◆予想もしなかった問い合わせ――元制作スタッフの驚き
「オウジ」の出現方法を突き止めたのが、当時『チョビぐるみ』でセールスプロモーションを担当していたホリウチさんです。
取材に対し、「予想もしていなかったのでとても驚きました」と語るホリウチさん。連絡を受けた当初はホリウチさん自身も「オウジ」の出現方法を知らず、また「攻略情報を関係者側がリークするのはどうか」という迷いもあったそう。
しかし、「20年以上悩み続けて、このままでは死んでも死にきれません」「最後の一縷の望みに賭けて筆をとりました」と同じ問題に悩むユーザーから切実な声が届いたり、「僕らが今動かなければ、この問題は永遠の闇に葬り去られるような気がした」という思いが出てきたこともあって、できる限り調べてみることに(※)。
※7月15日18時40分追記:メッセージを送ったのは、「らげしば」様とは別の方でした。謹んで訂正します。
ホリウチさんはまず、『チョビぐるみ』の担当ディレクターだった女性スタッフに声をかけました。その後、『チョビぐるみ』の開発を行っていた株式会社エーアイに問い合わせ、当時の担当プランナーだった方と連絡を取りあうようになります。
「ニジノオウジを探す会」というLINEグループの中で、議論を深める3人。いろいろな可能性を検討したり、手元に残っていたメモなどの資料を調べたりしているうちに、『ダイナデバイス2』があれば「オウジ」が入手できるという情報を突き止めました。
その情報を入手したホリウチさんが、「『ダイナデバイス2』と通信するとオウジがゲットできる、という情報が急浮上」とツイート。それを見かけたらげしばさんが急いで同作を買いに行こうとしたところに、夫であるてぃがががさんが「持ってるよ!」と連絡したところで、前述した経緯に繋がります。
◆「たとえセールス的に大成功しなかったとしても、ポジティブな何かが残る」
その後、Twitter上で確認できるらげしばさんとてぃがががさんのやりとりは、「ちょっとしたドラマのような展開」だったと振り返るホリウチさん。
なおこれも偶然でありますが、『チョビぐるみ』元プランナーの娘さんも数年前に本作をプレイしており、「オウジだけ出せない」という同じ問題に直面していたとのこと。らげしばさんが無事にオウジをゲットしてからほどなく、彼女も同様の手法でオウジと出会えました。この結果にホリウチさんたちはほっこり和み、そして見事な大団円に「静かに興奮していた」と語ります。
ホリウチさんは自身のTwitterに、「『どうぶつ島のチョビぐるみ』は自分にとって特に思い出深いタイトルだったので、なんとか解決できて本当に良かったです」ともツイート。『チョビぐるみ』開発期に、急遽ロケットカンパニーの代表を務めることになるなど多大なご苦労があったそうですが、それを乗り越えて発売されたからこそ、今回の奇跡が起きたとも言えます。
今回の出来事で感じたことをお聞きした所、「関わった人間が、ありったけの情熱をかけてつくったものは、たとえセールス的に大成功しなかったとしても、ポジティブな何かが残るのだということを改めて思い知りました」と、コメントを寄せて頂きました。
◆1本のゲームが繋いだ、まさかの奇跡

その後『ダイナデバイス2』と通信し、無事に「オウジ」を入手できたらげしばさん。念願のコンプリートを果たし、大喜びでその様子をツイートしています。
また、てぃがががさんもコンプリートへの鍵となった『ダイナデバイス2』を改めて遊んでいるとのこと。久々のプレイで記憶も曖昧になっていたものの、楽しんでいる様子。
最後にお二人にも今回のエピソードを振り返ってもらったところ、「『チョビぐるみ』と『ダイナデバイス』について多くの方に思い出して貰うきっかけになれただけでも充分かなと」との回答が。そして「何よりすごいのは、ずっと攻略情報を集めていた、ゲーマーの方々(嫁含む)と、発売から何年も経っているのにファンの問い合わせに動いてくれた当時の関係者様方」と語っていただきました。
この出来事にTwitterでは「とてつもない奇跡をみた!」「本物の王子様だったんだ」といった驚きの声が溢れました。
約20年前に発売された作品同士が結んだ、まさかの奇跡。制作陣も巻き込んだファンの方々の熱意には、ゲームの可能性を見た気がします……!