けますが、アーカイブ配信ではプログラムにない「あの曲」や「あの曲」も聞くことができるかもしれません。そう、あのイントロだけで全てを持っていくパワーを持つ、シリーズお馴染みの「あの曲」……。ああ、頭にこびりついて離れない!
「逆転裁判 20周年記念 オーケストラコンサート」オンラインアーカイブチケットは5月15日21時まで販売中です。
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「逆転裁判20周年記念オーケストラコンサート~Bunkamuraオーチャードホール」より」